サラゴサのローマ城壁は、ローマ帝国の植民市としてカエサラウグスタと呼ばれていたこの都市を囲んでいました。かつての強固な城壁も、現代のサラゴサでは市内のあちこちに断片的に残っているだけですが、この遺跡からローマ時代の歴史が確かな形として感じられます。
ローマ帝国によって紀元前 14 年に建設されたこの都市はカエサルグスタと呼ばれ、現在のサラゴサという名前の由来でもあります。城壁が建設されたのは紀元後 3 世紀になってから。当時は全長 3,000 m を越え、120 か所の防御塔も建っていました。ローマ帝国の衰退の後にこの地を支配した西ゴート族やイスラム教徒も城壁を利用して攻撃から街を防御しました。建設当時の城壁の大部分が破壊されたのは、15 世紀に街が境界を越えて拡大し始めた頃のことです。
現存する城壁で最長の部類に入るのは、セサル アウグスト通りにあります。80 m 続くこの部分からは、石の間を硬い漆喰で充填し、外側に雪花石膏と石灰岩の割石を敷き詰めるという建設当時の工法がうかがえます。かつては高さ 10 m、幅 7 m に及ぶ地点も多くあったと言われています。
現存する城壁の傍らにはアウグストゥス帝のブロンズ像が設置されています。1940 年にイタリア政府からサラゴサに寄贈されたこの像は、バチカンで発見された像のレプリカです。ブロンズ像の胸当て部分には、アウグストゥス帝が征服した都市の象徴が飾られています。雪花石膏の正面には、サラゴサが長い歴史の中で呼ばれていた 4 つの異なる名前が刻まれています。
城壁はスーダの塔の所で途切れています。この塔は中世の要塞体制の一部を担っていたものです。10 世紀にローマ城壁の上に建設されたこの塔は、巨大なムーア宮殿の唯一現存する部分です。内部には古い写真と絵画の展示があり、市内を一望できる見晴らしの良い展望台にもなっています。
ローマ城壁は時間を問わずいつでも無料で見学できます。夜に訪れると、ライトアップされて一層謎めいた雰囲気になります。