古くから「秋はもみじの永観堂」と呼ばれるほどの紅葉の名所であり、また、「見返り阿弥陀様」など不思議な言い伝えがある禅寺。哲学の道の近くにある京都名所の一つです。
木々や池に包まれた静かな空間が広がる永観堂は、仁寿3年(853年)、弘法大師空海に師事して真言密教を学んだ僧、真紹が藤原関雄の故居を買い取って禅林寺の敷地に当てたことが始まりです。その後、平安時代から昭和にかけて様々な建物が建設、改修、増築、再建、または復元されてきました。鎮守堂と2階建ての多宝塔の落成式が行われたのが昭和3年、1928年です。
平安時代末期から鎌倉時代初期の作で、洛陽六阿弥陀の一つに数えられるものがあります。それは、「見返り阿弥陀」と呼ばれているもの。左肩越しに後ろへ振り向いている、非常に珍しいその独特の姿ゆえの呼び名です。この姿は、修行中の高層 永観を振り返って「永観、遅し」声をかけられたという阿弥陀仏像の伝説に由来しています。その見返り阿弥陀が安置されている阿弥陀堂が建設されたのが慶長2年(1597年)です。
永観堂七不思議のひとつに「岩垣もみじ」があります。これは、境内の急斜面に生えているもみじの木なのですが、それほどの急斜面からもみじが生えることはとても珍しいことから七不思議に数えられています。
一時、気を留めたいのが境内を流れる水が集まる放生池。石橋がかかっており、地上の四季の風景を鏡のように水面に映し出します。特に秋が深まって紅葉のピークを迎えるころに橋から眺めるもみじは圧巻です。冬の足音が聞こえてくるような季節は紅葉のライトアップが実地されるため、暗くなるまで一般公開されます。
アクセス: 京都駅からバス5系統で約35分の南禅寺・永観堂下車、徒歩数分。営業時間は9~16時。年中無休。入場料有、秋の寺宝展は高め。