ジャマイカと英国の海軍史が刻まれたチャールズ砦。カリブ海の太陽の下に設置された、堂々たる史跡です。初期の植民地が攻撃に対してどのように防衛していたかを知り、考え抜いて作られた要塞に襲い掛かった自然の脅威についても学びましょう。
チャールズ砦の歴史は 17 世紀中頃にまで遡ります。ポート ロイヤルに初めて造られた砦でした。英国によってキングストンがスペインから奪取されると、キングストンには 6 つの要塞が設けられました。監視と防衛に好都合な場所に次々と砦が作られたのです。最盛期には、チャールズ砦は 500 人の駐屯軍と 104 の大砲を擁する防衛拠点でした。
チャールズ砦に足を踏み入れるには、巨大な鋼鉄製の門をくぐります。城のように立派な塁壁、そしてアーチ型になった砲台から突き出される古い大砲に目を引かれます。砦の壁の内側にあるのは、鎧戸付きの窓が印象的な 2 階建ての白い建物。この建物は海事博物館になっており、1692 年の大地震の後にがれきの中から集められた品物が展示されています。古いキングストンの記憶をたどってみましょう。館内には、ホレイショ ネルソンが 30 か月にわたり滞在した営舎を復元したものや、模型船のコレクションも展示。ネルソンの甲板と呼ばれるデッキで飾り額を探してみてください。海軍の英雄が同じ場所を歩いていたと思うと、厳かな気持ちになるでしょう。
チャールズ砦が建つ場所は、かつてカリブ海の浅瀬でしたが、何世紀にも渡る沈泥の堆積によって陸地へと変わっていきました。敷地内にはギディ ハウスと呼ばれる一風変わった建造物も。当初は大砲の保管庫として作られたレンガ造りのごく普通の建物でした。1907 年の地震で地面の中に半ば沈下し、大きく傾いた姿になっています。中に入ると、平衡感覚を失ったような奇妙な感覚になるかもしれません。すぐそばにある砲台も同じ地震で傾いたままになっています。
ポート ロイヤルを訪れたら、ぜひチャールズ砦にも足を延ばしてみてください。キングストン周辺を旅行して回るなら見逃せない場所です。港を中心に形成されていったポート ロイヤルは、かつては海賊の拠点として世界的に知られていました。立ち寄った海賊たちの中には、有名な黒ひげもいたと言われます。チャールズ砦は毎日営業しています (聖金曜日とクリスマスを除く)。入場料がかかります。