ソウルから足を伸ばして慶尚北道へ。世界遺産・安東で歴史と郷土料理を味わう小旅行
韓国の魅力はソウルや釜山だけではありません! むしろ地方に足を運んでこそ、韓国らしい郷土料理や伝統文化、そして韓国人の人情に触れられるというもの。
全国各地おすすめの場所が多々ありますが、今回は韓国ツウも注目する慶尚北道へご案内します。世界文化遺産・河回村がある安東の魅力をお届けします。
朝鮮時代の歴史と文化が残る世界遺産の都市・安東
安東は韓国・慶尚北道の中部より少し上に位置している市です。ソウルからは清涼里駅から特急ムグンファ号で3時間16分、もしくは東ソウル総合ターミナルからバスに乗り2時間50分ほどでアクセスできます。
安東は朝鮮時代に花開いた儒教の里としても知られ、市内のいたるところに貴重な文化財や歴史遺産が残されています。日本でいう京都や奈良のような、歴史の深い場所なんです。
安東といえば、真っ先に名前が挙がるのが2010年世界文化遺産に登録された河回村(ハフェマウル)。朝鮮時代から豊山柳氏(プサンリュシ)一族が暮らす、600年以上の歴史を誇る村です。日本では韓流スターのリュ・シウォンの実家があることでも知られています。
河回村の魅力は、なんといっても朝鮮時代にタイムスリップしたような気分に浸れること。茅葺きと瓦造りの古い家屋が並ぶ村内は、朝鮮時代の学者・柳雲龍の養真堂や柳成龍の忠考堂など古宅も残り、歴史マニアにはたまらない文化財の宝庫です。
簡素で素朴な佇まいの建物からは、かつての両班文化とその品性、また朝鮮文化の美を学ぶことができます。
さらにこちらでは、文化財級の伝統家屋にも宿泊できます。寒い季節なら薪で温めるオンドル(韓国伝統の床暖房)を体験できますし、暮らすように村の生活を楽しんでみてはいかがでしょうか?
河回村(ハフェマウル) 하회마을
住所:慶尚北道安東市豊川面河回宗家キル40 (경북 안동시 풍천면 하회종가길 40)
電話:054-853-0109
時間:9時〜19時、10月〜3月/9時〜18時
入場料:W3000
知る人ぞ知る、もうひとつの両班村
世界文化遺産の河回村ばかりが注目されますが、安東市内には歴史的文化財がまだまだたくさんあります。
私が好きなのは、安東中心部から車で20分ほど北上した君子村(グンジャマウル)。こちらも600年以上の歴史を誇る両班の村で、光山金氏禮安派(クァンサンキムシイェアンパ)が20代にわたり守り続けてきました。
人里離れた場所にある君子村には時間を忘れさせてくれる静寂さが漂い、韓屋の古色蒼然たる趣きにどっぷりと浸れるのです。
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Photo by (c)KIM BANG SIK[/one_half]
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Photo by (c)KIM BANG SIK[/one_half_last]
河回村ほど大きくはありませんが、その分、観光客も少なくとにかくゆっくり過ごせるのが嬉しい場所。こちらも宿泊体験のほか、定期的に韓国伝統茶や国楽の演奏会など文化的イベントが開かれています。
安東君子村(グンジャマウル) 안동군자마을
住所:慶尚北道安東市臥龍面君子里キル21 (경상북도 안동시 와룡면 군자리길 21)
電話:054-852-5414
時間:特になし。ただし居住者がいるので深夜・早朝は避けること。
これを食べずに安東を語るな! 安東の絶品郷土グルメ
さてみなさま、お待ちかねの安東グルメ情報です。私もまだ全ての料理を制覇したわけではないのですが、個人的におすすめの郷土料理を3つご紹介したいと思います。
甘辛の味付けがクセになる安東チムタク
Photo by (c)YASUSHI HATTA
ソウルでもかつて大ブームになった安東チムタクは、ぶつ切りにした鶏肉とジャガイモやニンジンなどの野菜類、韓国春雨そしてたくさんの唐辛子を入れて、砂糖と醤油ベースのタレで煮込んだダイナミックな料理。肉も野菜も一緒くたに煮こんでいるため、素材それぞれの味が絡み合ってとってもおいしく、日本人の口にも合います!
安東市内の市場にはチムタク通りがあり、安東チムタク専門店が軒を連ねていますが、おすすめは行列が絶えない「ユジン食堂」です。
ユジンチムタク 유진찜닭
住所:慶尚北道安東市繁栄1キル47 (경상북도 안동시 번영1길 47)
電話:054-854-6019
時間:9時〜21時30分
定休日:第2・4月曜日、旧盆、旧正月
メニュー:安東チムタクW2万5000
偽物の祭祀料理? ホッチェサパプ
韓国では昔から祭祀の後に家族や親戚と一緒にチェサパプ(祭祀料理)を食べる風習があります。安東にはこの料理を再現したホッチェサパプ(ホッは偽物という意味)があり、郷土料理として親しまれています。
イシモチや季節のナムル、肉や魚のジョン、唐辛子が入った珍しい安東シッケなど、普段ではなかなか食べられない料理の数々。料理を食べ昔ながらの風習も体験できる貴重な郷土料理です。
カチクモンチプ(ホッチェサパプ) 까치구멍집
住所:慶尚北道安東市石洲路203 (경상북도 안동시 석주로 203)
電話:054-821-1056
時間:11時~20時30分
休み:月1回(第2、3月曜のどちらか)
メニュー:ホッチェサパプW9000、ヤンバンサンW1万5000
脂がのった塩サバが絶品。カンコドゥンオ
かつて交通が発達していなかった時代。東海(日本海)でとれたサバを安東まで運ぶには2日以上かかったため、運送中に腐らないようにと塩漬けをしたのがはじまりといわれるカンコドゥン(サバの塩漬け)。
よく熟成されたカンコドゥンは、焼いて良し、煮込んで良し。焼きと煮込みが一緒に食べられる、贅沢な定食もおすすめです。
一直食堂(イルジッシッタン) 일직식당
住所:慶尚北道 安東市 慶東路676 (경상북도 안동시 경동로 676)
電話:054-859-6012
時間:8時〜21時30分(L.O.)
休み:なし
メニュー:カンコドゥンオ定食W8000〜
工芸好きの方にぜひ見ていただきたい! 韓国最高級の麻織物・安東褓
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あまりにもマニアックすぎるため、紹介するのも気がひけるのですが、私は韓国の工芸が大好きで、ライフワークとして全国各地、工芸の里を訪ね歩いています。安東にはそんな私のハートにジャストミートする素敵な工芸品があります。
韓国最高級の麻織物・安東褓は、朝鮮時代から現在に至るまで、寿衣(スウィ:死に装束)や韓服に使う布として大切にされてきました。韓国では古くから還暦もしくは古希、また閏年に両親へ寿衣を贈り長寿を願う習慣があり、中でも高級な安東褓の寿衣を用意することは最高の孝道(ヒョド:親孝行)といわれているそうです。
大麻の栽培から製糸、機織りなど13にも及ぶ工程を全て手作業で行う安東褓は、50代から90代までのハルモニ(おばあさん)たちによって作られています。生成りよりは黄色味が強い風合いと、紡がれた麻糸が綿密に織り込まれた布は、見るからに涼しげで麻特有の心地よい手触りにうっとり。
儒教の影響から特に両親には礼を尽くす韓国人たちが、寿衣として安東褓を選ぶのは、その最高の品質に勝るものがないからなのだと思います。安東褓は予約をすれば制作現場が見学できるので、興味のある方はぜひ、足を運んでみてください。
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安東褓村(アンドンポマウル) 안동포마을
住所:慶尚北道安東市臨河面琴韶里3キル3 (경상북도 안동시 임하면 금소리 금소3길 3)
電話:054-822-1112
※訪問前要予約
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