聖ラザロ教会は聖書に登場するベタニアのラザロの遺体の上に築かれたと伝えられる聖所で、伝承によれば、ラザロはイエスの手で復活を遂げ、逃亡先のキプロスで余生を終えたとされています。聖ラザロ広場に誇りかに立つ石造りの教会は、この街の今が激動の歴史の先にあることを象徴するかのようです。
教会の巨大な鐘楼を見上げると、天頂部はピラミッド型、雲を突く尖塔 (せんとう) にはいくつも窓が口を開き、中の鐘が見え、堂々としたアーチ、石に施された精緻な意匠が背景の青空に美しいシルエットを描いています。たっぷりとゆとりを感じる広場で教会の概観をめで、キプロスの太陽の心地よい刺激に酔いしれましょう。
夜はこの教会が金色の光に包まれた厳かな姿を写真に残すことができ、結婚式などのセレモニーに利用すると、得も言われぬ風情が加わります。広く開いたポーチから歴史ある堂内に足を踏み入れ、辺りを見回すと、見るからに聖なる雰囲気を漂わせる遺物が壁面に点在しています。
教会は 17 世紀に再建されており、現在展示されている遺物のほとんどはその時に調えられた品です。昇天するラザロの銀製イコンも、復活図とともに展示されています。
祭壇下にもぐってみると、不気味な地下室が広がっており、ラザロのものとされる墓がありますが、遺体は別の地に移送されたとの異説もあり、本当のところはわかりません。
年に 1 度、復活祭の 8 日前に相当するラザロの土曜日には、聖書に出てくる聖人ラザロのイコンが運び出され、行列が街路を練り歩きます。
教会見学が可能な公開時間は、正午から比較的短時間の昼休みをはさんで朝から晩までで、週末はこのお昼休みもありません。入場は無料です。
聖ラザロ教会は、ラルナカ旧市街南部にあり、フィニクデス ビーチから西へ数ブロックでたどり着きます。バスの場合は、教会の隣を通るファネロメニス通りのどこかまでご利用ください。近くにあるキャッスル スクエアふ頭とその側を通る遊歩道に立ち寄るのをお忘れなく。