投稿者 : 涼子 堀、投稿日 2014 年 12月30日

ベルリン的創造性豊かでオシャレなエコ生活のススメ

我々が本来持っている自然治癒力を引き出しながら病を治療するホメオパシー。発祥地であるドイツでは、2002年時点で国民の約4人に3人(73%)が、ホメオパシーや鍼などの代替医療を利用していると英国医療新聞 (BMJ)が報告しています。市販の痛み止めや薬を一切飲まず、人口調味料や着色料を避け、オーガニックで栽培された野菜や果物のみを食している人もたくさんいます。首都ベルリンではさらにエコ精神(エコロジー)が人々の生活に根付いていて、個人の健康管理だけでなく、世界環境をも視野に入れたリサイクル主義や菜食主義が盛んです。そんなエコ最先端のベルリンから、楽しみながら実践している創造性豊かでオシャレなエコ生活をご紹介します。

新しい都市生活のあり方

地球の温暖化や環境問題が深刻化する中、大都市でも個人個人が野菜や果物などを栽培することで、健康向上だけでなく街全体の二酸化炭素も減らすことが可能です。結果、より良い気象をもたらし、地球全体の環境をも改善できるとのではという考えのもと、2009年にクロイツベルグ地区で「プリンツェッシネンガルテン」という菜園プロジェクトが始動しました。自然が減り、人間を含め生き物にとって住みにくい場所となりつつある都市での生活の中で、人々が助け合い、知識を交換し、コミュニケーションをとりながら、地元で採れた美味しい旬の食材を分け合い、かつリラックスもできる小さなユートピアになれば、という構想を掲げています。

元々は工業地帯で空地だった場所を利用して作られたこの菜園では、汚染された土の使用を避けるため、プランターボックスの使用が導入されました。牛乳パックや肥料が入っていた袋などがプランターボックスとして再利用され、結果、都市生活に最適なモバイル菜園が実現しました。敷地内では多種多様なハーブや野菜だけでなく、有機野菜の栽培、実験的なキノコ類の育成やワークショップ開催のほか、軽食が食べられるスタンドや野外カフェも併設されています。

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牛乳パックをプランターボックスとして再利用 photo by Ben Garrett

フリーマッケットがワードローブ!?

クロイツベルグとノイケルン地区の境目にある運河沿いで、隔週日曜日に大人気のフリーマッケットが開催されています。クレープや焼き菓子などの軽食や、こだわりコーヒーなどのカフェスタンドも出店していて、地元の若者全員が集うといっても過言ではないほど、たくさんの人がマーケットに足を運びます。
「いつもはお客さんとして来ているけど、今回はたまった服を売る側として参加しているんだ」という、ディアナ。新品の服をデパートなどでは買わず、ここで誰かのお古を買っては使用し、要らなくなったらここで売り、必要な人がそれをまた買って使用するという、無駄のない生活を楽しくオシャレに実践することが、ベルリナーの法則のようです。

手作り愛好者たち

DIYスタイルが単なる流行ではなく、ライフスタイルとして定着しているベルリン。DIYとは、Do It Yourselfの略で、日曜大工のごとく自分で手作りするということ。大手量販店で購入できるものは個性や味気がなく、また、生産背景として発展途上国で賃金の安い労働者を安く雇い利用していることが多く、それらの資本主義に加担したくないというのが理由のようです。一方、手作りは個性があり、自分の好きなようにアレンジが可能、さらに不要となった素材を再利用することもできるので、簡単に実行できるエコといえるでしょう。服や家具、自転車、化粧品にいたるまで、ベルリナーは手作りが大好きのようです。
ノイケルン地区にある人気の服飾雑貨店兼コーソーイングスペース(共同縫製スペース)Nadelwaldでは、そんな手作り愛好者のために縫製個人クラスを開催しています。作りたい服などのアイデアさえあれば、ミシンを購入する必要もなく完成するまで縫い方を丁寧に教えてくれ、オリジナルの服を自作することができます。

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服飾雑貨店兼コーソーイングスペース(共同縫製スペース)Nadelwald  photo by Daniel Kula

一方、ロンドンアムステルダムなどの大都市でも手作りハウスボート(住居用の屋形船)に住むというライフスタイルが今若者の間で流行っていますが、Wasserkutscheというベルリン拠点のハウスボートレンタル会社では、オーナーが自ら手作りしたハウスボートを日単位で貸し出しています。電動式で動くため環境汚染の心配もなく、単純な運転操作で運転免許も必要ありません。船の中にはアパート並のキッチンやバスルーム、冷暖房も完備されていて、ユニークなベルリン観光のほか、船上音楽ライブやパフォーマンス、貸し切りパーティーなどでも話題を呼んでいます。

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photo by Daniel Kula

Cover photo by Sebastiaan ter Burg