マンチェスター市の庁舎と議会が入ったこの建物は、貴重な美術作品を数多く納め、鮮明な印象を与えるビクトリア様式の外観を備えています。

マンチェスターが昔から庁舎として使用してきた建物は、市議会の議場という役割が加わり、引き続き市の命運を左右する場として活躍しています。内部を特徴づけるのは、「グレートホール」(大広間) をはじめとする式典用の部屋とさまざまなオフィスですが、堂々とした外観の印象を決めているのは、高さ 87 m (285 フィート) の鐘楼。マンチェスターにとって、ここに架かる「グレートエイベル」は、ロンドンにとっての「ビッグベン」と同様の意味を持っています。1877 年に完成したホールは、眼裏に残るビクトリア朝ネオゴシック様式で、設計したアルフレッド・ウォーターハウスは、マンチェスター博物館の設計も手掛けた当代随一の建築家でした。内部に目を転じ、「グレートホール」(大広間) や「スカルプチャールーム」(彫刻の間) に精彩を加えている芸術的、歴史的至宝を探してみましょう。ヴォールト式天井は、階段を上るとしっかり観察できますが、市庁舎の宝物について知るなら、定期的に出発する無料のガイドツアーに参加してはいかがでしょうか。入り口と「彫像の間」には、物理学者のジェームズ・プレスコット・ジュールや化学者のジョン・ダルトンなど、地元出身の偉人たちの胸像や彫像が並んでいます。フォード・マドックス・ブラウンによる「大広間」の 12 連作壁画は、一説にはビクトリア朝時代にマンチェスターが理想としたと言われている事柄で壁面を彩っており、科学史、教育、交易、織物産業、マンチェスターの礎となったローマ人の入植までが見受けられます。天井を振り仰ぐと、ガラス越しに降り注ぐ自然光の輝きとともに、1838 年以降の歴代の市長と議長の名前が読み取れます。「大広間」の外では忘れずに足元もご覧ください。敷き詰められたモザイクは、勤勉と産業を象徴し、マンチェスターの紋章にも組み込まれているハチの模様を描いています。マンチェスター市庁舎で「彫像の間」を見学できるのは平日のみ、カフェの営業も平日のみです。マンチェスターの中央に位置し、アルバート広場を通る人々に絶大な存在感を投げかけるマンチェスター市庁舎は、タクシー、バス、路面電車ともに交通至便で、路面電車の最寄り駅、メトロリンクは、セントピーターズスクエアにあります。車の場合は、ナショナルカーパークス (NCP) の有料駐車場をご利用ください。