投稿者 : 博美 鈴木、投稿日 2016 年 8月10日

ベトナムの古都フエに眠る歴代皇帝のお墓へ行こう

直行便が運航するダナンから北へ車で約2時間。少し足を延ばしてぜひ訪れてほしい街が、ベトナム中部に位置する世界遺産の街、フエです。ベトナム最後の王朝であるグエン朝(1802ー1945年)が都を築いた場所で、美しい古い街並みがそのまま残り、のんびり散策するだけでも楽しめます。

特に郊外に点在する歴代の皇帝が眠る帝廟はどれも美しく、その時代の皇帝の価値観や趣向、時代が反映されていています。歴史のお勉強を兼ねて訪れてみると、また違うベトナムが見えてくるはずです。

フエを都にしたグエン朝って何?

グエン朝

グエン朝は19世紀の初めから150年続いた王朝で、ベトナム全土を統一した最初で最後の王朝でもあります。グエンとは初代ザーロン帝の皇帝になる以前の名前、グエン・フック・アインの名をとったもの。それまで政治の中心地だったハノイから皇帝の出身地であるフエに都を置きました。以降、中国の紫禁城を手本にした王宮にはじまり、フランスの統治下に置かれると西欧風の帝廟が造られるなど、街の中心を流れるフォーン川のほとりに王宮や寺院、歴代皇帝の廟が築かれていきました。

初代皇帝 ザーロン帝廟

ザーロン帝廟

これまで舗装された道がなくて、ツアーはもちろん個人でも行ったことのある人は少ない初代皇帝廟。最近、ようやく整備されて車で訪れることができるようになりました。

ザーロン帝廟はひとつの山がまるまる陵墓といった壮大な造り。お墓は三段の基台の上に建ち、閉ざされた扉の向こうにあります。お墓を見学する場合は、今のところ守衛さんに「心づけ」を渡すと開けてくれますよ。目安は5万ドン〜10万ドン。守衛さんの気持ち次第で心づけんも額は少し変わります。

ザーロン帝廟

扉を開けてもらうと、石壁に囲まれた空間にザーロン帝と皇后のふたつの石屋が寄り添って並ぶ合葬陵があります。

[one_half]ザーロン帝廟[/one_half]

[one_half_last]帝廟は風水や陰陽の世界観に基づいて造営され、自然と一体化した山の中にあります。麓に広がる月湖と呼ばれる龍形をした湖に、薄桃色のハスの花が咲く6〜7月の時期を狙って訪れるのもいいでしょう。

嘉隆帝廟(ザーロン帝廟)
住所:Thua Thien Hueミンマン帝廟からさらに30分ほど走った山の中
営業時間:8:00〜16:00
入場料:無料

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第2代皇帝 ミンマン帝廟

ミンマン帝廟

13代続いた王朝の中でもっとも繁栄に貢献したミンマン帝は、今も歴代皇帝の中で一番人気。文官はコネでなく試験を受けさせ人材を集めていたこも人望が厚い理由といえます。また私生活では500人もの奥さんと100人以上の子供がいたというから、何事にも精力的な帝像が、レジェンドとして語り継がれてきたのでしょう。

そんなミンマン帝自ら設計した陵墓は、芸術性に優れた中国式庭園。入り口から約1キロあるお墓まで色鮮やかな建物が点在し、池に橋を架けたり、高低差をつけた立体的な演出で参拝者を楽しませてくれます。

ミンマン帝廟

フエ名物の宮廷料理は、ミンマン帝の時代に開花したもの。皇帝は50人の料理人に50品を出させ、さらに同じ料理を出すことは許さなかったとか。フエ料理の種類が多く独特なのは、ミンマン帝の要求に応えて料理人達が必死に新しいメニューを考案したからだと言われています。

また、ユネスコの無形文化遺産に登録されている「ニャーニャック」と呼ばれる雅楽やアオザイを普及させるなど、文化・芸術の発展に大きく貢献した人物でした。

明命帝廟(ミンマン帝廟)
住所:xa Hurong Tho,Hurong Tra. Hue
営業時間:07:00~17:00
入場料:10万ドン(約460円)

第4代皇帝 トゥドック帝廟

トゥドック帝廟

歴代皇帝の中で在位期間35年と一番長かったトゥドゥック帝。陵墓は1864年から3年をかけて建てられました。ミンマン帝以上に中国と密接な関係を持っていたことを現すよう、陵墓の中心に大きな蓮の池を配置した風雅な中国風庭園建築が見所。そのほか敷地内には住居やお寺を建てて、生前から別荘として愛用していました。

そんなトゥドゥック帝は、政治よりは文芸のほうに関心があったと言われている皇帝で、池のほとりに立つ釣殿で詩を書いたり、釣りを楽しむことを好んでいたと言います。

[one_half]トゥドック帝廟[/one_half]

[one_half_last]釣殿は欧米人にとっても癒しスポットのようで、代わる代わる階段を下りて緑色の池に足湯のように浸かっています。

嗣徳帝廟(トゥドック帝廟)
住所:Lang Tu Duc. Hue
営業時間:07:00~17:00
入場料:10万ドン(約460円)[/one_half_last]

第12代皇帝 カイディン帝廟

カイディン帝廟

カイディン帝廟は、1920年から12年の歳月をかけて建設されました。住民の税金を跳ね上げて造営したこの建物に国民の批判が集中したのは当然のこと。今でも「最も嫌いな皇帝」の烙印を押されています。

ですが、西洋文化大・大・大好きの皇帝が自ら考案した帝廟は、コンクリートの駆体にガラスや陶器のモザイクで飾った壁、教会建築なども取り入れたユニークなデザインで、観光客の間では歴代帝廟の中でも一番人気の帝廟です。

[one_half]カイディン帝廟[/one_half]

[one_half_last]入り口から120段の石段を上がった頂にある御殿には、黄金色に輝く等身大のカイディン帝像。その下に本人の遺体が安置されています。
御殿のテラスから見渡す山の緑の景色もまた素晴らしいです。

啓定帝廟(カイディン帝廟)
住所:Lang Khai Dinh. Hue
営業時間:07:00~17:00
入場料:10万ドン(約460円)[/one_half_last]

【おまけ】第13代皇帝バオダイ帝の居所 安定宮

バオダイ帝の居所 安定宮

新市街を流れるアンクー川のほとりにひっそりと立つ黄色の壁を纏った安定宮は、もともとカイディン帝が即位以前に暮らしていた館でした。後にラストエンペラーとなったバオダイ帝も皇太子時代に家族と生活していました。洋館の前の東屋に立つのは小柄なバオダイの像。館内はリビングルームや寝室から生活していた当時の面影を辿ることができます。

バオダイ帝の居所 安定宮

庭から見たアングルは、整然と並ぶ並木道のアプローチの奥にクリームイエローの趣のある外壁。これだけ見ているとフランスのヴィラと言っても信じてしまいそうです。

父カイディン帝没後、1945年の8月革命でグエン王朝は終焉を迎えます。バオダイ帝は、王宮を追われると再びこの安定宮に戻りました。

ベトナム共和国が誕生したのは、そのバオダイ帝の退位から3日後のことです。

安定宮
住所:97 Phan Dinh Phung St.Hue
営業時間:07:00〜17:00
入場料:2万ドン(約90円)

お墓を巡ればフランスの植民地化、第2次世界大戦など時代に翻弄されながらも、13代143年間にわたって続いた王朝の歴史とその人物像が見えてきますよ。旅行者にお得な拝観セットチケットも販売しています。

「王宮」「ミンマン帝廟」「カイディン帝廟」の3ヶ所セットチケット
大人  280.000VND(1280円)

「王宮」「ミンマン帝廟」「カイディン帝廟」「トゥドック帝廟」の4ヶ所セットチケット
大人 360.000VND(1740円)

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※10,000ベトナムドン=約45円(2016年8月現在)
協力:ベトナム航空