投稿者 : 鈴木 圭、投稿日 2019 年 12月14日

中世の雰囲気と美味しい食事で最高! トスカーナの古都シエナの見どころ

誰もが訪れる定番の都市ではなく、少し足を伸ばして観光地ではないイタリアの空気を感じたい。そんな人には、トスカーナ州中部にあるシエナがおすすめです。

ローマやヴェネチアなどのような超有名都市ではありませんが、そのぶん観光客の姿が少なく落ち着いていて、イタリア本来の雰囲気を感じられる街です。今回はこのシエナの見どころやグルメ情報、楽しみ方などをまとめました。

中世イタリアの素朴な雰囲気を感じられるシエナ

シエナはフィレンツェからローカル線に乗っておよそ1時間半。トスカーナのぶどう畑を抜けた先にある、人口53,000人ほどの街です。日本では知る人ぞ知るといった感じですが、中世の美しい街並みがそのまま残り、ユネスコの世界文化遺産にも登録されるなど観光地としてもたくさんの魅力があります。

シエナの旧市街地
シエナの旧市街地には、中世の美しい街並みがそのまま残っています

シエナはもともと、中世時代に銀行業で栄えた街です。特に最盛期を迎えた13〜14世紀には、隣国フィレンツェを凌ぐほどの勢いがあったと言われるほど。その経済力を背景にルネサンス芸術の中心地の一つでもありました。

現在、旧市街地に残された大聖堂やカンポ広場など、歴史的建造物の多くはこの時代に作られたものです。特にカンポ広場は世界で最も美しい広場のひとつと言われており、その場に立ってみると当時のシエナがどれだけ栄えていたかイメージできるでしょう。

中世の雰囲気
中世の雰囲気が残る街中は歩いているだけでも楽しいもの

また、シエナは美食の国イタリアの中でも、さらに食どころと言われるトスカーナの街であることもおすすめしたいポイントの一つ。実際にシエナに訪れてみると分かりますが、街の周囲にはワインのためのぶどう畑が広がっており、農業や畜産業がさかんな丘陵地帯に囲まれています。当然ながら街の名物料理は美味しいものばかりで、滞在中はいくら胃袋があっても足りない思いをすることになるかもしれません(名物料理はあとでしっかりと説明します!)。

シエナの市外
シエナの市外には豊かな田園風景が広がります

ローマやフィレンツェのようなツーリスティックな雰囲気がなく、イタリアらしい中世の街並みが楽しめ、そして食べ物が美味しい。これだけ条件が揃っていれば、旅行者にとって他に言うことは何もないはず。イタリアの日常を楽しむという意味では、最高の環境が整った街と言えるでしょう。

トスカーナの古都シエナ、その見どころは?

シエナの見どころは大きく分けて、シエナ大聖堂とカンポ広場の2つがあります。それぞれのポイントをご紹介しましょう。

フィレンツェを意識した「シエナ大聖堂」

大聖堂とは、キリスト教において司教の座る椅子(司教座)が置かれた聖堂のこと。イタリアの大きな街には必ずと言っていいほど大聖堂があり、シエナも例外ではありません。大聖堂のほか、鐘楼やピッコロ―ミニ家の図書室、洗礼堂、クリプタ、大聖堂付属美術館、大聖堂付属美術館などが一体となった、非常に大規模な見学スポットです。

白と黒の大理石のストライプが特徴的
この地方の大聖堂に多い、白と黒の大理石のストライプが特徴的

シエナの大聖堂がこれほどの規模になった背景には、同時期に建造されていたフィレンツェのサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂の影響があったと言われています。当時、シエナはこの地方の覇権をフィレンツェと争っており、何かと意識することの多い存在でした。そのため、シエナはフィレンツェに負けない大聖堂を建造しようと、当初の建設予定から修正・増築を繰り返していたのです。

最終的に財政難やペストの流行などにより、当初の構想を満たすことなく建設は終了しました。全体的にシンメトリーでなく外観の構成に無計画さが感じられるのは、こうした建造時のエピソードとも無関係ではないでしょう。ただ、その規模や内装の豪奢さは素晴らしく、ゴシック式聖堂の傑作として非常に高く評価されています。

聖堂内部の装飾
聖堂内部の装飾は圧巻の一言です

シエナ大聖堂には先にも挙げた付帯施設のほか、期間限定で公開されている床面装飾や天空の門へのツアーなど、たくさんの見どころがあります。これらを全て回ると、所要時間はおよそ3時間ほど。時間を確保して、ゆっくりと見学することをおすすめします。

期間限定で公開
床面装飾は8月18日〜10月27日までの期間限定で公開されています(年によって公開期間が変わる場合があります)

大聖堂の屋根裏
大聖堂の屋根裏に上がることができる天空の門ツアー(こちらも1月1日〜1月6日、3月1日〜12月31日までの期間限定です)

シエナ大聖堂(Duomo di Siena)
住所:Piazza del Duomo, 8, 53100 Siena
電話番号:(+39)0577-286300
営業時間:1月1日〜1月8日10:30〜18:00(祝祭日13:30〜17:30、祝祭日前日10:30〜17:30)、1月9日〜2月28日10:30〜17:30(祝祭日13:30〜17:30、祝祭日前日10:30〜17:30)、3月1日〜11月1日10:30〜19:00(祝祭日13:30〜18:00、祝祭日前日10:30〜18:00)、11月2日〜12月25日10:30〜17:30(祝祭日13:30〜17:30、祝祭日前日10:30〜17:30)、12月26日〜12月31日10:30〜18:00(祝祭日13:30〜17:30、祝祭日前日10:30〜17:30)
料金:OPA SI PASS(大聖堂、ピッコロ―ミニ家図書室、洗礼堂、クリプタ、大聖堂付属美術館の共通券):15ユーロ(8月18日〜10月27日)、13ユーロ(1月1日〜1月6日、3月1日〜8月13日、10月28日〜10月31日、12月26日〜12月31日)、8ユーロ(11月1日〜12月24日、1月7日〜2月28日)、OPA SI PASS PLUS(共通券+天空の門):20ユーロ(3月1日〜1月6日の期間限定)

シエナの中心地「カンポ広場」と「マンジャの塔」

シエナでは、カンポ広場も必ず訪れたいスポットの一つ。正面に建つ市庁舎に向かって緩やかに傾斜している扇形の広場で、世界で最も美しい広場とも讃えられています。また、7月と8月にはパリオという馬術競技が行われる場としても有名で、この日は世界中から多くの観光客を集めます。

カンポ広場
広場に座り込んで時間を過ごす人も多く、市民の憩いの場になっています

カンポ広場に来たら、周囲の雰囲気を楽しむのはもちろんですが、市庁舎の隣にあるマンジャの塔にも登ってみましょう。14世紀に建設された高さ102メートルの塔で、地上から展望台へ上がる階段が開放されています。塔内の狭い階段を上がるのはかなり骨が折れますが、そのぶん上から見える景色は格別。シエナの旧市街地はもちろん、周辺の田園地帯までを見渡すことができます。

マンジャの塔
エレベーターはないため、歩きやすい靴で訪れましょう

マンジャの塔(Torre del Mangia)
住所:Piazza del Campo, 1, 53100 Siena
電話番号:(+39)0577-292226
営業時間:10:00〜16:00(夏季3月1日〜10月15日は10:00〜19:00)
料金:10ユーロ

イタリアの食どころ、シエナのグルメってどんなもの?

冒頭部分で少し紹介しましたが、シエナのあるトスカーナ州はイタリアの中でも食どころとして有名な場所です。シエナに来たら味わっておきたい名物料理を、いくつかご紹介しましょう。

日本人好みのモチモチパスタ「ピチ」

カーチョ・エ・ペーペ
こちらは「カーチョ・エ・ペーペ」のピチ

イタリアと言えばやっぱりパスタ。どの地域や街にも名物のパスタがありますが、中でもシエナ発祥の郷土料理と言えばピチです。スパゲティを極太にしたような形状のロングパスタで、歯ごたえのあるもちもちした食感は、日本人なら誰でも好きになるでしょう。ニンニクを利かせたトマトソース「アリオーネ」やイノシシなど獣肉の「ラグー(ミートソース)」で提供されることが多いのですが、最近はペコリーノチーズと胡椒を利かせた「カーチョ・エ・ペーペ」のピチもよく見かけます。

14世紀に書かれた料理本にも登場する「フェガテッリ」

フェガテッリ
内蔵料理はトスカーナ地方の定番でもある

トスカーナらしい素朴な料理といえば、このフェガテッリもおすすめしたい一品。豚のレバーを網脂(内臓の周りについている網状の脂)で包み、ローリエやフェンネルと一緒に調理したシンプルな料理です。その歴史はとても古く、なんと14世紀のトスカーナ地方の料理本にも登場していたのだとか。脂分とハーブが利いているせいか思った以上に臭みを感じず、レバーは苦手な方にも十分におすすめできます。

シーズンが合えばぜひ試してみたい「ポルチーニのフライ」

ポルチーニのフライ
あまりに美味しくて無言になってしまいます

イタリアの秋の味覚と言えばポルチーニ茸。こちらはそのポルチーニを贅沢に大きくカットしてフライにした一品です。味付けは軽く塩をふっただけ。調理方法としてはこれ以上にシンプルなものもありませんが、噛むと衣の奥から茸の水分がじゅわっと出てきて、思わず黙り込んで食べてしまう美味しさです。ポルチーニ茸が採れる秋にだけ登場するメニューですが、見かけたらぜひ試してみてください。

デザートワインと一緒に食べる「カントゥッチ」

カントゥッチ
レストランでは「ヴィン・サント」と一緒に提供される

最近日本でも人気が出てきたイタリアのビスコッティ「カントゥッチ」は、実はトスカーナ地方の伝統的なお菓子です。2度焼きしているので「サクサク」よりは「ガリッ」という食感で、噛みしめると素朴な小麦粉とアーモンドの味わいが広がります。そのまま食べても美味しいのですが、おすすめは「ヴィン・サント」という甘いデザートワインに少しずつ浸して食べる方法です。アルコールが苦手な方はコーヒーやジェラートに浸して食べるのも美味しいですよ。

フィレンツェとシエナ、どっちに泊まるのが正解?

イタリアを観光するならシエナは絶対おすすめの街ですが、他にもフィレンツェやローマ、ヴェネチアなど魅力的な街はたくさんあります。旅行計画を立てる上で、どこに泊まるべきか悩む人も多いのではないでしょうか。
シエナへ行く場合は、一般的にローマもしくはフィレンツェからアクセスすることになります。

ローマからアクセスする場合

急行電車Intercityと普通列車Regionaleを利用してキュージ・キャンキャーノ・テルメ(Chiusi-Chianciano Terme)もしくはグロッセート(Grosseto)で乗り換え、所要時間はおよそ3時間〜3時間45分

フィレンツェからアクセスする場合

普通列車Regionaleを利用、所要時間はおよそ1時間30分

ご覧いただくと分かる通り、シエナはトスカーナの山間にある街ということもありアクセスはそれほどいいとは言えません。ローマやフィレンツェなどの大都市からは、普通列車に乗り換えて山間に分け入っていくようなイメージです。そのため、移動の効率性を重視するなら、周辺都市へアクセスしやすいフィレンツェに泊まるほうがいいかもしれません。

ただ、シエナには小さな街らしい素朴さと落ち着いた雰囲気があり、中世の街並みをゆっくりと楽しむことができます。特に夜になってからの街並みははっとするほどの美しさです。個人的には多少の移動時間がかかっても、イタリアらしい雰囲気が存分に楽しめるシエナ泊がおすすめです。イタリアには他にも魅力的な街がたくさんあるので、悩ましいところではありますが……。

カンポ広場や大聖堂
カンポ広場や大聖堂のライトアップもきれいです

美味しい食べ物と中世の雰囲気、シエナはイタリア観光の隠れた実力者

イタリア旅行ではとかくフィレンツェやローマなどの大都市がクローズアップされがちですが、シエナのような小さな街も独特の魅力があり、ぜひおすすめしたいスポットです。美味しい食べ物と中世の雰囲気を味わいに、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。

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