ピューリツァー美術館は、一般的な美術館とは一線を画する存在です。現代美術の展示は半年ごとに刷新されますが、壁面に銘や説明がいっさい掲示されません。すべて鑑賞者の想像に任せられています。セント ルイス ダウンタウンを通るワシントン通りに面していながら、一般公開されるのは週に 2 日だけ。それ以外の日、職員が、その週に行われる公開討論、ツアー、コンサートといった各種イベントの準備に追われて過ごすのは、この財団のミッションが、芸術への関心を鼓吹し、創造的な市内環境の醸成だからです。
まずは受賞歴のある建築家、安藤忠雄の設計による建物自体を鑑賞してみてください。モダンなデザイン、すっきりとしたライン、コンクリートやガラスの使用を極限まで抑えた設計には、目を見張るものがあります。
ピューリツァー美術館の常設展示は、ごく小規模です。どきっとするような赤い鋼鉄製の彫像 《ジョー》 は、中庭全体を占め、カーブを描いた壁の隙間を奥にたどっていくと、らせんを描きながら中心に向かって進んでいるうちに反対側の出口に出てしまいます。建物内に入ると、主展示室の南壁で、エルスワース・ケリーの傑作絵画 《ブルー ブラック》 が大きな存在感を放っています。
これらの常設展に加え、見る者の思索を喚起するような特別展が常に開催されており、過去の例を挙げると、「芸術と精神性」や「ミニマリズムを超えて」といったトピックが扱われました(現在の展示内容については、公式 Web サイトでご確認ください)。
イベント カレンダーの華は、展示室内で開催されるセント ルイス交響楽団の月例コンサート シリーズです (詳細やチケットについては公式 Web サイトでご確認ください)。また、会期中の展示に関するシンポジウムやパネル ディスカッションもよく開かれます。さまざまなテーマのもとに毎月催行される館内ツアーなど、イベントへの参加予約はインターネットで受け付けています。
ピューリツァー美術館の開館日は、毎週水曜日と土曜日、入場無料です。多くの主要ホテルや名所から気軽に足を伸ばせる範囲にありますが、美術館近くで発着するバス路線がいくつかあり、地下鉄メトロの駅も至近距離にあります。