不思議なテーマパーク「ハウステンボス」で特に気になる施設に足を運んでみた
ハウステンボスは一言で言い表すのが難しい、不思議なテーマパークだ。もともとはオランダの街並みを再現したテーマパークとして作られたのだが、昨今はそれにとどまらず、手広くコンテンツを導入している。季節ごとに花が入れ替わる花園や、VRアトラクション、幻想的な夜を演出する場内のプロジェクションマッピングあたりが目玉。ホラー系エリアや、地形を活かした本格的なアスレチックも充実している。
ただ、良くも悪くも何でもできるゆえに、逆に何をすればいいのかわからず、初めて行ったときは混乱した。丸一日観光するとしても、どこかのエリアを丸ごと諦めざるを得ないくらい巨大なエンターテイメント施設であり、それでいて何をどう取捨選択するかに迷うのだ。
私は今回この記事で、“あまり注目されてこなかったであろうエリア”に注目したい。こういう場所はたいていのガイドブックでははしょられてしまうのだ。どんなガイドブックにも、ハウステンボスの花やVR、プロジェクションマッピングのことは載っている。初めてきた人はとりあえずそれを中心に見て回り、注目されていないエリアはそのまま見られることなく終わる。
インターネットの観光記事こそ、そういう場所にスポットを当てていくべきなのではないかと思う。そういうわけで、独断と偏見のもとに、ハウステンボス内のもっと注目されてほしい穴場を詳しく紹介していきたい。
その日の天気はあいにくの雨。このどんよりとした空模様は、穴場巡りにはおあつらえ向きな気がする。サンサンと晴れた日に、ハウステンボス自慢の美しい花壇をろくに見もせず素通りする……、なんてことにならなくてよかった。
まずは入口近くにあるヨーロッパ感のある風車と、一面に咲いた花の横をスタスタと通り過ぎる。そもそも天気が悪く、みんな屋根のあるところへ避難していたため、普段は賑わっている花のエリアにあまり人がいなかった。
建物の立ち並ぶ一画には、傘のオブジェが飾られていた。さらに進むと食事ができるエリアへ。「海鮮広場」の文字が妙に堅苦しいフォントなのが気になる。
この近くには「ゲームミュージアム」がある。あまり知られていないかもしれないが、ハウステンボスのゲームミュージアムはなぜか驚くほど充実しているのだ。
少し広めのゲームセンターかと思いきや、ゲームの歴史を紹介する展示ゾーンがあり、今となっては激レア品のゲーム機器まで細かく網羅されている。レトロゲーム好きにはたまらないミュージアムなのだが、これがハウステンボスになぜ……?という疑問も……。どうやって手に入れたのだろう、というゲーム機器がショーケースに所狭しと並べられている。
世界初の家庭用ゲーム機は、1972年に海外で発売された「ODYSSEY(オデッセイ)」。サイコロを使って遊ぶという、まだ薄っすらアナログ感の残る機械だったようだ。
国内で初めてのゲーム機は、「テレビテニス」。「本体のアンテナからUHF帯の電波を発信し、TVで受信して映像を写します。得点は本体のダイアルを回して表示」との説明があったが、どういう仕組みなのかいまいちよくわからなかった。
ほかにも、「カラーテレビゲーム6」、「カラーテレビゲーム15」、「Atari2600(アタリ2600)」、「Intellivision(インテレビジョン)」、「Vectrex(ベクトレックス)」、「カセットビジョン」、「ゲーム&ウオッチ」、「ぴゅう太」、「SC-3000」、「SG-1000」、「Emerson Arcadia 2001(アルカディア)」、などのゲーム機が並び、ようやくおなじみのファミコンが登場した。ファミコンが出てくるまでに、これだけの数のゲーム機が登場しては衰退し、を繰り返していたとは……。
ここには試遊コーナーもある。ファミコン、スーファミ、64など、一世を風靡したゲーム機は一通り遊べる。さらに二階では古き良きゲーセンにあったようなアーケードゲームや、Wii、プレステ4といった比較的最近のゲーム機を遊び放題。一日中いたっていいくらいのゲーム天国なのだ。こんなにも力が入っているというのに、あまり目立っていないという切ないゲームミュージアム。確かにハウステンボスのほかのコンテンツと比べると華やかさはないかもしれないけれど、間違いなく名スポットなのだ。
「高橋名人の冒険島」、「風来のシレン」などを真剣にやっていたら、いつの間にか一時間以上がたっていた。
もう一つ、ハウステンボスには気になる場所がある。「変なレストランROBOT」という名のレストランがあるのだ。このレストランは、自ら「変な」と名乗るだけあって確かに変。ほとんどの接客をロボットが行うレストランなのだが、よくよく見ると、それぞれのロボットにきちんとストーリーが決められていて、従業員ロボットたちの人間模様(ロボット模様?)が味わい深いのである。
レストランの入り口では、店長の「ジェイムスン」が迎えてくれる。その後ろに控えているのは用心棒。警備員の「ケビン」というダジャレのような名前がつけられている。
レストラン内では給仕係、ホール係、調理係、など様々なロボットが役割分担をしている。ホール係のロボットは「サウザー」。なぜかサウザーの顔はインターネットエクスプローラーや、アドビのアイコンが丸見えだった。見てはいけないものを見てしまったような気がする。
「変なレストラン」の目玉コンテンツは、料理長「アンドリュー」が目の前で作ってくれるお好み焼き。
自らの身の上話をしながら、お好み焼きをせっせと作ってくれる。アンドリューの話によると、もともとは自動車製造会社で働いていたが、お客さんの喜ぶ顔を直接見たくなり、今の仕事を始めたのだという。
肝心の調理の腕のほうは見事なもの。お好み焼きのタネを鉄板に流し、時に汗を拭きながら作ってくれる。汗が出ているのか、油が出ているのかはわからない。
お好み焼きをひっくり返す瞬間は特に必見。何度か見ていると、ひっくり返すとき、回によって微妙に位置がズレるところに妙に人間臭さを感じた。ロボットでも多少の誤差は出るのだ。
焼き終わったらソースとマヨネーズをハケで塗る。
料理長の横にいるのは、調理係ロボットのRとL。ほかのロボットはアンドリューとかケビンとかなのに、名前が急に雑だ。調理係ロボットのRはどうやら一言多いタイプらしい。「料理長ってお好み焼きしか作れないんじゃないの?」などと「料理長」の肩書に疑問を呈していた。
この日の宿泊は、ハウステンボス近辺の「変なホテル」にした。ここは従業員がすべてロボットで、宿泊客以外の人間は一人もいない。ちなみに、「変なレストラン」と「変なホテル」、名前はよく似ているが、特に系列というわけではないらしい。
フロントで受付をしてくれるのは、ロボットのゆめこちゃんと、恐竜のみらい&きぼう。受付で表情ひとつ変えず見てるだけのゆめこちゃんの前で、自分でボタンを押し、自分でチェックインの手続きをした。
一階ロビーでは豪華なオーケストラ……のロボットが演奏してくれるブースがあり、さらに奥にはバーもあった。
本当に宿泊客以外誰もいないため、夜になると建物全体が静まり返っていてかなり怖い。
部屋の電気も自動化されていたのには驚いた。ベッドに寝転がると自然と電気が消え、ベッドサイドのテーブルに手を伸ばすと電気がつく仕組みになっていた。
ハウステンボスは、メジャー施設ならではの華やかさと同時に、「試行錯誤した結果、方向性が迷子」という愛すべきB級感の両方を兼ね備えている。それこそがハウステンボスの魅力だとも私は思う。華やかなプロジェクションマッピングや花園だけでなく、B級なエリアもぜひじっくり楽しんでほしい。両方を見て回ることで、ハウステンボスの持つ、ある種の狂気ともいえるような、ちぐはぐな魅力を体感できるはずだ。
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