遺伝子検査で自分のルーツが分かる! 祖先の足跡を辿って旅にでよう4 最終目的地、アンコール・ワットへ
遺伝子検査で自分の祖先のルーツを探り、その足跡を求めて旅に出る企画も今回が最終回。いよいよ、私のルーツの始点となる、カンボジアのアンコール・ワットへ向かいます。正直、アンコール・ワットが私のルーツに入っていたから、今回の旅を決意したと言っても過言ではありません。世界遺産アンコール・ワット。訪れた人誰もが絶賛するアンコール・ワット。一生に一度は行きたいアンコール・ワット。楽しみ過ぎます。それでは、早速出かけてみましょう。
カンボジア入国にはビザが必要
心躍るアンコール・ワットへの旅ですが、カンボジア入国にはビザを取得しなければなりません。ビザはウェブサイトから電子申請が可能。「カンボジア ビザ」で検索するとたくさんの申請サイトが表示されますが、多くが代行会社のもの。まるで政府公式サイトのような風貌をしていますが、手数料を取ってビサの申請を代行するものなので注意しましょう。
公式サイトから申し込めば手数料は必要ありません。
特に難しいこともないので、ぜひ自分で取得しましょう。観光ビザは36USドル(2019年7月現在)。申請後、完了メールが送られてくるので、PDFをダウンロードして2枚プリントアウトしておきましょう。
シェムリアップのリゾートホテルで旅を振り返る
今回Expediaで予約したのは、アンコール・ワットからほど近い「アンコール・パレス・リゾート&スパ シェムリアップ」。この旅もここが最後なので少し奮発してリゾートホテルでの滞在を目論みます。
ホームページなどでチェックするとそこそこ良さそうなホテルなのですが、Expediaでは信じられないような価格で提供されていました。
えーっと、3574円。朝食込み。ハノイのホテルより安い。これは逆に猜疑心でいっぱいになる価格ですが、訪れてみたらごく普通の、むしろ良い感じのリゾートホテルでした。清潔なのはもちろん、プールやスパなどの施設を完備し、常駐というわけではないかもしれませんが日本語スタッフもいる模様。なぜこんな価格が可能なのだ、Expediaよ。
年間を通して30℃を超えるシェムリアップ。訪れた2月は乾季にあたるので、爽やかな気候だと言われていますが、それでも33℃超え。部屋代も安く済んだことだし、旅の終着地という解放感も手伝って、ちょっと贅沢してまずはプールサイドでこれまでの旅を振り返りつつ乾杯することにします。
ほんの数日前、廬山の山奥で寒さに震えていたなんて信じられません。思えば、私の遠い祖先はこの快適なシェムリアップでの暮らしを捨て、北へ向かった。干魃か、部族間抗争か、未知の世界への沸き上がる好奇心が抑えられなかったか、理由は不明だけど、日本へ至るまでの旅路はとても過酷で、幾度となくシェムリアップの暖かな日射しを懐かしんだことでしょう。
プールサイドでスマホ片手に、ビールを飲みつつだらだらと過ごしていると、その旅立ちの決意が並々ならぬものであったろうと痛感します。私なんて、楽しみにしていたアンコール・ワット観光ですらこの猛暑を前にして若干面倒になってきています。私なら一生ここでのんびり暮らしたい。だんだんと鈍くなる思考の中で、強靱な肉体と精神力を持った祖先がこの地を捨てて旅立つ姿が、ただひとつ私の頭の中でぼんやりと輝いています。
トゥクトゥクをチャーターして、いざ遺跡巡りへ
しかしいつまでもプールサイドでのんびりしているわけにはいきません。ルーツを探しに行かねば。アンコール・ワットとそのほかの遺跡群は、非常に広大なエリアに点在しているので徒歩で巡るなんてとても無理。ツアーに参加してもいいのですが、自分のペースで巡れるトゥクトゥクをチャーターするのが便利だそうです。ホテルのフロントで相場を尋ねると、半日10USドル、1日15USドルが目安とのこと。ということで、1日チャーターすることにします。
やってきたのはこざっぱりとした英語も流暢なイケメン運転手。
まずは遺跡巡りに必須のパスを買いにアンコールチケットブースへ行きます。
1日券は37USドル。ほかに3日券(62USドル)、7日券(72USドル)もあり、それぞれのチケットで並ぶ場所が違うので注意しましょう。
顔写真も撮影しますが待ち時間はさほど長くありません。支払いは現金でもクレジットカードでもOK。
3日券、7日券にはクリアケースがついているようですが、1日券にはついておらず、チケットはぺらぺらの紙製でなくしそうなので、首から提げるタイプのパスケースなどを持って行くと便利かもしれません。
ここで悩むのが何日間の券を買うかということ。ガイドブックや口コミサイトなどを見ると「1日ではとても見て回ることができないので3日券が必須」だという意見が多いよう。結論から言うと、個人的には1日券で満足でした。日程が限られていたというのもあるのですが、遺跡への興味が普通程度ならば、見ても見ても、どこまでも見ても遺跡はひたすら遺跡なのです。遺跡巡りは暑いし、だんだん集中力もなくなってきて、後半見た遺跡はどれがどの遺跡なんだか区別が付かなくなる有様。もちろん、遺跡に興味がある方ならば3日でも物足りないと思います。あくまで個人的な私の感想です。
アンコールパスを手に入れてトゥクトゥクに戻ると、ドライバーが「さあ?どうする?君は1日しか時間がないんだ。どこに行きたいんだい?」と言います。
とりあえず私のルーツである、アンコール・ワットとバイヨン寺院は必須だと答えると「OK、それならタ・プロームも必見だ。廃墟のような寺院でとにかく日本人には人気だよ。そこにも行くなら22USドルだ」。
あら?1日チャーターのはずだけど、エリア制だったのね。まあ良い。1日で巡るなら、アンコール・ワット、バイヨン寺院、タ・プロームというのが王道コースらしいので、それに従うことにします。
トゥクトゥクは最高の乗り物
今回私は、トゥクトゥクは実に快適で、遺跡内を巡るのに最高の乗り物だということに気がつきました。街中と違い、遺跡内は交通量が少なく空気がきれい。風が衣服の中を駆け抜け、ときどき木々や花の香りが鼻をくすぐります。ドライバーにそれを告げると「今の時期だけね。雨季は地獄だよ」と言っていたので、雨季はおそらく地獄なのでしょう。
究極の映えスポット、アンコール・ワット
ほどなくアンコール・ワットに到着。「君のフリータイムは1時間半だ。11時30分にここで会おう」。ドライバーがテキパキと仕切ります。特に異論もないので素直に従うことにします。
いよいよ、アンコール・ワットの中へ。まず驚いたのは長い参道。540メートルもあるそうです。飲料水必須。
しばらく歩いてようやく入り口が見えてきます。さすが、クメール建築の最高傑作と言われるだけあって、壮大な寺院です。
そして、すごい。インスタ映え写真を撮るためのみんなの気迫が。どこを撮っても、もれなくポーズを決める人々が映り込みます。
カンボジアが世界に誇るこの偉大な文化遺産は、同時に世界有数の映えスポット。人々の熱意と創意工夫の精神に圧倒されます。
遺跡内にはところどころにお坊さんがいて祈願してくれるサービスもあります。
靴と帽子を抜いてお坊さんの前に座ると、お坊さんはお経を唱えながら水をぴっぴっとかけてきます。最後に赤い紐を手首に結んでくれて終了。1USドル程度を寄付します。
優しい微笑みに癒される バイヨン寺院
続いてアンコール・トムへ向かいます。アンコール・ワットの北側にあるこちらも巨大な遺跡群で、その中心となるのがバイヨン寺院。私のルーツのひとつです。
バイヨン寺院といえば、この巨大な阿修羅像。慈悲深い笑顔は「クメールの微笑み」と言われるのだそう。
お優しい。とにかくお優しい笑顔に癒されます。個人的にはアンコール・ワットより、バイヨン寺院の方が親しみが持てて好きでした。
ちなみに、すぐ近くには象のテラスがあり、ここで写真を撮ると幸せになれるんだよと、ドライバーが言っておりました。
アンコール・トムを見終わるとランチタイムだそうです。例えお腹が空いていなくても、有無を言わさずレストランに連れて行かれます。
クメールスープ6.98 USドル、ココナッツジュース2 USドル。クメールスープはココナッツのスープに、ライムリーフやチキン、野菜がごろごろと入ったもの。スパイシーさはなく、優しい味わいです。
アンコールビールは2 USドル。ドラフトビールではないのが少し残念でしたが、この暑さの中では最高です。
木々に侵食された、タ・プローム寺院
最後はドライバーイチオシの寺院、タ・プロームへ。ここはこれまでの寺院と全く雰囲気が異なります。この寺院を特徴づけているのは、寺院全体を覆うガジュマルの木。
長い年月をかけてガジュマルが根を張り、幹を伸ばし、遺跡を飲み込んでいったのです。ガジュマルの異様なほどの生命力が廃墟の空しさをより際立たせています。
ドライバーによると、この寺院の木々を放っておくと、遺跡を侵食し破壊してしまうので、伐採し遺跡を保護するという案もあるとか。しかし、この植物に文明が破壊されていく様子こそが、この寺院が人々を魅了する理由でもあり、悩ましいところだと語っていました。ガイド料を払っていないのに、いろいろと教えてくれる博識のドライバー。
さて、気をつけなくてはならないのは、タ・プロームには出入り口が2つあること。遺跡の中を歩いているうちに方向感覚を失って、反対方向に出てしまうことがあります。左右シンメトリーのうえ、なんの罠なのか、そのときだけかもしれませんが、ご丁寧に楽団も両出口に配備されているのです。外に出てみて、あれ?なんだかさっき入った場所と違う、と思ったら、来た道を350メートルほど戻ることになるので注意が必要です。
シェムリアップはまるで楽園!
遺跡見学の後はリゾートホテルでのんびり過ごすしかない、と思い込んでいたのですが、大間違いでした。シェムリアップの中心部にはたいそう賑わうマーケットがあり、その中でも「PUB STREET」というすてきな名のついた通りは、観光客相手のレストランがひしめきます。日中でもレストランはオープンしていますが、盛り上がるのは日が落ちてから。
店から溢れ出す大音量の音楽に負けじと繰り広げられるストリートライブに、食べ物や土産物の屋台、ドクターフィッシュ。毎晩祭りのような大騒ぎです。
観光客を相手にしているので、周囲の食堂と比べ少し高めということですが、ビールは1〜2USドル、料理も一皿5〜8USドル程度。ちょっと高めかなと思っても一人15〜20USドルあれば十分です。ハッピーアワーの時間帯ならドラフトビール0.5USドルですって。天国か。
私のお気に入りはパブストリートからすぐのところにある、クメールキッチン、通称クメキチ(私がそう呼んでいるだけ)。
店頭で焼くバーベキューがおいしくて、滞在中2度通いました。この焼きたてのグリルチキンは、4.5USドルなんですよ。カリカリ、ジューシー! ビールにぴったり!
クメールキッチン
https://www.khmerkitchens.com
シェムリアップのマッサージ事情
シェムリアップにはマッサージ店も多く、値段もリーズナブル。中には1時間2USドルという格安店も見かけますが、どう考えてもおかしいのでやめておきます。相場は安めの店で1時間5USドルといったところのよう。飛び込みでも大丈夫です。店の前にはマッサージ師のおばさんたちがきゃっきゃっとおしゃべりしており、お客さんがくると「さあ始めようかい」という感じでスタートします。その間もおばさんたちはずっとずっとおしゃべりしていますが、なんだかハッピーな感じで好感がもてます。楽しく働くのはなによりだ。
1時間のフット&ショルダーコースを頼んだのですが、担当のおばちゃん(もしかしたら私より若いかも)は私の足を見て「Your foot is strong like man!」と隣のガタイの良い西洋人の男性の足を指さしながら大笑い。隣のお兄ちゃん、苦笑い。
そんな感じで終始ぐいぐいとマッサージが続き、最後はうつ伏せにされ馬乗りで身体をぎゅうぎゅうと押されるのですが、耳元で「チップいっぱいいっぱいちょうだい」(ここだけ日本語)とささやかれる瞬間はさすがにぞくっとします。
おばさんの気迫に負け、チップは3USドル渡します。1〜3 USドルが妥当なラインでしょう。チップを渡さなくてもいいと書いてあるガイドブックもありますが、渡すのが慣習となっています。まあ、あの気迫のなか、渡さずに帰るのは難しそうです。
もし1時間15USドル程度だす余裕があるなら、ずっとずっときちんとしたところで施術を受けらます。例えば「Asian herb association」はなかなか良かった。人気店なので予約しておくと安心です。ウェブでの予約もできるのですが3日前まで。英語が通じるので、電話予約もそう難しくないと思います。
市内の格安店よりは割高とはいえ、1時間の全身オイルマッサージ22USドル、フットマッサージ1時間15USドル。2時間で合計37USドル。施術は個室で、エアコンが効いて快適(場合によってはちょっと寒い)。施術後にシャワーを浴びることができるので、夜のフライトの場合、正午にホテルをチェックし市内観光で汗だくになっても、ここでマッサージを受けてシャワーを浴びてさっぱりしてから空港へ、という使い方も可能です。
ルーツを辿る旅を終えて
中国の廬山、台湾の九份、ベトナムのパフューム・パゴダ、カンボジアのアンコール・ワットとバイヨン寺院と、私の祖先が歩んできた道を辿る今回の旅。結論を言うと、とても楽しかった。ルーツ云々はこの際おいておいて、これまでは見たいものや、やりたいことから行き先を決めるのが旅の基本だと思い込んでいましたが、自発的に決めていない場所に自発的に行くのも良いものだなと思いました。全く興味がなかった場所ゆえの驚きや発見があるし、事前知識がないからこそ得られる新鮮な感動があります。
そして旅って不思議なことに、辛い思い出の方が印象的なもの。廬山での過酷な山行も、今はただ愉快な思い出です。
さて、あなたのルーツはどこでしょう? あなたもルーツを辿って、旅に出てみてはいかがでしょうか?
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