歴史的建造物に囲まれ、政治デモや国民的行事が開かれる五月広場は、ブエノスアイレスとアルゼンチンの興味深い歴史を反映しています。ブエノスアイレスの創設の際に、フアン・デ・ガライによって 1580 年に策定されたこの広場は、現在アルゼンチンで最も重要な場所として広く認識されています。
五月広場という名前は、ブエノスアイレスがスペインからの独立を宣言し、アルゼンチンの独立戦争につながった、1810 年の五月革命が由来です。その独立から 1 周年が経ったことを記念して 1811 年に建てられたのが、広場の中央に立つオベリスク「五月のピラミッド」です。
広場の東側に堂々と建つ建物にも足をのばしてみてください。ピンク色が目を引くこの建物は、19 世紀に建てられた政府官邸のカサ ロサダです。アーチ型の屋根のついたバルコニーは、フアン・ペロンやエバ・ペロンなどの政治的指導者が、国民に向かって演説を行ったことで知られています。週末には館内を案内してくれる無料のガイドツアーが開かれ、水~日曜日には政治に関する資料が展示された小規模な博物館を見学することができるので、ぜひ予定を合わせてお越しください。カサ ロサダの正面には、多大な影響力を持った軍事指揮官でアルゼンチンの国旗の制作者でもある、マヌエル・ベルグラーノ将軍の騎馬像が飾られています。
その他にも広場の周りには、ブエノスアイレス メトロポリタン大聖堂や、人々から尊敬を集める地元建築家、アレハンドロ・ブスティーヨが手掛けた立派な国立銀行などが立ち並んでいます。中でも、白塗りの壁が目を引くカビルド (旧市庁舎) には必ず足を運びましょう。小規模な博物館を併設しており、毎週木曜日と金曜日には手工芸品市場が開かれます。
五月広場で最も心を揺さぶられるのは、「五月広場の母たち」によって毎週開かれる徹夜祭です。1977 年以降、毎週木曜日の夜になると、アルゼンチンの独裁政治下で行方知れずになった自分の子どもの消息を求めて、白いスカーフを巻いた母親たちがデモを行います。
また、五月広場ではよく無料の音楽イベントが開催され、特に、アルゼンチンの歴史において重要な意味を持つ日の祝賀を盛り上げてくれます。その中でも重要なのは、5 月 25 日の五月革命記念日と、7 月 9 日の独立記念日です。広場のいたる所に設置されたベンチに座り、近代化した現在の街並みを眺めながら、過去の出来事に思いをはせましょう。
五月広場はモンセラート地区に位置し、ブエノスアイレスの中心部から歩いてすぐです。お越しの際は、公共のバスまたは地下鉄が便利です。