印象的なコーラ教会はイスタンブールの主だった史跡群から数キロ離れた場所にありますが、外観からモザイク画やフレスコ画に至るまですべてが美しい教会を見ようと、毎日大勢の人々が集まります。 古代東ローマ帝国から伝わるこの教会は、何度も地震に見舞われ、正教時代やイスラム教時代はキリスト教の象徴すら奪われながらも、現代まで生き残ってきました。この敷地に初めて教会が設立されたのは 4 世紀のことで、「コーラ」とは「田舎」や「郊外」を意味する言葉です。この教会の建物はコンスタンティヌス帝の命によって街の西側に設けられ、「市街壁外の聖なる救世主の教会」と呼ばれましたが、413 年には時の皇帝テオドシウス 2 世が、この教会を市街壁内にきちんと収まるようコンスタンティノープルの外壁を移築させました。
現在の建物は 11 世紀にアレクシオス 1 世コムネノス帝の義母によって建設され、14 世紀に加えられたモザイク画や壁画など、その後多数の増改築をへて、オスマン帝国に征服された後は、モスクとして使用されるようになりました。最後に 20 世紀中葉に今日人々の押し寄せるカーリエ博物館となって現在に至ります。古代の教会に足を踏み入れ、聖書のテーマや物語が描かれたモザイク画を見上げてみましょう。目玉はイエスとマリアにささげた作品と教会付きのフレスコ画家テオドール・メトキテスが奉献したモザイク画などです。 屋外に出たら、テオドシウス 2 世の造らせた巨大な市街壁に沿って歩き、大砲でうがたれた跡や石に彫られたギリシャ語やオスマン帝国時代の文字を探してみてください。壁は急なうえ起伏の多い箇所もあるため、足元には十分注意が必要ですが、頂上まで登れば絶景が待っています。コーラ教会は市街中心から見て西部にあたるエディルネカッパ地区にあり、休館日は水曜日。わずかながら入館料がかかります。教会へはタクシーで行くのが一番安全で便利ですが、交通費も一番高くなります。節約するなら近くにバス停がありますが、それなりに時間がかかる場合があります。イスタンブールのこの辺りは治安もあまりよくないため、手回り品には十分注意してください。