ベネチアは本島だけじゃもったいない! 周辺のラグーンの島を巡る旅
イタリア旅行のハイライトともいえるベネチア。観光の中心はサン・マルコ寺院やリアルト橋のある本島ですが、それだけで観光を終えてはいませんか?
ベネチアはもともとベネチア湾の干潟の上に作られた街。市街地のある本島の周囲には大小合わせて100以上もの島(ラグーン)があり、それぞれに特色や見どころがあります。今回の記事では、そのラグーンの見どころやアクセス情報などをまとめました。
ベネチア観光はラグーンにも行くべき、その理由は?
「水の都」や「アドリア海の女王」などさまざまな異名を持つベネチア。街中に張り巡らされた水路や長い歴史を持つ宮殿など、その光景はどこを切り取っても美しく、世界中から多くの人が訪れるのもうなずけます。
運河を行くゴンドラはベネチアを代表する光景の一つ
ただ、ベネチアは世界的に有名な観光地ということもあり、常に多くの人々が集まる場所です。サン・マルコ寺院やドゥカーレ宮など主要な観光地には常に行列ができ、細い路地では体を傾けながらすれ違うこともしょっちゅうです。多くの人を集める魅力がある街といえばそうなのですが、あまりの賑わいぶりに少し疲れを感じる人もいるかもしれません。
ベネチアはどこも多くの人で賑わう
ベネチアというと、多くの人がカナル・グランデ(大運河)の周囲に市街地が広がる本島を想像するかもしれません。しかし、実際にはイタリア半島にあるメストレ地区や、本島周辺にある100以上のラグーンもすべてベネチアの一部。そして、ベネチア湾に浮かぶラグーンは、かつて職人の街として栄えた歴史があったり、ベネチアという街の起源になった場所があったりと、実にさまざまな特色があります。
サン・マルコ広場の向かいにあるサン・ジョルジョ・マッジョーレもラグーンの一つ
ラグーンの島々は本島ほど観光客が殺到するわけではないため、落ち着いた雰囲気でのんびりできるのも特徴の一つ。ツーリスティックではない、古き良きベネチアの姿を見たいのであれば、むしろおすすめはラグーンの島々のほうかもしれません。
気軽に行けるラグーンの島々、おすすめはどこ?
ベネチア湾にある100以上のラグーンのうち、いくつかは現在も人が住んでおり、ヴァポレット(水上バス)などで気軽に訪れることができます。その中でも、観光におすすめの島をご紹介しましょう。
かつてはガラス職人が集まった「ムラーノ島」
ベネチアのラグーンのうち、観光客にとって最も有名なのはおそらくこのムラーノ島でしょう。かつてベネチアは共和国として栄華を極めた時代がありますが、ベネチアングラスは有力な輸出品でした。その製造技術の模倣や職人の流出を避けるために、国はムラーノ島に職人を住ませ、工房をひとところに集結させたのです。
島内には工房やガラスショップが並ぶ
こうした歴史もあり、ムラーノ島は今でもベネチアングラスの島として知られています。島内にはベネチアングラスの工房やショップが並び、ちょっとした美術館のような雰囲気です。ベネチアングラスは高価なイメージがありますが、お皿やコップなどの実用品は意外とリーズナブルでお土産にもおすすめです。
また、ムラーノ島やベネチアングラスの歴史に関する展示が見られる、ガラス美術館もおすすめのスポットのひとつ。時間に余裕があれば、ぜひこちらも立ち寄ってみてください。
もともとは貴族の邸宅だった建物を美術館として使用している
ムラーノ・ガラス美術館(Museo del Vetro)
住所:Fondamenta Giustinian 8, 30141 Murano
電話番号:(+39)041-739586
営業時間:10:30〜18:00(定休なし、冬季11月1日〜3月31日は10:30〜16:30)
料金:14ユーロ
レース細工とカラフルな家がかわいい「ブラーノ島」
ムラーノがベネチアングラスの島なら、ブラーノはレース細工の島です。ラグーンの島々ではもともと漁業が盛んで、魚を獲る網を作ったり修繕したりする技術に長けていました。ブラーノ島のレースはその技術を生かしたものと言われており、現在ではカーテンやテーブルクロスはもちろん、スカーフ、ドレス、傘などさまざまな「作品」が生み出されています。またブラーノ島と同じようにレースにまつわる博物館もあります。
ブラーノ島のレース編みはお土産にもぴったり
レース博物館(Museo del Merletto)
住所:Piazza Galuppi 187, 30142 Burano
電話番号:(+39)041-730034
営業時間:10:30〜17:00(定休なし、冬季11月1日〜3月31日は10:30〜16:30)
料金:5ユーロ
ブラーノ島のもう一つの見どころは、パステル調のカラーで彩られた可愛らしい家々です。ブラーノ島はもともと霧が多く、漁から帰ってきた男たちが自分の家をすぐ見分けられるように特徴的な色で塗ったのが始まりなのだとか。その伝統は今でも続いており、観光客の目を楽しませてくれます。
パステルカラーの家々はインスタなどのSNSでも投稿が多い
ベネチアの始まりの地とされる「トルチェッロ島」
ラグーンの中にはベネチアの起源となった島があることは先に紹介しましたが、それがこのトルチェッロ島です。
ベネチアの歴史が始まったのは5世紀頃のこと。もともとこの地域にはウェネティ人と呼ばれる民族が住んでいましたが、ゲルマン民族の侵攻から逃れるためにベネチア湾の湿地帯に逃げ込み、街を築きました。トルチェッロ島は、このときウェネティ人が逃げ込んだ島と言われており「ベネチア発祥の地」と呼ばれることもあります。
落ち着いた雰囲気が残るトルチェッロ島の風景
その後ベネチアの街としての機能は本島に移ったため、トルチェッロ島はそれ以上発展することなく今日を迎えますが、そのぶん素朴で落ち着いた雰囲気が残されています。
ラグーン巡りに欠かせないヴァポレット
ヴァポレットとはベネチアの運河や水路などをつなぐ水上バスのこと。他都市の路線バスのような存在で、ラグーン巡りをする場合は基本的にこのヴァポレットを利用します。
ヴァポレットはベネチア市民にとって欠かせない存在
ベネチアのヴァポレットはACTV社とAlilaguna社の2社があります。それぞれの運行ルートは非常に複雑で覚えにくいのですが、ざっくりと以下のように理解しておけば分かりやすいでしょう。
・ACTV社:ベネチア本島内やラグーンの島間を運行
(路線図:http://actv.avmspa.it/it/content/consulta-le-mappe)
・Alilaguna社:ベネチア本島と空港間を運行
(路線図:https://www.alilaguna.it/en/lines/lines-map)
正確にはAlilaguna社もベネチア本島内やラグーン間のルートを運行しています。ただ、本数や路線が少ないため、空港に行かないのであればACTV社のほうが使い勝手はいいでしょう。
ヴァポレットの停留所は運河に浮いている
乗り方は一般的な路線バスと変わりません。停留所の入口に改札があるので、そこにある機械にICチップ付きの乗車券をかざします。日本のSuicaやPasmoと同じようなものと考えるとイメージしやすいでしょう。チケットは24時間や48時間などそれぞれ有効時間が異なりますが、最初にかざした時から時間のカウントが始まります。
「ピッ」を忘れると罰金の対象になるため、十分にご注意を!
ヴァポレットの利用料金
ヴァポレットの料金はイタリアの一般的な路線バスに比べると少し高めですが、ラグーンへの移動はもちろん、本島を観光する際の移動にも使えます。乗り方と路線の番号さえ覚えてしまえばバスと同じ感覚で利用できるので、ぜひ挑戦してみてください。
ACTV社
・1回券(75分有効):7.50ユーロ
・1日券(24時間有効):20ユーロ
・2日券(48時間有効):30ユーロ
・3日券(72時間有効):40ユーロ
Alilaguna社
・1日券(24時間有効):30ユーロ
・2日券(48時間有効):50ユーロ
・3日券(72時間有効):65ユーロ
・ベネチア本島→空港:15ユーロ
ラグーンの島を効率的に回るおすすめルート
今回ご紹介したラグーンの島へ向かうルートはいくつかありますが、効率的に回るのであればブラーノ島、ムラーノ島、トルチェッロ島の順番がおすすめです。いずれもそれほど大きくなく、1日あれば3島とも回ることができるでしょう。以下、ACTV社を利用した場合の簡単にルートをご紹介します。
1.ベネチア本島からムラーノ島へ
ムラーノはラグーンの中では比較的観光客も多く、ベネチア本島からもアクセスしやすい島です。ヴァポレットの路線もいくつかの選択肢があるので、ホテルの場所や前後の予定などに合わせて決めるといいでしょう。ムラーノ島行きのヴァポレットは、主に以下の2カ所から発着しています。
ベネチア本島からムラーノ島へのヴァポレット乗り場
フォンダメンテ・ノーヴェ(Fondamente Nove):ベネチア歴史地区の北側
・Line4.1、Line4.2、Line12、Line13のいずれか(所要時間約10分)
フェロヴィア(Ferrovia):サンタ・ルチア駅前
・Line3、Line4.2のいずれか(Line3で所要時間約25分、Line4.2は各駅停車のため時間がかかる)
2.ムラーノ島からブラーノ島へ
ブラーノ島へ行く場合は、ムラーノ島に2つある停留所のうち、ムラーノ・ファロ(Murano Faro)からヴァポレットに乗ります。もう一つの停留所であるムラーノ・コロンナ(Murano Colonna)からブラーノ島行きのヴァポレットは発着していないのでご注意ください。時間帯によっては乗り場の前に行列ができていることがあるので、早めに停留所へ着くことをおすすめします。
ムラーノ島からブラーノ島へのヴァポレット乗り場
ムラーノ・ファロ(Murano Faro):Line12(所要時間約22分)
3.ブラーノ島からトルチェッロ島へ
トルチェッロ島へ行く場合はブラーノ島にある停留所からヴェポレットに乗船します。こちらは停留所も路線も一つだけのため、迷うことはないでしょう。
ブラーノ島からトルチェッロ島へのヴァポレット乗り場
ブラーノ(Burano):Line12(所要時間約5分)
4.トルチェッロ島からベネチア本島へ
トルチェッロ島からベネチア本島へ戻るヴァポレットも、停留所、路線ともに一つだけなので迷うことはないでしょう。ただ、本島側の停留所は「ベネチア」ではなく、フォンダメンテ・ノーヴェ(Fondamente Nove)という名前なので、その点だけ注意しておく必要があります。
トルチェッロ島からベネチア本島(フォンダメンテ・ノーヴェ)へのヴァポレット乗り場
トルチェッロ(Torcello):Line12(所要時間約40分)
運河を走るヴァポレットは、ベネチアだけの醍醐味
ベネチアはサン・マルコ寺院やリアルト橋など、とにかく見どころが多いので、本島だけで満足という方も多いかもしれません。でも、せっかく「水の都」に来たのならヴァポレットに乗って、周辺の島々にも足を運んでみることをおすすめします。
ラグーンならではの落ち着いた街並みを見られるのはもちろんですが、ヴァポレットに乗って運河や海の上を行くのは、ある意味ベネチアだけの醍醐味と言えるでしょう。ベネチアを旅行するなら、ぜひラグーン巡りも計画してみてください。
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