地元の食通、ファルデラ・トルカーがライラック色の端正な家の玄関先で出迎えてくれる。金属製の大きな鍋がコンロで煮えられ、スパイシーな香りを放っている。

シェフのファルデラは、ケープタウンのボ・カープにある自宅で料理教室を開いている。テーブルマウンテンの一部であるシグナル・ヒルの斜面下にゆるやかにそびえ立つ、ホットピンクや焦げオレンジに塗られた家々と同じように、モスリンの多いこの地区で作られる料理は刺激的だ。

南アフリカ西ケープ州独特のケープ・マレー料理は、アフリカの伝統と、17～18世紀にオランダ人によって持ち込まれたマレーシアやインドネシアの奴隷の伝統が融合したものだ。ジンジャー、フェンネル、スターアニス、タマリンド、そして最も重要なターメリックといったスパイスのブレンドが、料理に独特の芳香を与えている。マレー料理では、シチュー、ロースト、ソースたっぷりのカレーが人気で、ミートパテ、ミルク、パンプディングもそうだ。