バンコクだからできるプチ贅沢。タイが誇るクラシックホテル「マンダリン オリエンタル バンコク」の楽しみ方
ゴージャスな世界的五つ星ホテルブランドから、倉庫を改装したようなモダンな隠れ家系やインスタ映え間違いなしのデザイン系、使い勝手のいいインターナショナルなホテルグループに、超チープなバックパッカー宿まで、アジアでも屈指のホテルバリエーションが楽しめる都市、タイ・バンコク。
そんなバンコクで、伝統と格式の高さで一線を画しているのが、国を代表するホテルとして140年に及ぶ歴史を持つ「マンダリン オリエンタル バンコク」。2017年3月、天皇皇后両陛下が故プミポン前国王の弔問でタイを訪問された際に投宿されるなど、世界のロイヤルファミリーや文豪といった名だたるセレブリティが顧客に名を連ねています。名声に甘んじず、140周年にあたる2016年には大リニューアルも完了。「ここに泊まるたけだけにバンコクへ」。そんなデスティネーションホテルとしてチャオプラヤー川のほとりに君臨する「マンダリン オリエンタル バンコク」をあますところなく楽しむポイントをご案内します。
祝!ミシュラン二ツ星。タイで最古の本格フランス料理ダイニング
さて、滞在が決まったら真っ先に予約をおすすめしたいのが、「マンダリン オリエンタル バンコク」が誇るメインダイニング「ル・ノルマンディー」。タイで初めての本格フランス料理店として、開業以来バンコクのガストロノミー文化をリードしてきました。2017年12月に発表されたタイ発の「ミシュランガイド バンコク 2018」では、3店しかない二つ星店のうち1軒に(三つ星はなし、一つ星は14店)。

近ごろは、日本の食材を取り入れたり、日本料理をモチーフにしたりといったフレンチや、そこからさらに発展してタイ料理の再構築と融合したフレンチのような、アジア風イノベーティブなフランス料理が主流を占めていますが、そんななかでヌーベルキュイジーヌの軽やかさを踏まえつつ、フランス料理のフレームを尊重する「ル・ノルマンディー」の料理はかえって新鮮さを感じます。
チャオプラヤー川を見下ろす抜群のリバービューを楽しめる特等席は、インハウスゲストに優先的に割り当てられるので、予約はお早めに。

そのほか、伝統舞踊を鑑賞しながらタイ料理を味わえるタイ初のステージつきレストラン「サラ リム ナーム」や、こちらもタイで初めてのインハウス型料理教室「オリエンタル タイ クッキング スクール」、アジアのベストバーのひとつにも選ばれた「ザ・バンブーバー」など、バンコクの美食最前線を堪能できます。
ロイヤルファミリーにも愛される美しいふたつのアフタヌーンティ
「マンダリン オリエンタル バンコク」でもっとも有名なのが、コロニアル風の建築デザインと東南アジアらしいリゾート感が融合した美しい「オーサーズ ラウンジ」でしょう。

生演奏に耳を傾けながら優雅にアフタヌーンティを楽しめるラウンジとして、「マンダリン オリエンタル バンコク」デビューを飾る人も多い、観光客にも有名なスポットです。開業当初は屋根のないガーデンラウンジで、1976年にガラス張りの天井が設置されたという歴史あるこのラウンジも、2016年にリニューアルが完了。サマセット・モーム、ジョゼフ・コンラッド、ノエル・カワード、ジェームズ・ミッチェナーの、ホテルにゆかりの深い4名の文豪の名を冠した4つのプライベートラウンジが新設されました。

「オーサーズ ラウンジ」のシグネチャーメニューが、英国風の3段トレイでサーブされる「ウェスタン アフタヌーンティ セット」と、タイの伝統スイーツやセイボリーを体験できる「ジ オリエンタル アフタヌーンティ セット」。
アフタヌーンティは地元でも人気が高いのですが、インハウスゲストは優先的に予約できます。
タイ古式マッサージから最新技術まで、ここに来たら外せないスパ体験
さて、タイといえばタイ古式マッサージをはじめとするスパ&マッサージ天国。個人的に、タイとバリ島は世界2大マッサージ大国だと確信していて、タイに行く大きな目的のひとつがスパ三昧です。
なかでも飛び抜けているのが、チャオプラヤー川を挟んでホテル棟と向き合うかたちで佇む「オリエンタル スパ バンコク」。ご想像通り、こちらもタイ初の本格的なスパ施設として1994年に開業しました。
100年前のチーク材で建てられた家屋を復元したという落ち着きのあるトリートメントルームや、レモングラスを中心にさわやかに香るタイハーブなど、ここならではの魅力は枚挙にいとまがありませんが、特筆すべきはその技術力の高さです。

マッサージは何と言ってもセラピスト個人の技術力にかかってくるため、相性もあるし、時には合わない人に当たってしまうのが普通のこと。ところがここでは、セラピストを徹底的にトレーニングしているため、とにかく技術力の水準にブレがないのです。

「オリエンタル スパ バンコク」でゆったりと優雅に過ごす時間は、南国リゾートならではの醍醐味ですが、激動する大都会バンコクのアーバンホテルの一面も併せ持つホテルとして、短時間でシンプルなサービスを提供する「スパ スタジオ by オリエンタル バンコク」もオープンしました。こちらでは、短時間で終了するボディマッサージやフェイシャルトリートメントのほか、世界的なポディアトリスト(足医学専門家)として知られるバスティアン・ゴンザレス氏が監修する、手と足のケアを行う特別なトリートメントを体験できます。
全室にバトラーサービスを提供。ゲストの心を読む抜群のホスピタリティ

ほかにも、タイシルクやチーク材などを用いたタイ伝統スタイルの内装がエレガントな客室は、全室がバトラーサービスつき。チェックイン手続きをはじめ、ウェルカムドリンクを運んでくれたり、レストランの予約を取ってくれたり。また、私はお願いしませんでしたが、荷物をほどいたりスーツケースに詰めたりといったサービスもしてくれるそうです。
静謐なプールにチャオプラヤー川のクルーズ、ここはまさに都会のオアシス
インハウスゲストしか利用できないプライベートプールに行ってみると、ゲストが利用したタオルなどはすぐに片付けられ、いつでも整った清潔なプールサイドがキープされています。

「ナムケンサイ(タイ版かき氷)」など冷たいデザートが振る舞われることも。

美しいロビーでは、時間帯により、ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロからなる弦楽三重奏団が美しい調べを奏で、エントランスでは、タイがまだ「シャム王国」と呼ばれていた時代の正装をまとったドアマンが、滞在2日目ともなれば顔と名前を覚えて迎え入れてくれる…。

チーク材のプライベートボートで、チャオプラヤー川の対岸に渡ったり、送迎サービスを利用したり。クラシカルなボートでのクルーズは、それ自体がすでにアトラクションです。
…と、おすすめポイントがみっちり詰まった大好きな「マンダリン オリエンタル バンコク」ですが、個人的に困った問題点がひとつ。ホテル内に何でも揃っているうえ、居心地がよいため、バンコクの喧騒のなかに出かけるのがおっくうになってしまうのです。
このホテルに泊まるなら、いっそ観光もショッピングも放棄して、おこもりステイを心ゆくまで満喫する。そんな過ごし方が最高です。
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