ソレントの中心地、タッソ広場の裏側には緑生い茂る谷間が口を開けています。そこにたたずむ草に覆われた古代遺跡は、知る人ぞ知る秘宝です。
ソレントの海岸沿いには、数千年前に水の流れによってえぐられた渓谷が点在します。その中でも特に印象的なのは、街の中心にあるディープ バレー オブ ザ ミルズ (イル バローネデイ ムリーニ) です。タッソ広場の隣にある絵のように美しい谷で、時間をかけて眺める価値のある場所です。ソレント歴史地区の自然の境界線でもあります。カザルラノ–カザラーノ川とサンタントニオ川の 2 本の川によって渓谷に峡谷が作られました。峡谷の底をのぞくと、この谷の名前の由来となった古い製粉工場 (ミルズ) が見えます。 900 年代に作られた石造りのこの工場では、およそ 1000 年もの間小麦の製粉が行われていましたが、谷の湿度が上昇し、製粉の妨げとなったことから、19 世紀に閉鎖されました。霧が発生しやすい微気候はシダ植物の成長にうってつけで、まるで自然が建物を吸収しようとしているかのように、工場の屋根には植物のツルや枝が絡みついています。製粉工場には、地元の家具職人に木材を供給する製材所が併設されていました。他にも、穏やかな小川から水を引いていた公共の洗濯場の名残も見ることができます。町の女性が洗濯物で一杯のカゴを持ってやってきて、谷で涼みながら洗濯をしている様子を想像してみてください。現在、谷底におりることは推奨されていません。谷の中を見るには通りから見下ろしてください。遺跡や植物をもっとよく見たい方は、双眼鏡か遠くまで見えるズームレンズ付きのカメラをお持ちください。タッソ広場から歩いてすぐのフオリムラ通りが絶景ポイントです。ベストな時間帯は、谷の中がはっきりと見える明るさの早朝から午前中です。正午以降は太陽の傾きで谷全体が影に覆われ、見えづらくなります。遺跡がライトアップされる夜もおすすめです。