ニューデリーの博物館、美術館、市場、古代の遺跡や建築を見ていくと、ヒンズー教を奉じる王国、ムガール帝国、そしてイギリス統治時代の文化が融合するこの街の本質がわかってくる気がします。文化の中心地として栄える魅力的な街で、激動の歴史の中で幾度となく破壊と再建を繰り返したために、さまざまな建築様式が共存する様子が豊かな歴史を反映しています。
クトゥブ ミナールで、ニューデリーに伝わる文化融合の代表例を見てみませんか。このミナレットは、イスラム勢力のインド支配が始まった象徴で、1193 年に 27 のヒンズー教の寺院を破壊した後に建設されたと言われています。ここから車で 30 分足らずのところには大統領官邸 (ラシュトラパティ バワン) があり、イギリスの建築様式とインドの建築様式が好対照をなしつつ同居するという、いかにもニューデリーらしい光景が見られます。少し時間を取って、街のあちこちにあるムガール帝国時代の庭園を散策するのもおすすめです。そうした庭園に見られるイスラム様式のデザインは、ペルシアの庭園の影響を受けていて、壁で囲まれた正方形の庭園には、たいてい池や噴水、水路などが設けられています。フマユーン廟 (びょう) で見ることのできる典型的なムガール様式の庭園は、通路によって庭が 4 つの正方形の芝生に分けられ、イスラムの天国の川を象徴する細い水路が四方に延びています。さまざまな宗教的伝統が表れているニューデリーの多くの寺院。世界最大級のヒンズー教寺院、スワミナラヤン派アクシャルダム寺院の展示物からは、インドの文化的遺産や高い精神性を学ぶことができます。街の反対側にあるビルラ マンディル寺院の外観に施された彫刻では、ヒンズー教の神話の場面が描かれています。この寺院から少し通りを行くと、街の商業の中心地であるコンノートプレイスがあり、市場や店、多くのレストランやカフェが集まっています。ニューデリーは、心を癒やす場所を求める人々に人気の旅行先です。昔ながらのヒンズー教寺院に行く場合は、イスコン寺院がおすすめです。瞑想 (めいそう) したり、詠唱に参加したり、施設内にあるベジタリアン レストランで食事をしたりすることができます。インドの北部に位置するニューデリーは、1 年中暑い日が続き、6 月が最も暑くなります。7 月から 9 月にかけてはモンスーンの季節で、湿度が高く、よく暴風雨に見舞われます。