アール デコのデザインが印象的なバカルディ ビル。この建物には数々の逸話が残されています。ビルは、ラム酒の製造企業バカルディ社の本社ビルとして 1930 年代に建設されました。12 階建てのこの建物はハバナ初の高層ビルでした。中二階部分にあるのは、当初バカルディ家のプライベート サロンとして作られたスタイリッシュなバー。現在はここで一般の人がお酒を楽しむことができます。
豪華な金色のファサードが目を引く外観。旧市街の中心部に立つ堂々たる建物です。赤い花崗岩、黄金のスレート、真鍮製の装飾の見事な組み合わせをじっくりと眺めましょう。近くで見てみると、入り組んだ装飾の中に裸の精霊やテラコッタのレリーフがあるのがわかるでしょう。四角い建物の中央にそびえる塔を見上げると、バカルディのシンボルであるコウモリの像が見えます。コウモリのモチーフは、建物内部でもあちこちに使われています。
中央入り口から中に入ると、壁画や精巧な文様があしらわれたきらびやかなロビーに目を見張るばかり。バーでは、バカルディの商品を楽しむことはできません。と言うのも、ラム戦争として知られる商標権争いの結果、ここでバカルディの飲み物を提供することは禁止されているからです。でも、この優雅なバーを楽しむことはできます。モヒートなどのカクテルを飲みながらリラックスするひとときは格別です。
バカルディの歴史をバーの店員に聞いてみましょう。バカルディ社は 1862 年にサンティアゴ デ クーバに設立されたのが始まり。近接するアメリカ合衆国で禁酒法が施行された時代に、アメリカ人をハバナに呼び込むことで財を成しました。しかし、1959 年のキューバ革命後、キューバ政府はバカルディ社の資産を国有財産として接収したため、バカルディ社はキューバから撤退しました。
現在、建物の大部分はオフィスとして使用されていますが、下の階とバーは一般公開されています。また、料金を支払うと、上階の展望コーナーまで行くことができます。
バカルディ ビルは、ハバナ北部のオールド ハバナ地区にあります。鉄道を利用し、中央駅またはラ コウブレ駅で下車。駅から北側に向かって徒歩 15 分の場所です。近隣のエル カピトリオ、フラテルニダ公園、カテドラル広場などの見どころも訪れてみましょう。