投稿者 : 鈴木 圭、投稿日 2019 年 5月19日

シチリアの州都パレルモ、そのエキゾチックな魅力をぜんぶ味わう!

地中海に浮かぶシチリア島の州都パレルモ。人口は約66万人とイタリアでは5番目に大きな街ですが、ローマやフィレンツェなどの有名観光地と比べると、まだ日本での知名度はそれほどではなく、馴染みがないという方も多いかもしれません。

しかし、実はとても複雑な歴史を持ち、ある意味「イタリアらしくない」エキゾチックな魅力にあふれる街であることをご存知でしょうか。今回はシチリア旅行の起点となるパレルモの簡単な歴史や見どころ、グルメ情報などをまとめてお伝えします。

シチリアの州都パレルモ、その魅力は文化の融合にあり

パレルモはイタリアの中でも一風変わった、独特の雰囲気を持った街です。その理由は古代ギリシア時代から続く、この島の複雑な歴史に起因しています。

パレルモにはどこかエキゾチックな雰囲気が漂う
パレルモにはどこかエキゾチックな雰囲気が漂う

シチリア島はもともと、地中海文明の十字路と呼ばれるほど多くの人が行き交う場所でした。温暖な気候に肥沃な土壌、そして交易に便利で豊かな海産物をもたらしてくれる海など、シチリア島はどの民族にとっても魅力的な場所だったのです。そのため、シチリアは古代ギリシア人やフェニキア人、古代ローマ、ビザンチン帝国などさまざまな民族からの支配を受けることになります。

海の向こうにはアフリカ大陸が広がる
海の向こうにはアフリカ大陸が広がる

9世紀には北アフリカからイスラム勢力が侵攻。831年にはパレルモが陥落、965年には島全土が征服されるなど、シチリアはあっという間にイスラム帝国の手に落ちていきます。パレルモには王朝の首都が置かれ、当時最先端の建築技術やイスラム様式の生活文化がもたらされるなど、人口30万人を越える大都市として発展しました。

さらに、11世紀になると北からノルマン人が侵攻、1130年にはノルマン・シチリア王国が成立し、この都もパレルモに置かれることになります。ノルマン人はキリスト教徒でしたが、初代国王の采配によりこれまでシチリアを支配していたアラブ人やギリシア人にも活躍の場が与えられます。こうして、パレルモにはアラブ様式とノルマン様式が融合した独特の文化が発展していきました。

パレルモの大聖堂は複雑な歴史の象徴でもある
パレルモの大聖堂は複雑な歴史の象徴でもある

その後もパレルモはフランスやスペインなどさまざまな国の支配を受けますが、アラブ人やノルマン人の支配時代に生まれた建築物や生活文化はそのまま残され、街の独特な景観を作り上げることになります。2015年には「アラブ-ノルマン様式のパレルモおよびチェファルとモンレアーレの大聖堂」として世界文化遺産にも登録されました。

パレルモのストリートを歩いていると、ふとエキゾチックな異国情緒を感じることがありますが、それはこの時代の雰囲気が未だに色濃く残されているからなのかもしれません。パレルモは、バロック様式の建物に混じって突然イスラム様式の建物が現れるような街。イタリアにあってイタリアらしくない、そんなカオスな雰囲気がパレルモの最大の魅力なのです。

パレルモでおさえておきたい見どころは?

複雑な歴史を持つパレルモは、歴史的な建造物を中心に見どころがいっぱい。その中でも、特におさえておきたいスポットをご紹介しましょう。

カテドラーレ(大聖堂)

カテドラーレ(大聖堂)

もともとはモスクだった建物を、ノルマン人がキリスト教の聖堂として改築したという、まさにパレルモの歴史を象徴する建物。その後も改築を繰り返されたことにより当時の面影はほとんどありませんが、内部には皇帝や王の霊廟や宝物庫があり、歴史を知る上でも重要な建物。屋上からはパレルモの市街地が一望できます。

まずはパレルモの全景を確認してから街歩きを始めるのもいい
まずはパレルモの全景を確認してから街歩きを始めるのもいい

カテドラーレ(Cattedrale di Palermo)
住所:Via Vittorio Emanuele, 90040 Palermo
電話番号:(+39) 091-334373
営業時間:月〜土曜7:00〜19:00、日曜8:00〜13:00、16:00〜19:00
料金:8ユーロ(霊廟、宝物庫、納骨堂、屋上の共通券/礼拝堂へは入場無料)

ノルマン宮殿

ノルマン宮殿

アラブ人によって建設された要塞を、ノルマン人が宮殿として改築した建物。現在も州議会場として使用されているため一部のみが開放されています。建物内はいくつもの部屋に分かれていますが、中でも2階にあるパラティーナ礼拝堂は必見。室内全部が黄金のモザイクに飾り立てられるという荘厳さで、キリスト教美術の中でも有数の傑作と言われています。

パラティーナ礼拝堂は目もくらむような黄金の世界
パラティーナ礼拝堂は目もくらむような黄金の世界

ノルマン宮殿(Palazzo dei Normanni)
住所:Piazza Indipendenza, 1, 90129 Palermo
電話番号:(+39) 091-7056010
営業時間:月〜土曜8:15〜17:45、日曜8:15〜13:00
料金:13ユーロ(パラティーナ礼拝堂との共通券)

クアトロ・カンティ

クアトロ・カンティ

パレルモのメインストリートであるマクエダ通りとヴィットリオ・エマヌエーレ通りが交差する四つ角。バロック様式の噴水や春夏秋冬を表す彫刻で飾られており、思わず足を止めて見入ってしまう美しさです。中心街からカテドラーレやノルマン宮殿へ向かう道すがらにあります。

クアトロ・カンティ(Quattro Canti)
住所:Via Vittorio Emanuele, 80146 Palermo
電話番号:なし
営業時間:24時間

マッシモ劇場

マッシモ劇場

建築家ジョバン・バッティスタ・フィリッポ・バスティーレにより設計され、22年もの年月をかけて建設された歌劇場。ヨーロッパではパリのオペラ座、ウィーンのオペラハウスに次いで3番目の広さを誇ります。1階客席やロイヤルボックス、サロンなどに入れる見学ツアーもあるため、オペラ初心者でも気軽に立ち寄ることができます。映画「ゴットファーザー3」のロケ地として使われたことでも有名です。

マッシモ劇場(Teatro Massimo)
住所:Piazza Verdi, 90138 Palermo
電話番号:(+39) 091-6053521
営業時間:9:00~18:00(見学ツアー)
料金:8ユーロ(見学ツアー)

旅行の楽しみはやっぱり食! パレルモで食べたい一皿とは?

アラブ人やノルマン人の支配を受けてきたパレルモ。その影響は建造物だけでなく、食文化にも色濃く残っています。イタリアであってある意味イタリアらしくない、パレルモのグルメをご紹介しましょう。

シチリアの定番料理! イワシとフェンネルのパスタ

イワシとフェンネルのパスタ

シチリアのパスタと言えばまずはこれ。どのレストランでも見かける定番料理なので、旅行中に一度は試していただきたい一品です。一風変わった組み合わせですが、イワシの風味とフェンネルの芳香が絶妙で、食べ始めると止まらなくなる美味しさ。仕上げに炒ったパン粉をたっぷりとふりかけていただきます。

レーズンや松の実、サフランなどを入れるレシピもあり、店によって少しずつレシピが異なるので、旅行中に食べ比べてみるのもいいかもしれません。

見かけたら迷わず注文したい、ウニのパスタ

ウニのパスタ

日本では刺身や寿司のネタとして定番のウニ。実はイタリアでも海に近い場所では食べられることがあり、パレルモではパスタと和えて出しているレストランをよく見かけます。季節によってはメニューに載っていないこともありますが、もし見かけたらぜひ注文してみましょう。ウニはイタリア語でリッチ(Ricci)といいます。

日本のウニは形を整えるためミョウバンを使うこともありますが、パスタに混ぜるウニはそんな必要もないため、本来の磯の香りが強いのが特徴。お皿に残ったソースはパンにつけて食べても美味しいです。(パンでソースを拭うのはスカルペッタという行儀の悪い行為とされていますが、よほどフォーマルなレストランでない限りは気にしなくても問題ありません。)

シチリアの朝はグラニータで始まる

シチリアの朝はグラニータで始まる

グラニータはイタリア風のかき氷ともいえる存在。シロップと果汁を混ぜて冷凍するため、果実の味がより濃くさっぱりとした味わいが特徴です。定番はレモンですが、シチリアではオレンジやアーモンド、ピスタチオ、コーヒーなど多種多様なグスト(味)を見かけます。

観光の合間に食べるのも美味しいのですが、実はシチリアではこのグラニータをパンと一緒に朝ごはんとして食べます。特にシチリアの夏は暑いため、朝からグラニータを食べると汗がスッキリと引いて気持ちよく一日を始めることができます。

ドルチェにはクラシックなカッサータを

ドルチェにはクラシックなカッサータを

シチリアのドルチェ(スイーツ)といえばカッサータ。一般的には表面をマジパンでコーティングし、カラフルな砂糖漬けのフルーツをトッピングしたものが有名ですが、せっかく現地で食べるのならカッサータ・アル・フォルノがおすすめ。「アル・フォルノ」とは「オーブンで焼いた」という意味で、カンノーロにも使われるリコッタチーズのクリームをたっぷりといれて焼き上げた、よりクラシックな焼き菓子です。

マジパンや砂糖漬けのフルーツを使わないため甘さ控えめで、かつ味の要となるリコッタチーズの風味をより強く感じることができます。素朴な味わいでとても美味しいので、見た目のキツさでなんとなく敬遠していた人にも、ぜひ試していただきたいドルチェです。

パレルモはまさに「地中海文明の十字路」

シチリアはビーチリゾートや遺跡巡りなど、さまざまな楽しみがある島です。そのためパレルモはその玄関口として、さっと通過する予定の人も多いかもしれません。

しかし、パレルモは多様な文化が交錯した痕跡があちこちに残されており、アラブ諸国とヨーロッパの中間のような不思議な魅力がある街です。シチリア旅行を計画するなら、ぜひ滞在拠点の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。

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