教皇の宮殿では、美しい建築や宗教芸術を鑑賞したり、ヴィテルボと教皇領との関係を学んだりできます。この威厳ある歴史的建造物ができたのは 13 世紀中期。ローマ教皇のアレクサンデル 4 世が当時ローマで生じていた対立から逃れ、教皇のための居住地を作りたいと考えたのです。その完成から 1281 年までの間、教皇の宮殿は、教皇の本拠地としての役割を果たしました。
この壮大な建築はサン ロレンツォ広場の北側を見渡す場所にあります。広場からは宮殿のファサードと門の美しい姿を堪能でき、堂々とした構えの階段を上って近くまで行くことができます。メインの出入口の左側には装飾が施されたアーチ型の窓が並び、宮殿の壁の上には中世からの胸壁が続いています。
ファサードの右側は、7 つのアーチ型が目を引くロッジア (開廊)。教皇の記章とヴィテルボの紋章を表す複雑な彫刻が必見です。ロッジアの裏手の中庭には、獅子の装飾が施された噴水があり、ひと息つくのに最適です。ここからヴィテルボの市壁を見渡せます。
新教皇の選出が行われたコンクラーベの間を見学したい場合は、事前に申し込む必要があります。1268 年に当時の教皇が没し、新教皇が選出されるまでのおよそ 3 年間を枢機卿たちはここで過ごしました。いつまでも決まらないことに業を煮やしたヴィテルボの役人が、枢機卿たちをこの部屋に閉じ込めて施錠し、パンと水だけを差し入れたうえで、屋根さえも取り去ってしまったのです。別の部屋では、フレスコ画やクレメンス 8 世の紋章を見ることができます。
教皇の宮殿は中世からの歴史を持つサン ロレンツォ広場にあります。ヴィテルボの歴史地区の西側に位置します。広場周辺には他にも見どころがいろいろ。ヴィテルボ大聖堂でロマネスク様式のデザインを堪能したり、ドゥオーモ付属博物館で考古学的な遺物や古美術の展示を鑑賞したりできます。
教皇の宮殿は月曜日休館。有料ですが、ガイド付きのツアーが利用できます。宮殿のほか、ヴィテルボ大聖堂と大聖堂博物館の見学も含まれます。