森の中の小さなお城で2日間だけ開催される、ベルリンのクリスマスマーケット
11月末から12月のクリスマスまで、ドイツ全国あちこちで開かれるクリスマスマーケット。首都ベルリンでは、大小様々、実に120以上ものクリスマスマーケットが催されます。なかでも一押しなのが、Grunewald (グリューネヴァルト/緑の森)と呼ばれる大きな森の中にある、小さなお城でひらかれるたった2日間だけのクリスマスマーケットです。森の手前でバスを降りて、街灯のない森の中を歩いた先に、ぽつんとある幻想的なそのクリスマスマーケットは、まるで童話の世界そのものです。観光名所とはひと味違う、地元民でにぎわうほっこり暖かな雰囲気は、何度でも行きたくなる素敵な時間を味わえます。2014年の開催日は、12月6日と7日。12月にベルリンに来るなら、ぜひともおすすめしたい隠れた穴場です。
バスを降りたら、何もなかった。
バス停からクリスマスマーケットまでの森の小道は、何の目印もなく、初めて訪れたら迷う確率が高そう。
ベルリンの中心地から、電車とバスを乗り継いで、1時間以上かけて辿り着いたその森の入口は、降りたばかりのバス停があるだけで、街灯ひとつ、会場までの目印も、なにも見当たりません。12月ともなると、午後4時を過ぎると、すっかり暗くなるベルリンです。同じバス停で降りた人達を、目を凝らして眺めていると、皆一様に、森の中へと続く細い道を歩いて行きます。クリスマスマーケットの会場は、この森では1つだけ。先を行く人達を見失わないように、雪と泥ででこぼこの森の小道を転ばないよう慎重に、でも、急ぎ足で後をついて行きましょう。
会場は、ベルリンで最も古い小さなお城。
道を間違わなければ、しばらくすると森の木立ちの間から、ちらちらと小さな灯りが見えてくる。その灯りを目指して歩いて、ようやく辿り着く会場の入口。
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中庭のクリスマスマーケットで売られているクリスマス用の飾り。素朴で暖かな木製が多く、クリスチャンでなくても、思わず買いたくなる魅力的な物ばかり。
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熱々の魚スープ。冬場の気温が氷点下であることが比較的多いベルリンのクリスマスマーケットでは、あたたかい食べ物が飛ぶように売れる。
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クリスマスマーケットらしい灯りが何も見えないまま、少々不安になりながら歩いていると、突如目の前に小さな灯りと人だかりが現れます。ようやくお目当てのお城に到着です。ここは、その昔、森で狩りをする時に使われた狩猟用離宮です。ベルリンにあるお城では最も古くからある宮殿で、1542年から1543年あたりに建てられました。会場の入口で入場料3ユーロ(約425円/2014年11月3日現在)を払って中に入ると、中庭にはたくさんのスタンドが並んでおり、様々な食べ物や、キリスト生誕をモチーフにしたクリスマス用の飾りなどが売っています。雨混じりの小雪が降ったこの日、熱々の魚スープや、あたたかい焼き栗、とろとろに溶けたチーズがのったパンなどのお店は大人気です。
子供が夢中になる『ホレのおばさん』
上演中の『ホレのおばさん』。この日はなぜか、『おじさん』が演じていたが、そんな性別の違いはどうでもいいらしい。大きな枕を降って、羽毛が舞い落ちれば、それは『ホレのおばさん』になるのである。
お城の窓と眼下の中庭で、『ホレのおばさん』は上演。周りには、くい入る様にながめる子供達でいっぱいである。
『雪の女王』上演中。白い衣装を羽のように広げ舞い踊る雪の女王と、その後ろにたたずむ、なぜかぼんやりキャラの少年カイ。
けして広くはないけれど、観光客らしい人達をほとんど見かけないこのクリスマスマーケット。お城の中では、常設展示の剣や、はく製の動物に混じって、地元の人達による小さなコンサートや、クリスマスツリーと一緒に写真をとれる撮影ブースなどを楽しむことができます。また、タイミングが良ければ、グリム童話の『ホレのおばさん』やアンデルセンの『雪の女王』などのお芝居を、地元の子供達と一緒に楽しむことができます。中庭で役者さん達によるお芝居が始まると、その周りは子供達であっという間に埋め尽くされます。この日は、真ん中に設置されたアットホームな舞台上で、日本でもなじみ深い『雪の女王』がドイツ語で上演されました。また、時間をずらして、中庭のすみでは、『ホレのおばさん』の上演が始まります。日本では少々なじみが薄いこのお話ですが、ドイツでは雪が降ることを『ホレのおばさんが寝床を直している。』と言い表すほど、誰もが知っているお話です。ホレのおばさんの家で、継子が寝床を直すために、枕やふとんを振るって、そこから、詰め物の羽がとぶ様子が舞い落ちる雪に似ているために使われる言い回しです。お城の3 階にある小さな窓から、中庭の子供達に向かって大きな枕を振るい、小雪に混じって羽毛が舞い落ちてくる様子には、集まった子供達も大喜びです。
2014年の開催日は、12月6日と7日。
終了間近のクリスマスマーケット。日中はすれ違う人と肩がぶつかるほど込み合っていたが、お芝居やコンサートなどが終わると、徐々に人影も少なくなってくる。
クリスマスまで毎日夜遅くまでひらかれるベルリン中心地の大きなクリスマスマーケットと違い、この森の中のマーケットは毎年たった2日間だけ。時間も午前11時から午後7時までと限られています。幼い子供たちが多く訪れるため、6時半を過ぎる頃には、人もまばらになってきます。とっぷり暮れた森の夕闇にきらきら光り輝くクリスマスの飾りはとっても素敵なのですが、それも、お城の敷地内にいる間だけ。帰り道はまた、街灯のない森の小道をバス停までてくてく歩いて帰ることになります。月明かりがあれば良いのですが、冬のベルリンは一日中曇っていることが多いので、もし、訪れる際は、小型の懐中電灯を持参すると良いでしょう。
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Photos by AKI
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