投稿者 : 純 岩佐、投稿日 2020 年 2月17日

パリから片道約1時間、太陽王ルイ14世が嫉妬した「ヴォー・ル・ヴィコント城」へ

パリから南東へ55kmほど、電車とシャトルバスを利用して片道1時間ほどで辿り着く壮麗なバロック式の古城「ヴォー・ル・ヴィコント城」。太陽王ルイ14世がその美しさに嫉妬し、同じ建築家や造園家を召集して世界遺産「ヴェルサイユ宮殿」を造った話は大変有名な話です。現在はドゥ・ヴォーグ家が所有している城では、2万本のキャンドルを使った幻想的なライトアップイベントや中世衣装を貸し出すサービスもあり、単なる観光だけではない楽しみ方のできる特別な場所となっています。

「ヴォー・ル・ヴィコント城」の歴史

「ヴォー・ル・ヴィコント城」の歴史

現在のヴォー・ル・ヴィコント城の歴史は、38歳という若さでルイ14世の大蔵卿になった敏腕政治家ニコラ・フーケがヴォー・ル・ヴィコント城を購入したところから始まります。フーケは建築家のルイ・ル・ヴォー、画家で装飾家のシャルル・ル・ブラン、造園家のアンドレ・ル・ノートルという三大巨匠へ依頼し、ヴォー・ル・ヴィコント城を17世紀建築の傑作とも呼ばれるものに生まれ変わらせました。
その後フーケは、フーケのライバルで大臣でもあったコルベールの入れ知恵もあり、1661年に若きルイ14世に敬意を表するため、コンサート、演劇や花火まで贅を尽くしたダンスパーティを催しましたが、そのあまりの豪華さに逆にルイ14世の嫉妬をかってしまい、城の完成直後ほとんど城に住むこともなく国家財産横領罪で投獄されてしまいました。なんとその後、ルイ14世はヴォー・ル・ヴィコント城に携わった三大巨匠をヴェルサイユ宮殿の造営に携わらせたというから驚きです。
19世紀には砂糖精製業で財を成したアルフレッド・ソミエがヴォー・ル・ヴィコント城を購入し修復を始め、現在はソミエの子孫ドゥ・ヴォーグ家が運営し続けています。

「ヴォー・ル・ヴィコント城」城内の見どころ

「ヴォー・ル・ヴィコント城」城内の見どころ

ヴォー・ル・ヴィコント城はドームのある棟を中心にその両端にイタリア建築の影響を受けている棟が建っています。ルイ・ル・ヴォーは楕円形のサロンを挟んで二つのほぼ同じ間取りの部屋を作り、片側を国王のアパルトマン、逆側をニコラ・フーケのアパルトマンとしました。これは当時としては大変新しい取り組みです。またルイ・ル・ヴォーは、当時の城にはなかったダイニングルームも造りました。

ニコラス・フーケ夫妻のアパート
Photo by vaux-le-vicomte.com

城の見学は、フランス式1階(日本式の2階)にあるニコラス・フーケ夫妻のアパートからはじまります。素晴らしいことに城内はほぼ完全に17世紀のままの状態で保存されており、フーケの寝室には天井画と6枚のタピスリーが残されています。

バロック様式の素晴らしい装飾と家具、タペストリー

城の地上階には、グランドスクエアルーム、サロンデミュース、ゲームキャビネットなどがあり、バロック様式の素晴らしい装飾と家具、タペストリーなどが見られます。中でもサロンデミューズには、息を飲むほど見事な装飾が施されています。“アミンタとシルヴィア”を題材にしたタペストリーや鮮やかで躍動感のある天井も見逃せません。

キッチンは地下に

3,000人の客が招かれた17世紀で最も華やかな祝宴のひとつが開かれたヴォー・ル・ヴィコント城のキッチンは地下にあります。この厨房では、フランソワ・ヴァテルがルイ14世のために新しいデザート(後にクレーム・シャンティイとなるもの)を発明したと言われています。ピカピカに磨かれたあらゆるサイズの銅鍋がずらっと並ぶ様は壮観です。

クーポルへは狭い階段を登ります

城の中央棟にある地上25メートルのクーポルへは狭い階段を登ります。3ユーロのオプション料金がかかりますが、クーポル最頂部から360度見渡す城とフランス式庭園の最も完成された形であると称賛される広大な庭園の景色は格別です。

シンメトリーの美にうっとり、フランス式庭園

シンメトリーの美にうっとり、フランス式庭園

フランス式庭園のバイブルとも言われるヴォー・ル・ヴィコント城の庭は、中央の散歩道を挟みシンメトリーな構成で(厳密にいうと一部の箇所が異なります)、安定と調和の世界観が広がっています。

フランス式庭園のバイブルとも言われるヴォー・ル・ヴィコント城の庭
Photo by vaux-le-vicomte.com

ル・ノートルは庭の設計に透視図法も用いており、アラベスク状に刈り込まれたツゲに沿って庭を歩いていくと、城のテラスからは見えなかった大運河が突如目の前に現れたり、最初はそれほど遠くに見えない庭園奥のヘラクレス像に実際はなかなか辿り着けなかったり、城からは同じ大きさに見える噴水が実は8倍ほどの大きさの違いがあったりと、散策中も飽きない工夫が随所に盛り込まれています。100エーカーもの敷地からなる庭園は、ゴルフカートを借りてゆっくりと散策することもできます(45分間20ユーロ)。

来場者をもてなす夢のようなイベント

「ヴォー・ル・ヴィコント城」では、中世の衣装をレンタルして城内を周れたり、6歳未満の子どもはギフトがもらえたり、また、季節に合わせた種々様々なイベントが行われており、来場者を楽しい夢の世界に誘います。

キャンドルライト・イブニング
キャンドルライト・イブニング
Photo by vaux-le-vicomte.com

5月から10月までの毎週土曜日の夜に開催されるキャンドルライト・イブニングは、城の敷地を2,000本以上のキャンドルが照らすロマンティックなイベントです。優雅なクラシック音楽が流れる中、キャンドルの光を纏った「ヴォー・ル・ヴィコント城」は当時の祝宴のムードさながらで幻想的です。キャンドルライト・イブニングの開催日は24時までゆっくりと滞在することができます。

グラン・シエクル・デー
グラン・シエクル・デー
Photo by vaux-le-vicomte.com

毎年6月上旬のグラン・シエクル・デーは、17世紀の貴族のような時代衣装を着た人であふれます。バロックダンサー、銃士ショーなどイベント盛りだくさんな祭りの最後にはコスチュームコンテストも開かれます。衣装セットを持っていない人もレンタルすることができるので、観光客でも一緒になって楽しむことができます。

スティクス・ツアー
「ヴォー・ル・ヴィコント城」の地下水路跡を探検するツアーには、1回60ユーロで6名まで参加できます。フロントランプとワーキングブーツという探検家さながらのいでたちで向かう先では、敏捷性および問題解決のテストにチームでチャレンジします。友人や家族で参加すると、冒険しながら歴史についても学べる興味深いツアーです。

クリスマス
クリスマスシーズン(毎年11月末から1月頭まで)には、毎年のテーマに沿って城全体が何千個ものイルミネーションなどで装飾されます。庭の炉床や馬車の火もこのイベントをさらに盛り上げ、定番のクリスマスソングも流れる城では、まるでおとぎ話の世界に迷い込んだような気分になれます。

イースターエッグ・ハント
イースターの週末には、国内最大級のエッグハントが開かれます。庭で開かれるエッグハントは地元でも大変人気のため、チケットは早めの購入がおすすめです。家族全員で楽しめるフェイスペインティングやポニーライドもあり、子供たちも大満足の1日となること間違いなしです。

「ヴォー・ル・ヴィコント城」での食事

ヴォー・ル・ヴィコント城には、家族向けレストラン「ル・ルレ・ド・レキュルイユ(Le Relais de L’Ecureuil)」、高級レストラン「レ・シャルミーユ(Les Charmilles)」とドリンクや前菜のある「ソンジュ・ド・ヴォー(Songe de Vaux)」などの選択肢があります。また、食べ物を持参して美しい庭園でピクニックを楽しむのも無料です。

ル・ルレ・ド・レキュルイユ

ヴォー・ル・ヴィコント城の別荘棟、チケット売り場のすぐ右側にあるル・ルレ・ド・レキュルイユは家族向けレストランで、前菜、メイン、デザートまでセルフサービスで好きにメニューを選ぶことができます(平均20から25ユーロ程度)。

天気の良い日は広々したパティオでも食事ができます

天気の良い日は広々したパティオでも食事ができます。子供用のハイチェアも用意されているので小さなお子様連れも安心です。
また、高級レストラン「レ・シャルミーユ(Les Charmilles)」では、キャンドルライト・ナイトの夜に星空の下でグルメな季節メニューを食べられます(要事前予約)。また、レストラン内のバー「ソンジュ・ド・ヴォー(Songe de Vaux)」では光のショーが繰り広げられる庭園を眺めながらシャンパンをいただく優雅な時間が過ごせます。

お土産も充実

お土産も充実

ギフトショップはカード、本、人形、インテリアグッズなど幅広い品揃え。有名なクリスティナ・ドゥ・ヴォーグ伯爵のデザートのレシピブックは要チェックです。
敷地内の軍需品・馬車博物館の見学もお忘れなく。子供も楽しめる18から19世紀の馬車や連結具など貴重なコレクションが並びます。

ヴォー・ル・ヴィコント城の大人の入場料は16.9ユーロ、6歳未満は無料です(イベントによって大人の入場料は異なります)。日本語もあるオーディオガイドは無料で、衣装のレンタルも大人6ユーロ、子供4ユーロ(3歳から)とお手頃価格です。

ヴォー・ル・ヴィコント城(Château de Vaux-le-Vicomte)
公式ホームページ(日本語・英語・フランス語ほか):https://vaux-le-vicomte.com/
アクセス:電車RER・P線のヴェルヌイユ・レタン(Verneuil l’Etang)駅からシャトルバスで約20分
営業日時: 2020年について(年3月14日~11月1日)月〜日曜日10:00〜19:00※5月2日〜10月3日まで毎土曜日は夜間イベント「キャンドルナイト」があるため閉館は24:00、(11月21日〜2021年1月3日)11:00〜19:00、(12月24日、12月31日)〜17:00
定休日:1月1日、1月6日〜3月13日、11月2日〜20日、12月25日
住所:Château Vaux le Vicomte 77950 Maincy

レストラン ル・ルレ・ド・レキュルイユ(Le Relais de L’Ecureuil)
公式ホームページ(日本語・英語・フランス語ほか):https://vaux-le-vicomte.com/en/prepare-your-visit/meals-at-vaux-le-vicomte/lecureuil/
営業日定休日:城の開館に準じます
営業時間:(3月~11月)月〜金曜日16:30まで、土曜日18:00まで、日曜・祝日17:30まで 、(クリスマス期間)月〜金曜日18:00まで、土・日曜日及びヴァカンスシーズン19:00まで、キャンドルライト・ナイトの土曜日23:00まで
温かい食事は、月〜金曜日12:00〜14:30、土・日曜日及びヴァカンスシーズン11:30〜15:30

パリから「ヴォー・ル・ヴィコント城」への行き方

パリから「ヴォー・ル・ヴィコント城」への行き方
ヴォー・ル・ヴィコント城へは、パリ東駅からプロヴァン(Provins)行きのP線に乗り、ヴェルヌイユ・レタン(Verneuil l’Etang)駅で下車します。乗車時間は約35分で、電車はほぼ60分おきに出ています。

ヴェルヌイユ・レタン駅

ヴェルヌイユ・レタン駅からは、ヴォー・ル・ヴィコント城の公式シャトルバス「Châteaubus」で約20分です。バスは、駅の出口の正面にあるバス停から電車の到着時間に合わせて1時間おきに運行しています。チケットは、当日ドライバーから買えます(クレジットカードと現金の利用可)が、事前に公式サイトで購入しておく方が安心です。

ヴォー・ル・ヴィコント城は、ソフィア・コッポラ監督の映画「マリー・アントワネット」やレオナルド・ディカプリオ主演の「仮面の男」の撮影地でもあります。おとぎ話に出てきそうな城を、ヴェルサイユ宮殿のような大混雑ではなく、ゆっくりと見学ができるのも「ヴォー・ル・ヴィコント城」の魅力のひとつです。

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