カーンチャナブリー市から少し上流に行ったところにある、この一見ごく普通の鉄橋は、1957 年に製作された映画『戦場にかける橋』によって世界的に有名になり、タイの国定歴史建造物に指定されましたが、現在でも重要な輸送ルートとして利用され続けています。
1943 年当時、地元のタイ人労働者と連合軍捕虜たちによって、ここには木製と鉄製の、2 つの橋が建設されました。これらの橋は、タイとミャンマー (当時ビルマ) の間の軍事ルートを確保するために、旧日本軍が建設した『死の鉄道』、いわゆる泰緬鉄道の一部でした。『死の鉄道』の異名は、その劣悪な労働環境のため、10 万人以上の犠牲者を出したことからつけられたものです。
しかし、1945 年、連合軍の空爆によりこれらの橋は破壊され、現在は、クウェー川を渡る鉄道のための鉄橋として活躍しています。東岸にある鉄道駅から、鉄道に乗ってこの歴史的な鉄橋を渡るだけでなく、鉄道の脇に建築された歩道を歩きながら、クウェー川周辺の眺望を楽しむことも可能です。
興味深いことに、この鉄橋は当初、クウェー川ではなく、メークローン川にかかっていました。しかし、映画『戦場にかける橋』が、実際に橋が架かっている川はクウェー川 である (本当はクウェー川に合流するメークローン川) という誤った認識の元に製作されたため、映画の世界的な成功を受けて、タイ政府は、架橋地点を含むメークローン川とクウェー川との合流地点から上流部分をクウェー川と改称することで、この認識の誤りに対応したという経緯があります。
今日、クウェー川鉄橋はタイを訪れる多くの観光客に人気の観光地となり、周辺には数多くのレストランやショップが軒を並べています。カーンチャナブリーの大地を曲がりくねって流れるクウェーヤイ川を更に堪能したい方は、数多くある地元のツアーオペレーターのボートツアーへの参加がオススメ。
カーンチャナブリー市からクウェー川鉄橋へのアクセスは、鉄道、タクシー、あるいは自転車が利用できます。クウェー川鉄橋への入場は無料です。