ゴールドフィールズ地方にあるクルーンズには、きわめて保存状態の良いヴィクトリア王朝時代の建造物が残っており、町の大通りには、ゴールドラッシュ時代そのままのの外観を保つ歴史的建物が並んでいます。かつてはヴィクトリア州第 5 位の入植地であったクルーンズは、今も 19 世期の佇まいを残す町です。当時と変わったことといえば、地元産の食材を使った料理とワインを提供するレストランと、のんびりとした休日にぴったりの宿泊施設が何軒か出現したことと、本をテーマとする興味深いフェスティバルが年に 1 度開かれることくらいでしょう。
クルーンズの大通りを歩き、今も息づく歴史を感じてください。馬や荷馬車を U ターンさせるのに充分な道幅がある通りにずらりと並ぶ商店。凝ったデザインの外観に、木製の日よけと、味のある手描きの看板が独特の雰囲気を醸しだしています。1870 年代には学校の校舎だったクルーンズの観光案内所に立ち寄り、この地域の歴史について知識を仕入れましょう。
映画、『ケリー ザ ギャング』と『マッド マックス』で、クルーンの町並みを見た方もいるのではないでしょうか。本物のオーストラリア奥地の町の風景を残すクルーンズは、いずれの作品でもロケ地となりました。クルーンズには数多くのアンティーク ショップと書店もありますので、覗いてみてください。町にある居心地のよさそうなバーには、アーティスト、作家、歴史家、ブッシュウォーキングにやって来た人々、金探鉱者といったような人々がいることでしょう。格調高いイタリア風の建物は、1878 年に建てられた郵便局。現在は古書店となっていますので、中に入ってみては。
本を探している方は、クルーンズで国際的なブックタウン フェスティバルが開催される時期を狙ってください。クルーンズは南半球唯一の開催地で、毎年 5 月になると、活気溢れる本の町に様変わりします。クルーンズ ブックタウン フェスティバルには 60 店を越える書店が集まり、町のあちこちにある青みがかった石材、ブルーストーンを使った歴史的建物で店を開きます。新書、古本、コレクター向け書籍、アンティーク ブックなど何千冊もの書籍が売り買いされるのです。文学愛好家にとっては、フェスティバルのイベントも楽しみのひとつ。作家の講演会やサイン会、本の交換会などがあります。
クルーンズは、ヴィクトリア州の州都メルボルンから北西に139 km (86.4 マイル) 行ったところにあります。電車の場合は、バララットからミルデューラに通じる鉄道路線を利用してください。
クルーンズから西の方向に、きれいな景色を楽しみながらしばらくドライブすると、タルボットという魅力的な町があります。毎月第 3 日曜日には、ファーマーズ マーケットが開催されていますので、ぜひ訪ねてください。さらに車を走らせてマウント ベックワース自然保護区に行けば、オーストラリア自生樹木が茂る低木林地や何本かのウォーキング トレイルがあります。