豊かな雨に育まれた熱帯の密林は類いまれなる絶景。世界有数の豊かな生態系と進化の場で、アボリジニと入植者の歴史が隣り合わせに紡がれてきました。

世界遺産として登録されているウェットトロピックス (クイーンズランド湿潤熱帯地域) の一部を形成するバロン渓谷国立公園は、濃い熱帯雨林と豊かな生態系、進化の歴史で有名。国立公園となったこの辺りの山々、熱帯雨林に何千年も暮らしてきたアボリジニのジャプカイ族が大切にしてきた場所でもあります。4,000 万年前、オーストラリアがゴンドワナ大陸の一部をなしていた頃、現在、バロン渓谷国立公園となっている場所は海底にありました。今日では切り立った峡谷、渓谷の連なりとなって公園の中央を走り、いくつもの滝や熱帯雨林、山の峰々とあいまって、えもいわれぬ絶景を見せてくれます。この公園の醍醐味 (だいごみ) を味わうには、実際にハイキングしてみるのが一番。このエリアに数多く通るハイキング用の道は、元々アボリジニのジャプカイ族が狩猟・採集用に切り開いた山道で、後にはヨーロッパからやってきた入植者たちも奥地への移動に使用していました。今では随所に標識が立てられ、山歩きのスキルや体力に応じてあらゆるレベルのコースがそろうハイキングトレイルとなっていて、所要時間も 15 分から 10 時間までさまざま。この国立公園には実に多種多様な原生生物が住んでいます。大きな音を立てないように歩いてみれば、ヒクイドリやオポッサム、カンガルーを垣間見られるかも。渓谷を鳥瞰 (ちょうかん) できるスカイレールレインフォレストケーブルウェイの駅がこの渓谷にあり、ほんの少し歩いただけで行ける範囲に国立公園全体を見渡せる展望台が 3 カ所もあります。高さ 265 m から落ちる滝をお楽しみに。バロン滝の見頃は 12～3 月の雨期ですが、公園へは 1 年中行くことができます。公園の低地側はイリエワニが巣くっているため、クイーンズランド国立公園のウェブサイトで事前にワニ対策を確認してからお出掛けください。公園内のキャンプは禁じられていますが、公園の西端を越えてすぐのところにキャンプ場があります。キュランダ、マリーバ、ケアンズは宿泊施設が多く、格好の拠点となります。バロン渓谷はケアンズからキャプテンクックハイウェーで北西へ 18 km。車でドライブしても、ケアンズ - キュランダ間を走るキュランダシーニックレイルウェイ (キュランダ高原列車) を利用してもよいでしょう。無料駐車場完備です。