穏やかで冷たいアラスカの内海航路を進むと、グレーシャー ベイ国立公園自然保護区の巨大な氷河が現れます。公園ではクルージングやバックカントリーでのハイキングなど、楽しみ方もさまざま。
ほんの 200 年前まで、この地の湾岸は氷に覆われていました。現在ではその大半が溶け、15 ほどの潮間氷河がグレーシャー湾の渓谷に流れ込みます。湾内はカヤックで漕ぎ進んだり、クルーズ船でゆったり氷河を眺めながら巡ることもできます。入江には氷河のかけらが浮いていることも。時には氷河から大きな氷の塊が海へと崩れ落ちる光景に遭遇することもあります。
グレーシャー湾の河口付近にはアメリカツガやトウヒの林が広がり、夏には色鮮やかな野生の花が咲き乱れます。公園にはさまざまな鳥や哺乳類、海洋生物が生息しています。海では、クジラやアザラシ、アシカ、ラッコ、陸地では、ムースやオオカミ、マウンテン ゴート、コヨーテの姿も見られます。ブラウン ベア、ブラック ベアが出没することも多いので、注意事項は守りましょう。
グレーシャー湾に生息する鳥類は 270 種以上。珍しいツノメドリやウミスズメにも出会えます。特別な年末を体験したいなら、ボランティアと一緒に 20 日間のクリスマス野鳥観察会に参加してみましょう。
トーテムポールで知られるトリンギット族は、地表を覆う氷の層ができるよりも前から、この地で暮らしてきた先住民です。再現された木造家屋にはワタリガラスやワシが色彩豊かに描かれ、トリンギット特有の彫刻が施されています。
飛行機ならジュノーから公園の南東端にあるガスティバスまで、フェリーではバートレット コーブにある公園本部まで行くことができます。入園、キャンプの設営、ボートの利用は無料ですが、バックカントリーでのキャンプと私有ボートの持ち込みには許可証 (無料) が必要です。公園は年間を通して開園していますが、施設の多くは 5 月から 9 月の間のみの営業です。
アメリカでは 50 か所を超える地域が国立公園に指定され、一般の人々が手軽に訪れることができるよう保全整備されています。グレーシャー ベイ国立公園自然保護区では、氷河期にタイムスリップしたかのような魅力的な世界を体感できます。