1603年(慶長8年)、徳川家康が上洛の際の宿泊所として建設した城。大阪冬の陣、夏の陣の本営として使われました。当初はさほど大きくなく、現在の規模に拡大したのは1624年(寛永元年)に家光が大修築を行ってから。長い月日を経て迎えた幕末の1867年(慶応3年)10月13日、15代征夷大将軍徳川慶喜が二条城二の丸御殿の大広間で大政奉還を発表し、江戸幕府は終焉。明治という新しい時代の幕が開かれたのです。
激動の時代を見てきた元離宮 二条城。二重の堀と二つの城があるのは、攻め入られたときに守りやすくなるのでこういう姿になったといわれています。
出入り口を通ってすぐにそびえる立派な東大手門をくぐると、安土桃山時代の武家風書院造の二の丸御殿(世界遺産)があります。土蔵(米蔵)や数々の対面所に広間、白書院(将軍の寝室及び居間)など部屋の数30以上。その多くが金箔や華麗な装飾で彩られています。さらに3000面以上の障壁画があり、その約三分の一が国の重要文化財に指定されています。ちなみに大政奉還の舞台となったのは、二の丸御殿の中で最も格式高い大広間です。
内堀に囲まれた本丸御殿(旧桂宮邸)。創建時のものは二の丸御殿と同規模だったといわれていますが、1750年(寛延3年)の落雷、1788年(天明8年)の大火により焼失。現在の本丸御殿は明治26年から一年かけて京都御苑の旧桂宮邸御殿を移築したものです。
お城に夢中になるのも良いですが、建設当時から姿があまり変わっていないとされる庭園もお見逃しなく。春先になると梅の花、暖かくなると桜、そして新緑などと四季の草木が美しいので散策にも打ってつけです。小堀遠州が直接手掛けた二の丸庭園「八陣の庭」には、池の中で四つのかけ橋によってつながっている三つの島があります。一方で、二の丸御殿の北側にある清流園は1965年(昭和40年)に作られた和洋折衷庭園。園内にはお茶を飲みながら庭を観賞できる茶館があります。
江戸幕府の幕開け終焉の舞台、二条城。明治以降も時代に翻弄されながらも威光を放つ、日本が世界に誇る文化財に会いにいってみませんか。
アクセス: 京都駅から市バス停二条城前すぐ。最寄り駅は地下鉄東西線二条城前駅。近くにメーター制駐車場あり。入場料有、展示収蔵館は別途料金。開城時間8:45~17時(受付は16時まで)。幾つかの月の火曜日休業。