革命軍による装甲列車の襲撃を今に伝えるトマ デル トレン ブリンダード記念館。ここは、チェ ゲバラと少数精鋭の若き革命志士たちがキューバ革命において重要な勝利を収めた場所です。この勝利を契機に、フルヘンシオ バティスタを政権から排除する革命の流れに弾みがつきました。
優秀な策士であり、大胆不敵な軍事指導者、そして市民の英雄として伝説が語られるチェ ゲバラ。その名を有名にしたのは、この地での戦いがきっかけでした。1958 年 12 月、政権を脅かす反乱ゲリラを掃討するため、バティスタは、装甲列車に乗せた百戦錬磨の武装兵 370 人以上をハバナからサンタ クララに送りました。一方、ゲバラと 18 人の若きゲリラ兵たちは列車の襲撃を企てました。しかし、それは自爆作戦と言ってもよいものでした。
12 月 29 日、ゲバラはブルドーザーを奪取し列車を横転させ、列車がサンタ クララに入る前に脱線させます。それから 2 時間もしないうちに、ゲリラ軍は手製の火炎瓶で政府軍を壊滅状態にしたのです。これが、革命軍側に決定的な勝利をもたらし、バティスタはその後まもなく国外に脱出しました。戦いに使われたキャタピラー社製の黄色いブルドーザーが今も残されています。革命の英雄たちを讃える記念碑として、星型の台座の上に乗っているのが見えるでしょう。
この地には、他にもオブジェが設置されています。たとえば、高くそびえるオベリスクはゲバラに捧げられたもの。戦いの説明が刻まれています。また、その近くにあるのはキューバの芸術家ホセ デラッラ作の彫像。チェ ゲバラとカミロ シエンフエゴスの活躍に敬意を表して作られました。地面から不規則に飛び出たような形の長いコンクリートは、爆発を表現しています。
鮮やかな赤い車両は、現在は博物館となっています。破壊された状態を収めた写真や地図の他、武器、衣服、サバイバル用品、モロトフ カクテルと呼ばれた火炎瓶を作るための瓶など、両陣営で使われた品々が展示されています。多くの展示品にはスペイン語と英語で説明書きが添えられています。また、アート ギャラリーとなっている車両もあります。
トマ デル トレン ブリンダード記念館は、レオンシオ ビダル公園から北東に向かって徒歩 10 分足らず。車両の博物館は有料です。数ブロック先には、子供を抱くチェ ゲバラ像もあります。ゲバラのバイクやボリビアの反乱軍など、ゲバラを象徴するモチーフがあちこちにちりばめられている興味深い彫像です。