南アフリカの北ケープは、不毛の大地の無辺な広がりが生む凄絶な美しさ、砂漠に豊かな生態系と花があふれる不思議と対峙 (たいじ) できる土地です。州内数か所にぽつんぽつんと歴史や華やかな面白さで人を引き付ける都市はあっても、真の魅力は驚異の大自然にこそ感じる人が多いようです。北ケープ州は南アフリカ最大の面積がありますが人口はまばら、しかも国内最西端に位置しています。
最初の観光先として適当な州都キンバリーは、19 世紀にダイヤモンド ラッシュで栄えた街。深さ 215 m (705 フィート) のビッグ ホールは、人の欲が掘った巨大な露天鉱跡で、ミュージアム オブ ザ ビッグ ホールでは、採掘に使用された遺物が展示されています。いくつかのギャラリーを回ってここの先住民族の文化を学び、世界最長級の営業歴史を誇る現役のドライブイン パブ「ハーフウェイ ハウス イン」でビールを 1 杯飲んでみませんか。
クルマンでは伝道所を巡回し、巨大な天然泉「アイ」をじっくり観察できます。西端の町アピントンには、オレンジ川が流れ、そのほとりには絵になるワイナリーが立っています。アウグラビーズ フォールズ国立公園を訪ね、展望台までのハイキングを楽しみ、とどろき落ちる大瀑布の迫力に飲まれ、逆巻く白波をチームワークで制する急流下りに加わりませんか。
旅人は、あるいは現地の人ですらめったに行かないこの州の海岸線沿いにあるアレクサンダー ベイやクレインジーなど、漁業やダイヤモンド採掘の小村をのぞいてみませんか。春のナマクア国立公園では、不毛の砂漠が一面、色とりどりの花で敷きつめられた姿を見ることができます。天に牙を向けたような稜線 (りょうせん) が生む荒々しい背景を見ながらリヒタースフェルト国立公園のジープ サファリを楽しみましょう。
この州内には、南アフリカが誇るおなじみの野生生物を探しにいける自然保護区がいくつもあります。フラミンゴがいるカムファーズ ダム、クロアシネコ (アフリカ最小のネコ科動物) など、夜行性動物がいるブルームフォンテーン自然保護区、南アフリカとボツワナの国境地帯に広がり、たてがみが黒いライオンやオリックスがいるクガラガディー トランスフロンティア パークはいかがですか。
北ケープへは、ケープタウン国際空港かヨハネスブルグ国際空港から陸路を取りますが、名所間に距離があるため、州内の移動には多くの場合、レンタカーか既成のオーバーランド ツアーを利用します。北ケープからは、ナミビアに広がる砂漠の荒野やボツワナのオカバンゴ デルタの見事な水景を訪ねるのも簡単です。