まるで一頭の象が鼻を伸ばして漓江の水を飲んでいるかのように見えることから、その名がついた象鼻山は、約 3.6億年前海底に沈んだ石灰岩でできています。同名の美しい園内には明代初期のラマ式煉瓦造りの塔があり、美しい山水風景の中に、多くの文化遺産を見ることができます。
竹づくりのボートに乗って漓江をゆくと、その支流の合流点に象鼻山が見えてきます。象が鼻を伸ばして水を飲んでいるような洞窟のドームは、川面に映るとまるで美しい満月のようにもみえることから、水月洞と呼ばれています。辺り一帯が紅く染まる夕刻から満月の上がった夜空の時刻にかけて、象鼻山がひときわ美しく映えます。昼間訪れる場合には、ぜひ、洞窟の壁に刻まれている南宋時代 (7 世紀) の石刻を探してみましょう。唐や宋の時代から有名な名勝地であった「象山水月」の美しさを讃えた詩が数多く刻まれています。
中でも有名な、宋代の薊北処士の詩を思い出しながら、緑濃い象鼻山の頂上まで登ってみましょう。少々急な山道ですが、美しい景色が眼下に展開し、南北の両目が全景を見渡す絶好の場所として知られています。象の背中、象鼻山の頂上にそびえるのが、高さ約 13m の普賢塔。この塔は明代、14 世紀後半から 17 世紀中期にかけて建てられたもので、既に 500 年以上の歳月を経ています。
なお、遠くからみると、塔がまるで象の背に刺さった剣の柄のように見えるため、伝説では、天の象が人間のために働いたために天帝の怒りに触れ、剣を刺されて殺されてそのまま石に変わってしまったのだ、と伝えられています。
当然ながら、園内には石像の象が数多く散見されます。漓江沿いの川岸はもちろんのこと、最寄りの愛情島への石橋にも象を型どった石像が並んでおり、愛情島の島内では象だけでなく、恋人同士の姿を型どった大理石の像や、抽象的な彫刻が美しい園内に見られます。
桂林南部に位置する象鼻山へは、バスが何本か通っています。象鼻山は、一年を通じて早朝から深夜まで入場することができます。入場料がかかります。