スイスのあまたある雪山の中で抜きん出て特別な存在であるアイガー。メンヒとユングフラウと並んでそそり立つ名峰は、世界中にその名がとどろき渡っています。この三名山は、地元の住民からも観光客からもあがめられています。ドイツ語でメンヒは修道士、ユングフラウは乙女、アイガーは人食い鬼を意味します。
アイガーを有名にしているのは、北壁です。ほぼ垂直にそびえ立つ 1,800 m の岩壁は、登山家たちを恐れさせ、また同時にとりこにしてきました。ここで何十人もの登山家が命を落としてきたため、死の壁として知られています。ドイツ語で「ノルトヴァント」と呼ばれるこの北壁。これをもじって、殺人の壁を意味する "モルトヴァント" とも呼ばれています。
北壁の頂上近くで、クモがひょろ長い脚を広げたような氷雪模様を探してみましょう。「白い蜘蛛」と呼ばれる難所です。
クライネ シャイデックの村にある始発駅でユングフラウ鉄道に乗車。北壁の中にあるアイガーヴァント駅で途中下車して、岩をくり抜いて取り付けられた窓から絶景を楽しんだら、また列車に乗って、ヨーロッパ最高地点のユングフラウヨッホ鉄道駅へ向かいましょう。
北壁を目指すには熟練の登山家でなければなりませんが、気軽に体感することなら誰にでも可能です。アイガー トレイルは山沿いをくねくねと進む 5.7 km の道のり。アイガーグレッチャー鉄道駅からスタートして、アイガーの途中まで登ります。途中、登山者が山肌に接近するために使用する、岩の中の金属製のはしごを通りますが、トレイル全体はとても平坦です。アルプスの景色、そして、眼下のグリンデルヴァルトとラウターブルンネンの谷の景色の美しさには、きっと言葉を失うはず。トレイルの終点はアルピグレン鉄道駅の近くにあります。もっと長距離をハイキングしたい場合は、そのままグリンデルヴァルトまで約 90 分のコースを進みましょう。
グリンデルヴァルトは北壁のふもとに位置し、アイガー ビレッジとして知られています。この魅力あふれるリゾート タウンは、アイガー観光の拠点として最適。お店やレストラン、宿泊施設が各種そろっています。
どの季節に訪れても、アイガーの頂は雪に覆われています。天候が急変することがあるので、温度変化に対応できるよう重ね着を心がけてください。