地元ならではのお酒に出会いたい。東京から「一筆書き切符」を使って楽しむ、名古屋・飛騨・富山の日本酒巡り
初めまして。酒と旅行がメインのブログを書いているcongiro(コンヒーロ)と申します。
普段から日本各地を旅しては、地元の方々が飲んでいる日常系の日本酒を好んで買って楽しんでいます。
特に好きなのは、その土地の日常酒を、その土地の方たちがいる酒場で飲むことですね。「誰かの日常は、私の非日常」。それを念頭に、いつも楽しく旅をしています。
今回は一箇所にのんびり滞在する「癒やしの旅」ではなく、動きまくって飲みまくる「攻める日本酒の旅」を紹介したいと思います。
私の性分なのですが、旅ではいろいろな予定を詰め込んで、あちこちを移動しています。その方が、数々のクエストをクリアしていくゲームのようで面白いのです。
出発地と目的地を一筆書きのようになぞって旅をする「一筆書き切符」
今回は、通称「一筆書き切符」と呼ばれる乗車券を使った日本酒旅へ出掛けることにしました。
通常は、出発する駅から目的の駅までの往復乗車券(計2枚)を購入するパターンが多いと思います。ところが一筆書き切符では、1枚の切符で乗車駅から複数の駅を経由して一筆書きのように路線をぐるっと巡り、再びスタート地点へ戻るという、変わった旅が楽しめるのです。
例えば東京都内から出発する一筆書き切符を購入すると、切符の券面には「東京都区内→東京都区内」と記載されることになります。
切符購入時は、この図を見せて時計回りか反時計回りかを伝えるとスムーズに買えて便利です
今回の旅では、東京都内を出発し、名古屋、岐阜県の高山本線(美濃太田・飛騨金山・飛騨荻原・高山・飛騨古川)と、富山を堪能した後に東京都内に戻ることにしました。
切符には「東京都区内→東京都区内」と記載されているのに、実際は名古屋・岐阜・高山本線・富山を経由しているのが面白いところです。切符だけを見ると近距離移動に見えますが、記載されている金額は1万円を超えているので、人に見せると驚かれることも。
ただし、東京都区内の駅で途中下車をしてしまうと「東京都区内→東京都区内」の要件を満たしてしまうことになるため、切符はその時点で終了(回収)となってしまいます。気をつけましょう。
注意点を確認したところで、今回の旅は、この一筆書き切符を使って「名古屋(富山)に行くなら(高山本線を使って)富山(名古屋)に寄ろう!」「名古屋・飛騨・富山、日本酒を堪能するツアー!」の豪華二本立てを楽しんでいきたいと思います!
旅の前に「一筆書き切符」を購入しよう
まずは、乗車券と特急券を最寄り駅で購入しましょう。「みどりの窓口」は時間帯によって混雑しているので、余裕を持って出発前日までに買っておいた方が良いかもしれません。
また、この一筆書き切符は「複数日にわたって使用できる」「途中下車が何度でもできる」などの特徴があります。私なりのおすすめポイントや注意点も含めて、以下の通り「一筆書き切符五箇条」をまとめてみました。
【1】乗車券には有効期限あり!
移動距離が101km以上の場合、その距離に応じて乗車券の有効期限が伸びます。例えば、200kmまでなら2日間、800kmまでなら5日間までといった形です。購入前に、いつから使うかを決めておきましょう!(今回の場合は7日間有効でした)
https://www.jreast.co.jp/kippu/04.html
【2】後戻りはできない!
後戻りや、切符に記載されてないルートの乗車はできません! 一筆書きのルートで同じ駅や同じ区間を通ることはNGです! 後戻りしたい場合や別ルートで寄り道をしたい場合は、別途きっぷを買いましょう。
【3】途中下車は何度でもできる!
今回の切符では、乗車券にある路線上での途中下車は何度でもできます。ただし、特急券には途中下車の制度がないので注意しましょう!(なお、移動距離100km以下の乗車券と大都市近郊区間内だけを通る乗車券では、途中下車はできません)
【4】改札は有人改札口を通ること!
途中下車が可能とはいえ、自動改札機で回収されたりすると一大事ですので、万が一に備えて出発時以外は自動改札機を通らないほうが安心かもしれません。(一筆書き切符の場合、自動改札機は途中で改札機が鳴って通れないことが多いですが……)
【5】最後は無効印を押してもらう!
ゴールとなる目的地の駅では、切符に無効印を押してもらいましょう! そうすれば、使用した一筆書き切符を旅の記念に持ち帰ることができます。
いよいよ出発! 新幹線で東京駅から名古屋まで寝過ごさず到達せよ!
乗車券と特急券を買ったら、本格的な旅のスタートです! 同じように一筆書き切符の旅を楽しみたい人に向けて、土日に1泊2日で巡ることを想定して書いていきますが、金曜日に仕事を早めに上がれるのであれば、そのまま旅に出ても良いと思います。
今回は時計回りのルートをたどる切符を用意したので、まずは東京駅から新幹線で名古屋駅へ。新幹線に乗ってもまだ飲んではいけない! あくまでスタートは最初の経由地である名古屋なのだ! 寝過ごしを避けるためにも、最初の新幹線では飲まないことにしているのです。
名古屋到着! クラシック・モダン・アヴァンギャルド、3つの酒場をコンプリートせよ!
名古屋に着いた~! 目に入る全てのネオンが日本酒にしか見えない! 幸いにも時間が早いので、一発目は大人気店に行ってみよう!
やってきたのは「大甚(だいじん)本店」。名古屋駅から地下鉄「伏見」駅に降りてすぐの場所にある。ここは100年以上続く、言わずと知れた大人気クラシック酒場! まずは挨拶代わりの「賀茂鶴」をお燗でいただきます! そう、大甚といえば賀茂鶴の樽酒なのです! クッキリとした味わいの惣菜には樽の香りのする燗酒がたまらないのです!
料理はテーブルに並ぶサラダや煮物や酢の物など30種類はある惣菜と、ショーケースの刺し身などをセルフで選んでいくスタイル! また、オーダーできる日替わりメニューなどもあります!
大甚は柳橋市場の近所にあるため新鮮な魚介類が豊富! 調理前の魚も置いてあるので注文すれば自分好みに刺し身や煮付けなどにもしてくれます。分からないときはお店におまかせして調理してもらうことも可能! ちょっと濃い目の味付けが樽酒との相互作用がたまらねぇ……。ただでさえうまいのに、雰囲気とも相まってガンガンに酒が進んでしまう!
混雑はしているけれど、回転は早くて入店しやすいので、足を運んでぜひ雰囲気に飲まれてほしい。旅の先は長いから、くれぐれも酒には飲まれないように!
大甚 本店
住所:愛知県名古屋市中区栄1-5-6
TEL:052-231-1909
営業時間:平日 16:00~21:00(LO)、土曜 16:00~20:00(LO)
定休日:日曜・祝日
お次は、大甚から歩いてすぐの伏見地下街へ! ここには、名古屋で有名なお酒のセレクトショップ「酒泉洞堀一」が運営する角打ち併設の酒屋「Shusendo Mini(シュセンドウミニ)」があるのです。
取り扱う銘柄は、「醸し人九平次」や「みむろ杉」や「楽器正宗」など、人気と実力を兼ねそろえた新進気鋭の酒造のものが比較的多く、日本酒の現在のトレンドを知るのにももってこい! クラシック酒場の後はモダン酒場と相場が決まっているのだ!
ここでかるーく1杯。今回は愛知県江南市のお酒「勲碧(くんぺき) 五条川桜 純米吟醸あらばしり 無ろ過生原酒」をチョイス! 桜酵母で醸した酒は、ふんわり、そしてしっかりとした味わい。お~、スイスイいける!
こちらで飲めるお酒はワイングラスで提供されるため、香りを楽しみながら味わうと良いですね! また、お酒は定期的に入れ替わるので足繁く通っても楽しいですよ~!
Shusendo Mini 伏見地下街店
住所:愛知県名古屋市中区錦2-13-24 伏見地下街内
TEL:052-212-8150
営業時間:12:00〜21:00
定休日:日曜・祝日
公式サイト:https://www.syusendo-horiichi.co.jp/
ここで地下鉄鶴舞線に乗って「いりなか」駅まで行こう。Shusendo Miniの最寄り駅である伏見駅から乗れば1本だ。ここには、ハードコア日本酒マニアを唸らす、知る人ぞ知る日本酒の聖地があるのです!
それがこの「覇通福らーめん」! ラーメンで酒が飲めるとか最高じゃないですか?
このお店のどういう部分がマニアの聖地なのか? それは10〜20年オーバーのヴィンテージ日本酒(熟成酒とも言う)を山ほど取り扱っているからなのです!
もはや幻ともいえる拗らせ熟成酒マニア垂涎の「歓びの泉」まであるぞ! マジか!
煮込みをつつきながら熟成された日本酒……。今回は限定の4種セット(百春、剣菱、東力士、シークレット)を注文しました。もはや枯山水と言わんばかりの美学を感じる「百春」! からの、灘の“ブレンデッド熟成”こと「剣菱」! そして栃木の洞窟王といえば「東力士」!シークレットは……なんだこれ? 分からんがうまい!
深淵を覗き込むような熟成酒の深みにトリップしているさなか、色濃くも優しい味わいの煮込みで我に返るルーチンを繰り返すこと数度……。やばい、これはやばい。もはや勝利確定!
それだけでもやばいのに、〆がラーメンですよ! 優勝! クラシック→モダンときたら、次はアヴァンギャルドと決まっているのです!
覇通福らーめん
住所:愛知県名古屋市昭和区花見通3-17 杁中ビル1階
TEL:052-837-5056
営業時間:18:30〜1:30(LO 1:15)
定休日:不定休
名古屋はこの流れで早くも大満足。旅のスタートは軽く勢いをつけて……と思っていましたけど、いきなりトップギアで駆け抜ける感じでしたね! 100点満点中の100万点です。
他には、「蓬莱泉(ほうらいせん)」で知られる関谷醸造が運営する日本酒バー「SAKE BAR 圓谷(まるたに)」もすごくオススメです。また、早朝から営業している飲み屋もあるので、名古屋名物のモーニング代わりに朝酒でスタートするのも良いかもしれません。
お土産は、東海地方で展開するご当地スーパー「ヤマナカ」などで買うと、名古屋ならではの食品がいろいろそろいますよ! 特に、味噌ダレの「つけてみそかけてみそ」や、コーミが販売する“コーミソース”で知られる「こいくちソース」などは、ぜひ手に入れたいところです。
富山から岐阜までをつなぐ「高山本線」で途中下車の日本酒旅へ
さて、ここから高山本線の旅スタートです!
時計回り、かつ土曜日の朝にスタートする方は、名古屋駅から特急列車「ワイドビュー ひだ」に乗ると楽ですね。金曜日に名古屋を堪能した方は、そのままワイドビュー ひだでも、普通列車でも、お好きな方を選んでいいと思います。
美濃太田で宿場町をゆき、地元酒屋でプライベートブランド日本酒を入手せよ!
ワイドビュー ひだを利用する場合はあまり意識することのない駅ですが、普通列車に乗る場合は、ここで列車の待ち合わせすることが多いですね。そこそこの待ち時間があるなら、駅を出て美濃太田を堪能しましょう!
美濃太田駅に近い太田宿は、中山道の51番目の宿場町。街並みや木曽川沿いを歩いてのんびりするのは気持ち良いです。
そして、「御代桜(みよざくら)」や「津島屋」で知られる「御代桜醸造」があります。一般公開をしている観光蔵ではないのですが、売店が開いているときは試飲して買うことも可能です。また、蔵のほど近くに「亀谷(かめがい)酒店」があるので寄ってみます。
こちらでは、御代桜を始め、近隣蔵のよそ行きではない日常的なお酒を多く扱っているのが個人的にはうれしいところ!
なんと、御代桜醸造にお米を持ち込んで造ってもらっているショップオリジナルの日本酒が2種類あります。純米大吟醸スペックのこの2つは、コクがありつつ曲線美のあるような……まろい味わいとでも言いましょうか。日常系を多く扱うこのお店において飛び抜けて上品な味です! ここにしかないプライベートブランドというのもあって、お土産には最高のチョイスだと思います。
女将さんとの会話も楽しく、あっという間に時間が過ぎていくので、列車の時刻には注意してください。私は話が盛り上がって2回ほど列車に乗り遅れた過去があります。
高山本線に揺られ次の目的地へ。景色の良さも高山本線のステキポイント!
飛騨金山のRPG感ある“筋骨めぐり”を堪能し、奥飛騨酒造で試飲・購入せよ!
飛騨金山は、駅から少し歩いて、飛騨川に掛かる金山橋を渡ってからが本領です。ちょっと懐かしい感じの商店や魅惑の路地裏……いわゆる「筋骨(きんこつ)めぐり」が楽しめます。
筋骨とは、飛騨地方で見られる「細い路地が迷路のようにからみ合っている」公道を示します。筋や骨のようにからみ合う人間の体に例えて、こう呼ばれているのです。
さて、筋骨めぐりを楽しんだ後は日本酒です! 日本酒なのです! 飛騨金山には「奥飛騨酒造」があるのです! 2020年で創業300周年を迎えた奥飛騨酒造が!
早速いくつか試飲させていただいたのですが、「初緑」の純米山廃造りがすごい。ワインにはよく見られる特徴のキュッとした感じや渋みがあるんですよ! 冷えていてもおいしいけど、これはお燗したら絶対ヤバい。
他銘柄も華やかな主張がありながら派手すぎない味わいになっているところが良いですね~! なんだろう……普段着に1枚良いジャケットを羽織っているような、日常にワンポイントの華やかさを添えているような味わい。
お酒とともに思わず買ってしまった酒粕入りのクリームチーズがこれまたうまい!
なお、飛騨金山駅からは徒歩約10分で行けます。国道41号線沿いにも販売店があるので、余裕がある方は両方行ってみると良いですよ!
奥飛騨酒造
住所:岐阜県下呂市金山町金山1984
TEL:0576-32-2033
営業時間:9:00〜17:00
定休日:不定休
公式サイト:https://www.okuhida.co.jp/
飛騨萩原で、天領酒造の日本酒に語彙力を奪われつつ、肉の天狗で惣菜を入手せよ!
駅を降りて長い坂道を下っていくと、萩原の街並みが広がっています。あいにく雨が降ってきたのですが、静謐(せいひつ)な街並みには雨の情景もまた似合うのです。
さて、萩原にある日本酒蔵は、2019年夏から秋にかけて改装し、パワーアップした「天領酒造」!
私は2019年夏の仮店舗以来の訪問なので、一気に見違えました。
というわけで試飲です! 大吟醸「ひだほまれ 天領」……淡い砂糖菓子のような風味が最初にあり、あとからシルクをふわっと被せたような味わい…これは美しい。
続いて飲んだ「55」……これは! お酒を寝かせる(熟成させる)ことでのみ実現できる主張のない主張! これはそう、羽衣! 羽衣だ! これはめっっっちゃウマい!
そして「飛び切り」……これは羽毛布団! いくらでも寝れる……もとい飲める! あーうまい、うまい! さっきからうまいしか言えず、語彙力のない感じになっていますけど、本当に語彙力が飛ぶおいしさです。
さらに、天領酒造では「Myどぶろく造り体験」をやっていますので、萩原や下呂に宿泊して体験するのも良いですね。また、5%刻みで米を削ったいろいろなお酒が出ているのですが、それぞれに意味と味の違いがあるのはすごい!
天領酒造
住所:岐阜県下呂市萩原町萩原1289-1
TEL:0576-52-1515
営業時間:9:00〜17:00
定休日:土曜・日曜・祝日
公式サイト:http://www.tenryou.com/
萩原では、他にも「天狗」という肉屋さんがオススメです。ここの惣菜がまたサイコーなんですよね。私はこれまでに何度かこちらに来ておりますが、初めてメンチカツとコロッケを食べたときに「え? おいし過ぎない……? 旅情効果かな?」と半信半疑だったのですが、再訪時にまた食べても同じ感想だったので、最強においしいのだと思います。
揚げ物以外も最高にウマい!ご当地食材の「鶏(けい)ちゃん」などもあり、地方発送もしてくれるので、思う存分買いましょう!
また、夏と秋限定の営業ですが、観光施設「飛騨はぎわら観光ヤナ」では、鮎を食べながら天領酒造のお酒が飲めます。天狗のコロッケと、鮎を味わいながらの天領! 私はそれを楽しむために、何度も飛騨萩原に来ています。
高山! 7つの酒造全てを巡り、ご当地スーパーで地元食材を入手せよ!
飛騨高山で有名なあの高山です! 高山本線における最大の要所。それだけに酒造の数も多く、なんと半径200m以内に日本酒蔵が7軒も! もはや酒の街といえます。
まずは「久寿玉(くすだま)」を造る「平瀬酒造店」へ行ってみましょう。お店の方から、かつては高山で56軒、飛騨全体で80数軒の酒蔵があった話や、高山発展における豪商たちの話など、いろいろなお話を聞くことができました。
久寿玉の特徴は、ストロングスタイルを源流に持つ柔軟性を持った華麗なファイティングスタイルといいますか、私の中では飛騨最強の一角を担う酒と信じて疑わないので、一升瓶で買ってから、冷やして・常温で・お燗で……と、ガンガン飲むのに向いていますよ!
特殊形状の180ml瓶はすごく珍しいので、日本酒小瓶マニアの方はぜひ……。また、さるぼぼカップ酒はお土産にちょうど良いので、是非買っていってください。さるぼぼとは、飛騨地方に伝わる人形のこと。今でいうご当地キャラですね。
その他にも意欲的な商品がたんまり。
先ほども触れたように、高山は酒造が近距離に集まっているので、全ての酒造に立ち寄ることも可能です。時間があれば、ぜひ行ってみてください。
こちらは「平田酒造場」。代表銘柄に「飛騨の華」や「山の光」があります。
他には「川尻酒造場」(代表銘柄:ひだ正宗・天恩)、「舩坂酒造店」(代表銘柄:深山菊)、「原田酒造場」(代表銘柄:山車)、「二木酒造」(代表銘柄:玉の井)、「老田酒造」(代表銘柄:飛騨自慢、鬼ころし)と、有名所がそろっています。
ここまでお酒ばかり挙げていますが、アテが無いとさすがに困っちゃいますよね。お任せください! 高山には私が惚れ込んだご当地スーパーがあるのです!
それがこちら、「フレッシュスーパーやまだ」!
とにかくご当地食材が豊富で、日常系からお土産まで……俺が本当に欲しかったのはこういうものなんや~!
特に、郷土食「朴葉(ほうば)寿司」や「こもどうふ」が絶品! お酒がいくらあっても足りない!
もちろん、こちらのスーパーでも高山のお酒を扱っています。仮にですが「せっかくの高山なのに、ちょっとしか自由時間がないよ~!」って方は、一直線にフレッシュスーパーやまだに行って、お土産、惣菜、お酒と全てをそろえてから観光するのがオススメです。
フレッシュスーパーやまだ
住所:岐阜県高山市上一之町50
TEL:0577-32-1462
営業時間:9:00~18:00
定休日:火曜
公式サイト:https://grocery-store-10172.business.site/
飛騨古川で美しい街並みに魅了され、2つの酒造でさらなる深みにハマれ!
飛騨古川は、高山や下呂に次ぐ飛騨エリアの要所と言っていいでしょうか。高山からは近いですが、街並みの雰囲気はかなり違い、美しく静かな魅力にあふれています。こちらの街には、2軒の日本酒蔵がございます。
まずは「蓬莱」で知られる「渡辺酒造店」。
限定の日本酒が販売されていました! こちらは「号外品」というお酒。
試飲させていただいたんですけど、鮮烈でありながら控えめなところもある、動と静が同居しているような、さながら居合いのような味わい。これが……限定だと!? にごりはうっすらバナナのような風味がありながら、シュワシュワとろりとした舌触り……うまいなこれは!!
この蔵はフルーティーなものが多いのですが、それでいて大人しい味わいがたまりません。
喉元を過ぎたあとにほんのり熱くアルコールを感じるあたり、大人な要素もあって良いですね。
もはや隠しきれていない全国展開の「隠し酒」や、ホストクラブに提供している特別酒もあり、「大人が本気で遊んだらこうなるんだぞ!」を地で行く企画提案力がすごい。
渡辺酒造店
住所:岐阜県飛騨市古川町壱之町7-7
TEL:0577-73-2347
営業時間:9:00~17:00
定休日:年始(1月1日~1月5日)ほか
公式サイト:http://www.sake-hourai.co.jp/
続いてやってきたのは、先ほどの渡辺酒造店と同じ通りにある「蒲酒造場(かばしゅぞうじょう)」。こちらでも試飲させていただきました。
「春吟醸」は、香りと軽さの中に渋みもあって好みだな。そして「白真弓」を口にしてみると……おっ! いちごや!いちごの爽やかさにほんのり渋みもある。これは大人のいちごや~!(どんなんだよ!)
にごりはめっちゃとろとろで、クリーミー! これはジューシーなメンチカツやクリームコロッケとかと一緒にやったら……ヤバいな!
こちらではお酒の仕込みに水道水を使っているとのことですが、そもそもこの地域の水道水は北アルプスの伏流水(ふくりゅうすい)です。極めて浅い地下水で、水質が良好で安定しているのが特徴だそう。私の知るカルキ水ではないのです! その水道水が、まるで魔法でもかけられたようにいくらでも飲める酒になって出てくるんだから、すごいとしか言いようがないですね。
これにて、高山本線の飛騨地域はコンプリートとなります!
蒲酒造場
住所:岐阜県飛騨市古川町壱之町6-6
TEL:0577-73-3333
営業時間:9:00~17:00
定休日:土曜・日曜・不定休
公式サイト:https://www.yancha.com/
富山に到着! 最後の目的地では、“合組”で新たな日本酒の楽しみ方に開眼せよ!
さて、この旅のラストを飾るのは富山です。逆回りのルートで向かった場合は、スタート地点ですね。
まずは、お酒を買いに行きましょう! 富山県の日本酒は駅ビル内の「きときと市場 とやマルシェ」で買えるのですが、とはいえ、やはりここまで来たからには唯一無二にこだわりたい。
そう思ってやってきたのは「寺島酒店」。一見、普通の酒屋さんなのですが、日本酒合組(ごうくみ)師協会の中心人物である寺嶌圭吾さんの手掛ける、オリジナリティーあふれるすさまじいお酒がそろっているのです!
合組とはブレンドのこと。さまざまなタイプの日本酒を合わせることで、新たな日本酒の世界を創造することができます。
実は寺嶌さんは私を日本酒の深淵に引きずり込んだ張本人なのですが、一言で言ってしまうと、寺嶌さんが繰り広げる合組の技は天才過ぎてついていけておりません(笑)。写真左の3本は実際に購入できるので、ぜひいろいろなブレンドを楽しんでほしいです!
周辺を散策しているうちに、すっかり夜。そして、なんとなく「おでんが食べたい……」と思っていたところ、ステキな店名の居酒屋を発見! その名も「飛弾」!(よく見たら「騨」ではなく「弾」でした)
先ほどまで富山本線で飛騨ツアーをやっていたところに、飛弾ですよ? これは行くしかない!
おでんだから日本酒もある! そうに違いない! と、なんの確証もなく出向いたのですが、完全に大当たりでした。シックな店内は良い感じにムーディーな音楽が流れています。
では、おでんを適当に5つとお酒を……。日本酒は富山の「成政(なりまさ)」ですね。
こちらでは、日本酒を注文する際に「冷たいお酒が良いか、温かいお酒が良いか」を聞いてくれるので、温度に合う日本酒を選んでくれます。詳しくなくても大安心! しかし酒が進み過ぎますね!
シメはおむすび。おこげまで! これがまたせんべいみたいでうまいな~!
最後に「飛騨ではなく飛弾なのはなぜですか?」と聞くと、「私の名字です。岐阜出身ではなく、完全な富山人ですよ~」とのことでした。
繁華街から少し離れているので、今後来るときは、念のために予約してから来店するのが吉ですね。
飛弾
住所:富山県富山市上本町4-7
TEL:080-8726-0569
営業時間:17:00~24:00
定休日:火曜・第2水曜
あまり時間がなく、富山駅周辺で日本酒を購入したい場合は、前述した「きときと市場 とやマルシェ」のほかに、富山駅北口から歩いて約5分のところにある酒屋「リカーポケットみずはた」が超おすすめです。富山県のほとんどのお酒、むしろ都内では買えないような日常系に強いです!
また、富山駅ビル内の「とやま方舟」というお店では、富山県内にある全ての蔵のお酒が飲める上に、午前中から開いているため重宝します。
また、駅からほど近い繁華街にある「中嶋」は、富山のお酒を多く置いてあり、なおかつ「富山ブラックラーメンが」食べられる1軒でシメまでやってしまえるお店です。
ご当地スーパーとしては「アルビス」や「大阪屋ショップ」が有名です。ここで買うと面白いものは、意外なことに昆布です! 富山県は昆布が採れないのに消費量が日本トップクラス(2016〜2018年の平均の総務省統計局「家計調査年報」都道府県庁所在地別一世帯当たりの年間の購入金額調査より)だったため、昆布の種類が多いのです。
また、独自進化を遂げているかまぼこも楽しい見た目のものが多いです。というわけで、「昆布巻きかまぼこ」を買えばザ・富山といった感じで良いですよ!
あと、富山といえば「鱒(ます)寿司」! 脂が乗ったタイプのものから、さっぱりした味わいのものまで、メーカーによって千差万別なので、小さいサイズのものをいくつか買っていくのもいいですね!
新幹線で富山から東京へ到達し、切符を記念にもらい受け無事に帰宅せよ!
さて、富山駅で新幹線の特急券を買って、東京都内に戻りましょう。
東京駅乗り換えの方は問題ないですが、大宮・上野で乗り換える方は、新幹線内で飲み過ぎて乗り過ごさないよう気をつけてください。
新幹線から乗り継いで自宅最寄り駅で降りる際、係員がいる改札口で「(切符を記念に欲しいので)無効印を押してください」と伝えると、無効印が押されて、回収されずに持って帰ることができます。この切符は旅の思い出にもなるので、ぜひもって帰ってほしいですね。
乗降時に押された印が多いほど切符が派手になるので、途中下車を多く行う猛者もいると聞きます。
今回は「東京都内→名古屋→高山本線各所→富山→東京都内」という旅でしたが、一筆書きの切符は他のルートもいろいろありますので、興味を持ったらぜひチャレンジしてください!
今回の旅でかかった交通費は、以下の通りです。
・東京都区内〜東京都区内の乗車券:12,870円
・東京〜名古屋の新幹線特急券(自由席):4,180円
・富山〜大宮の新幹線特急券(自由席):5,620円
・合計……22,670円
帰りの新幹線特急券は節約のため大宮までにしましたが、最寄り駅が東京都の東側でないなら、大宮で普通電車に乗り換えというのが金銭的・時間的にも合理的な場合がありますので、状況に応じてどこまで乗るかを決めると良いと思います。
ちなみに、東京〜名古屋の乗車券と新幹線特急券(自由席)の往復だと、(6,380円+4,180円)×2=21,120円。東京〜富山の乗車券と新幹線特急券(自由席)の往復だと、(6,600円+5,830円)×2=24,860円となりますので、往復するなら一筆書きの切符で楽しみを増やすというのも大いにアリ! かと思います。
◆
なお、1泊2日で一筆書き切符の旅を楽しむのであれば、宿泊は高山本線の飛騨地域をオススメします。
夜の高山。ほとんどの居酒屋で地酒が飲めるので、泊まってゆっくり飲むのもいいですね
特に、朝市もあって、ナイトスポットも豊富で、酒蔵がたくさんある高山が便利です。
お宿でゆっくり静かなまちなみを堪能したい方は、飛騨金山と飛騨萩原が良いかもしれません。静かにそして観光要素もそれなりに欲しい方は、飛騨古川がオススメです。
そして、旅といえばお土産。やはりご当地色のあるものが、自分用にもプレゼント用にも面白いですね。お酒はもっとたくさん買ったんですけど、写真に撮る前にだいたい飲んでしまいました……。
その土地ならではの日本酒の味を楽しむ
今回は日本酒の旅ということで、一筆書き切符を使っていろいろな地域でお酒を堪能しましたが、地域によって味の方向性がガラリと変わるのが楽しかったです。
名古屋は地元の食に対抗できるようなフルボディな味わいのお酒が比較的多く見られますし、富山は北アルプスのイメージを思わせる滑らかで瑞々しい味わいのお酒が比較的多い。そして、飛騨地域は華やかで主張はありつつ奥ゆかしさも感じさせるような味わいのお酒が多いです。1回の旅でこれだけさまざまな方向性のお酒が楽しめるって最高ですよね!
また、同じ飛騨地域でも、各所で雰囲気が全然違います。自然環境や先人たちの関わりによって、独自の文化が築かれているのだと感じることができます。いろいろな土地を巡って、自分だけの何かを見つけることができたら、きっと最高の旅になると思いますよ!
文:congiro(コンヒーロ)……各駅停車で旅をして適当に降りた地域で酒を飲んだり買ったりするのが現在のライフワーク。ブログでは旅や散策と日々飲んだ酒をアップしています。
編集:はてな編集部
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