17 世紀に建造された孔子廟は、この国初の大学でもありました。なかでも最も重要な建物は、中国の哲学者、孔子とその門弟を祀る霊廟です。複数の堂や祠、由緒ある門がありますので、ゆっくりと時間をかけてご覧ください。伝統的な中国建築の美しさも鑑賞しましょう。
原初の建物は、1666 年に完成しました。何世紀もの歳月を経るにつれ戦争や風雪により老朽化が進み、その都度、修復や補修がほどこされました。今日ある建物の多くは、20 世紀前半に改築されたものです。
18 世紀前半に歴史を遡る正殿、大成殿へ行きましょう。まずは建物の外から、層が重なる屋根、螭吻 (ちふん) と呼ばれる龍の像などをご覧ください。内部には、皇帝や国家元首にから贈られた木製の書き板などがあります。隣接する建物は明倫堂で、かつては儒教を学ぶ学問所でした。入口すぐのところには、校則が記された石板があります。
展示室には、儀式に使われた衣装や杯などがあります。最重要品は、孔子の墓からもたらされた陶土を使って焼かれた酒盃でしょう。
孔子廟のなかを歩いてまわり、それぞれの建物の、細部にまで及ぶ精巧なつくりと美しさを鑑賞してください。礼門をはじめとする、儀礼用の門も鑑賞に値するすばらしさです。敷地の北東部には三重の塔、文昌閣が建っています。文学の神である文昌を祀り、19 世紀末に建造されました。歩き疲れたら、美しい庭に立つ、バニヤンの木の下でひと休みしては。
孔子廟の見学中に、何らかの儀式や祝賀行事が行われているのを目にする機会があるかもしれません。最大の行事は、9 月 28 日に行われる、孔子生誕記念の伝統儀式です。
孔子廟は、台南の中西区にあります。通りを隔てた向かいには、18 世紀に建造された泮宮石坊が見えています。孔子廟は、月曜日を除く毎日、見学が可能。入場は無料ですが、大成殿のみ入場料が必要です。