投稿者 : Expedia Team、投稿日 2020 年 3月18日

迫力の深海ザメ漁体験に、地元ならではの絶品サメ料理 静岡で1泊2日の「サメ旅」

はじめまして! シャークジャーナリストとしてサメに関する取材をしている、沼口麻子です。

わたしは普段からサメの研究や取材のために全国各地を訪れているのですが、その中でもとっておきのスポットを巡る「サメ旅」をご紹介したい! と思い、筆を執りました。

シャークジャーナリスト

今回ご紹介するのは、わたしが住んでいる静岡県。「え? 静岡でサメ??」と疑問に思う方も多いかもしれませんが、実は日本一深い駿河湾(水深2,500m)を有する静岡は「深海ザメ王国」として知られており、サメにまつわるスポットがいくつもあります。東京出身のわたしが静岡に移住したのも、もともとは清水にある東海大学海洋学部でサメの研究を始めたのがきっかけでした。

今回は駿河湾に面した清水から焼津にかけて、シャーキビリティの高まるスポットをご紹介します!(「シャーキビリティを高める」とは、サメの知識を深めるという意味のわたしが考えた造語です)

1日目は本物のサメやサメにまつわる展示が見られる水族館・博物館を巡り、サメにまつわる知識を深めましょう。2日目は漁船に乗船して深海ザメ漁を見学した後、絶品の深海ザメ料理を堪能します。

それでは、旅のスタートです! よろシャーク!

1日目:サメ知識を深める水族館・博物館巡り

迫力満点のシロワニや、貴重な剥製も「東海大学海洋科学博物館」

最初に目指すのは、本物のサメが見られる「東海大学海洋科学博物館(通称・三保水族館)」だ。

東京からのアクセスは、まず品川駅から東海道新幹線ひかりで静岡駅に移動し(約1時間)、JR東海道線に乗り換えて清水駅へ(約10分)。清水駅前から東海大学三保水族館行きの三保山の手線バスに乗り(約30分)、終点の東海大学三保水族館前のバス停から徒歩約1分。タクシーなら清水駅から約20分で、エントランスに到着する。

東海大学海洋科学博物館

東海大学海洋科学博物館はイルカショーのような華やかなエンターテイメントショーがある水族館ではなく、大学の研究機関という雰囲気が漂う、落ち着きのあるたたずまいだ。しかしながら、全国の水族館スタッフなどの学芸員が選ぶ人気水族館ランキングで上位に輝いたこともあり、実は知る人ぞ知る、とても魅力的な水族館なのだ。

エントランスから入り、順路に従って進む。1階が水族館部門だ。カラフルな熱帯魚のいるコーナーに見入ってしまいがちだが、その気持ちを振り切って、サメを探しに次の部屋に進もう。

いきなりドーンと現れた海洋水槽

いきなりドーンと現れた海洋水槽は、この水族館で一番大きい水槽だ。中には迫力満点のシロワニのオスとメスのペアが優雅に中層を泳いでいる。また、シロワニより小さいが、ネムリブカ(ヒレの先が白いグレーのサメ)もいるので、水槽の隅々まで目を凝らしてサメを探したい。

隔日でサメに餌を与えているそうなので(2020年3月現在)、彼らの食事シーンを見られたら超ラッキーだ。シロワニは普段は大人しく、自ら人を襲うことはない温厚なサメだが、餌が鼻先にくると勢いよく口を開けてバクっと豪快に食べる。

また、季節によってはメスのシロワニの体表にかまれたような傷が見られる場合がある。これはサメの交尾行動の証だ。サメは魚類では珍しく体内受精を行うが、交尾する際に、オスがメスの体にかみつくのだ。傷だらけのメスを見つけたら、繁殖期の可能性がある。

しかし2020年3月現在、シロワニの繁殖は国内の水族館では成功していない。このペアから元気な子どもが誕生したらいいのに……なんて、この水槽を見上げながら勝手に想いをはせてみるのもいいかもしれない。

撮影する際は下からのアングルを狙うと、鋭い歯が見えてかっこいい

撮影する際は下からのアングルを狙うと、鋭い歯が見えてかっこいい。シロワニはゆっくりと水槽内を回遊してくるので、同じ場所でカメラを構えていると良い写真が撮れる。

彼らは2005年にこの水族館に搬入され、当時は全長150cmほどだったそうだ。15年間のうちにどれだけ成長したのか、大きさも観察してみよう。

生体のいる水槽ばかりに目がいきがちだが、水槽の反対側の壁も見てみよう。

駿河湾で漁獲記録のあるホルマリン標本

「駿河湾の深海生物」のコーナーには、駿河湾で漁獲記録のあるホルマリン標本が美しく並べられている。ヨロイザメやサガミザメなどは、駿河湾の深海底はえ縄漁(餌を付けたロープを深海の奥底まで垂らして行う漁)で漁獲される代表的な深海ザメたちだ。

次は2階の科学博物館部門に行ってみよう! マリンサイエンスホールを抜けていくと、何やら大きな口を開けた生き物が前方に確認できる。

2階の科学博物館部門

近づいて行ってみよう。

メガマウスザメの剥製標本

これは、非常に貴重なメガマウスザメの剥製標本だ。口が大きいことから、メガ(大きな)、マウス(口)という名前が付いている。駿河湾の由比港の定置網で漁獲され、水族館に寄贈された。その生態はまだまだ謎が多く、餌を食べるシーンでさえも目撃例がないほど。剥製標本はここの一番の目玉と言っても過言ではないので、必ず見てほしい。

さらにメガマウスザメの後方上部には他にもいくつかのサメの剥製が展示されていたり、サメの顎の展示もあったりと、サメ好きが楽しめるコーナーがある。ぜひ、館内の全てのサメ展示をくまなく探して、シャーキビリティを上げてほしい。

最後はお土産コーナー。

お土産コーナー

ここはサメグッズのラインアップも充実しており、30種以上のサメをモチーフにした商品が並んでいる。水族館のサメに見とれてお土産コーナーに行く時間を逃してしまう経験をお持ちの方は、館内を巡る前にお土産コーナーを物色することをオススメする。

メガマウスザメがプリントされたメモ帳

まずはこの水族館のオリジナル商品を買おう。剥製として展示されているメガマウスザメがプリントされたメモ帳だ。

かわいいジンベエザメのメモ帳

メガマウスザメの写真がちょっと……という人は、かわいいジンベエザメのメモ帳なんていかがだろうか。

サメや深海生物のリアルなイラストが描かれた消しゴム

サメや深海生物のリアルなイラストが描かれた消しゴムも魅力的だ。

本物のサメの歯を使ったキーホルダー

本物のサメの歯を使ったキーホルダーもある。この他に値段は張るが、絶滅した巨大ザメ、メガロドンの歯の化石も販売されていた。

東海大学海洋科学博物館を見て回るのに必要な時間は、1時間半ほど。大規模な水族館ではないものの、サメをはじめ駿河湾の海の環境などを学ぶにはとっておきの施設だ。

東海大学海洋科学博物館
住所:静岡県静岡市清水区三保2389
TEL:054-334-2385
営業時間:9:00~17:00(最終入館16:30)
休館日:火曜(祝日や一部期間の火曜は営業) 年末に館内整備休館あり
入館料:大人(高校生以上)1,500円(海洋科学博物館のみ)、1,800円(海洋科学博物館・自然史博物館共通券)/小人(4歳以上)・シニア(65歳以上)750円(海洋科学博物館のみ)、900円(海洋科学博物館・自然史博物館共通券)
公式サイト:http://www.umi.muse-tokai.jp/

「うみしる」では、明日の深海ザメ漁の予習もしておこう

明日は早朝から深海ザメ漁の体験乗船に行くので、今日は早めに漁港のある焼津に移動しておきたい。でも時間があるならちょっとだけ、焼津にある2つの博物館に立ち寄ってみよう。

東海大学三保水族館前のバス停から清水駅行きのバスに乗り、清水駅へ移動(約30分)。JR東海道線に乗り、焼津駅に向かう(約30分)。焼津駅南口から焼津市自主運行バス「ゆりかもめ」に乗り(約10分)、アクアスやいづのバス停から徒歩約2分。タクシーなら焼津駅前から約7分の距離に、小規模の施設が2つある。

まずは静岡県水産技術研究所の施設であり、主に静岡県の漁業や水産加工、食文化などについての展示がある「うみしる」に行ってみよう。館内は20分ほどで見て回れる。

うみしる

入り口から中の様子が見えないので、ちょっとドキドキしながら入る。

富士山の上にカツオが泳いでいるように見える

振り向いてみると、マジックミラーのようになっていた。富士山の上にカツオが泳いでいるように見える。

サメなどの生体が展示

水槽展示がいくつかあり、大きめのプールには焼津近海で漁獲されたサメなどの生体が展示されている。

ナガコバンなどのコバンザメの仲間は、実はサメではないという豆知識

ナガコバンなどのコバンザメの仲間は、実はサメではないという豆知識も。

駿河湾深層水の水槽

駿河湾深層水の水槽には世界最大のカニであるタカアシガニや、ずんぐりとした形が特徴の深海ザメ・ナヌカザメが展示されている。

静岡県の代表的な漁法について立体的な模型などで学べる展示

静岡県の代表的な漁法について立体的な模型などで学べる展示もあるので見てみよう。

深海底はえ縄漁

明日の乗船では、深海ザメ狙いの「深海底はえ縄漁」を見学させてもらう。はえ縄とは一体どんな構造なのかを、事前に学ぼう。魚を獲るには網を使うという思い込みがあるかもしれないが、はえ縄漁で使うのは網ではなく、一本の太くて長い幹縄に、枝縄が付いたもの。枝縄には釣り針が付いており、これを海底まで垂らすのだ。

静岡県水産技術研究所展示室「うみしる」
住所:静岡県焼津市鰯ケ島136-24
TEL:054-627-1816
営業時間:9:00~16:30
休館日:年末年始(12/29〜1/3)
入館料:無料
公式サイト:https://fish-exp.pref.shizuoka.jp/

展示を楽しんだあとは、深層水コーヒーで一息「深層水ミュージアム」

次はうみしるの向かい側にある施設を訪れてみよう。

深層水ミュージアム

この2階建ての施設が「深層水ミュージアム」だ。焼津は日本一深い駿河湾からもたらされる深層水の取水地。そんな深層水の知識や情報を普及する施設だ。15分ほどで見て回れる。

水槽やサメの剥製の展示

中に入ると水槽やサメの剥製の展示がある。オオグソクムシなどが目を引くが、一番大きい水槽にはとても小さい深海サメの幼魚がいた(2020年3月時点)。

ニホンヤモリザメ

ニホンヤモリザメ。これは卵から孵(ふ)化した幼魚だ。基本的に深海生物は冷たい海域に生息していてほとんど動かないので、写真撮影はしやすい。

ホシザメ

ホシザメ。これは卵からではなく、妊娠した母ザメから生まれてきた幼魚。サメは大きく分けて、卵生のものが約3割、胎生のものが約7割だ。

ラブカの標本

とても特徴的な歯を観察することのできるラブカの標本だ。三又に分かれている歯は、絶滅した古代ザメの持つ歯にとても類似している。

深層水ミュージアムの屋上展望台からは富士山が見える

深層水ミュージアムの屋上展望台からは富士山が見える。また、受け付けでは深層水コーヒーを注文することもできる。富士山を眺めながら、深海ザメのすむ海域の水で抽出したコーヒーを飲めば、心も体もシャーキビリティが上がるのではないだろうか。

深層水ミュージアム
住所:静岡県焼津市鰯ケ島136-24
TEL:054-620-5782
営業時間:9:00〜17:00
休館日:月曜(月曜が祝日の場合は翌火曜) 年末年始休(12/29~1/3)
入館料:無料
公式サイト:https://www.city.yaizu.lg.jp/shisetsu_annai/shinsousui-museum/index.html

これで1日目は終了だ。明日乗船する予定の漁船は朝5時に出港なので、この日は早く就寝して明日に備えたい。

遠足前のようにワクワクし過ぎて睡眠不足にならないように注意しよう。船酔い対策の一つはたっぷり睡眠を取ることなので、体をベストコンディションにしておいて、サメと出会う準備は万端に

2日目:焼津の港で深海ザメ漁を体験! 珍しい深海ザメ料理も堪能

「長兼丸」の体験乗船で、深海ザメ漁を間近で見学

2日目は焼津の港で、深海専門、特にサメに特化した漁船として知られる「長兼丸(ちょうかねまる)」に乗船して、深海サメ漁を見学する。長兼丸では体験乗船を実施しており、深海ザメを狙う深海底はえ縄漁は大人12,000円、中学生以下10,000円(税・保険料込み)で見学できる。

長兼丸

深海ザメ漁は、日の出前に出発して昼頃まで、6時間ほどかけて行われる(漁場によって、時間が長くなる場合も、短くなる場合もある)。この日は朝5時に、焼津小川(こがわ)港にある長兼丸の乗船場に集合。日の出の時刻は季節ごとに異なるので、集合時間は前日に確認しよう。

絶対に忘れてはいけない持ち物は、レインコート、帽子、長靴(スパイクがないもの)、厚手の手袋、水分、酔い止めだ。ライフジャケットを持っている人は持参しよう。また、気になる人はウェットティッシュも持参した方がいい。

小川港を出港し、およそ40分で、安倍川前というポイントに到着。これまでに数多くの深海ザメが漁獲されている場所とのこと! これは期待できそう。

日の出と同時に、用意した釣り針320本に順番に餌を付けて水深400mの海底に流す

日の出と同時に、用意した釣り針320本に順番に餌を付けて水深400mの海底に流す。はえ縄の仕掛けを全て入れ終えるまでは1時間〜1時間半ほどかかるので、漁師さんの作業の見学をしたり、朝ごはんを食べたりしてゆっくり過ごそう。

そろそろ仕掛けを上げる作業

漁具を入れてから1時間半ほど経過。そろそろ仕掛けを上げる作業だ。遠隔操縦モード(リモコン)に船を切り替えて手元で操船しながら、2人がかりで作業を始める。お、もう何かきたようだ?! サメでありますように!!!

ギス

上がってきたのは、残念ながらサメではなかった。ギスという名前の深海魚。そして続けて次もきたー!

トウジン

なんだこの顔は! と思ってしまうほどユニークな顔。残念ながらまたもサメではなく、これはトウジンという名前の深海魚で、おみそ汁に入れて食べるとおいしいという。深海魚もとても興味はあるのだが、やはり生きている深海ザメと出会いたいというのが本音。しかし、なかなかサメは上がってこない。少し時間が経過したころに、キターーーーーーーーー!

黒っぽいものが掛かっていた

船から海を見下ろすと、黒っぽいものが掛かっていた。ついに、深海ザメと初対面!

ユメザメ

甲板に上げられたサメをすかさず受け取る。目がトロンとしていて、まだ夢の中でまどろんでいるような、印象的な顔立ちのサメがそこにはいた。

名前はユメザメ。暗闇でわずかな光も感じ取れるエメラルドグリーンの瞳は、深海ザメの特徴でもある。皮膚にはカミソリのように鋭いサメ肌がある種類なので、素手で触らないようにと漁師さんから注意を受ける。それにしても、背中もお腹側も真っ黒で、表層にいるサメとはまた違う。じっくり観察しようとしていると、続けてまたキターーーーーーーーーー!

焦げ茶色のサメ

船から身を乗り出すように海を見下ろすと、今度は焦げ茶色のサメが! さっきと違う種類のようだ。早く船の上で観察したい!

ヨロイザメ

甲板に上げられたサメを誰よりも先に受け取り、観察する。エメラルドグリーンの瞳は同じだが、先程のサメよりも顔が丸みを帯びているような気がする。なんだかわいい! 漁師さんいわく、焼津ではゴジラの愛称で親しまれているヨロイザメという種類であった。

2尾の顔を比べてみると違いは一目瞭然

2尾の顔を比べてみると違いは一目瞭然。鼻先から眼までの長さが明らかに違うことが分かる。上がユメザメ。下がヨロイザメだ。雌雄判別してみよう。腹びれに突起物(交尾の際に使う交接器)が2本あるのがオスで、ないものがメスだ。

ユメザメの腹びれ

ユメザメの腹びれ。突起がないのでメスということが分かる。

ヨロイザメの腹びれ

ヨロイザメの腹びれ。ひれの先端に突起が2つあるのでオスだ。これは全てのサメに共通する特徴なので、これさえ覚えてしまえば、全てのサメの雌雄判別が可能となる。

アコウダイ

次は朱色が美しい魚が掛かった。アコウダイという高級魚だ。

ホラアナゴ

次はホラアナゴ。そして次に見えてきたのは大きな魚影。またサメが来たのか?!

バラムツ

期待したもののサメではなかった。掛かったのはバラムツという深海魚。これは流通が禁止されている魚なのですぐに海にリリースした。その後、何も掛からずに時間が経過していき、もう残りの釣り針が少なくなってきた。今回はこれで終わりか、と思っていた直後、最後のキターーーーーーーーー!

薄グレーのシルエット

水面を見下ろすと薄グレーのシルエット。これは間違いなくサメだ! しかもちょっと大きそう!

甲板にサメが上がる

重みのあるバンっという音とともに甲板にサメが上がる。今までの種類とはまた違う!

タロウザメ

サメを持ち上げようとするにも、わたしの力では持ち上げられないほど重く断念。これはタロウザメ、というアイザメの仲間で、レアな種類とのこと。昔は肝油を採るため、多く漁獲された時代もあったとか。

左からヨロイザメ、タロウザメ、ユメザメ

ということで、本日のサメ漁は終了! 左からヨロイザメ、タロウザメ、ユメザメ。このうち、ヨロイザメとユメザメを焼津にある飲食店に卸すとのことなので、下船してすぐに駆けつけた。

長兼丸
住所:静岡県焼津市小川3346(集合場所となる「長兼丸 接岸場所」)
体験乗船の実施時間:天候や海況によって異なる。状況によっては中止の場合もあるので、公式サイトのフォームから予約後、出航予定日の前日に要確認
公式サイト:https://tyoukanemaru.jimdofree.com/

カルパッチョもフライも絶品! 「グリルSASAYA」で味わう深海ザメ料理

船から降りた後は、釣ったサメを調理してくれる地元の洋食レストラン「グリルSASAYA」へ急ごう。

グリルSASAYA

一見、サメ料理などないような印象だが、中に入ると……

サメカツカレー

深海ザメを使った「サメカツカレー」の文字が最初に目に飛び込んできた! オススメ料理なのだろう。

深海ザメ料理は5品ある

メニュー表によれば、深海ザメ料理は5品あるとのことで、片っ端から全部頼んでみた。

深海ザメのカルパッチョ

1品目は「深海ザメのカルパッチョ」(1,120円)。見た目はホタテのようで、食感は柔らかい。サメ肉に少し塩で味付けしてあるので、口に入れたときに上品な甘みが広がる。個人的にはシャンパンと合わせて楽しみたい料理だ。

深海ザメのしそチーズフライ

2品目は「深海ザメのしそチーズフライ」(610円)。ぱっと見は鶏のささみのようで、引き締まった肉と思いきや、とても柔らかい。かといって、タラのようなパサつきもない。食感はしっとり柔らかく、衣がサクサクでビールともよく合いそうだ。

深海ザメ串フライ(しそソースネギてんこ盛り)

3品目は「深海ザメ串フライ(しそソースネギてんこ盛り)」(450円)。これはチーズフライとは異なり、もちっとして柔らかい食感だった。

深海ザメのおろしポン酢

4品目は「深海ザメのおろしポン酢」(630円)。内側が生で外側に熱が入っているので、食感がとてもいい。さっぱりしたお味で、白身魚というよりはコウイカに近いような舌触りだ。スジなどは全く感じられない。

激辛! 鮫カツ赤カレー

5品目は締めのサメカツカレー。普通のサメカツカレーもあったが、辛いものが好きなわたしは「激辛! 鮫カツ赤カレー」(1,210円)を選んでみた。贅沢に深海ザメのフライがカレーの上にたくさん乗っており、サメの旗も立っている。これもしそチーズフライと同様、中身がしっとり、外はサクサクで、食べ応えもあって満足の一品だった。

サメというと映画『ジョーズ』のように人を襲う悪いイメージを持つ人も少なくない。しかし食材としては申し分ないので、グリルSASAYAでは女性にも気軽に食べてもらいたいと考えたそう。メニュー化にあたってはどんな食材がサメと合うのか分からず何度も試行錯誤した結果、生み出されたのがこの5品だそうだ。

個人的には深海ザメのカルパッチョが一番おいしかった

甲乙をつけがたいが、個人的には深海ザメのカルパッチョが一番おいしかった。深海ザメは肉質が透き通っていて見た目も美しい。小骨もなく、スジもなく、弾力もほとんどないため、お子さんからご年配の方までオススメしたい。また、サメ肉はアンモニア臭いという話もあるが、ここの料理に関しては、臭みは一切感じられなかった。

グリルSASAYAでは長兼丸から深海ザメ約3〜4種類を不定期に入荷しており、入荷があればサメ料理を味わうことができる。漁船に乗船するのはハードルが高いという人もぜひ、サメ料理からスタートしてみてはいかがだろうか。サメの入荷については、事前に電話で確認しておくと確実だ。焼津ならではの貴重な食材を堪能してほしい。

グリルSASAYA
住所:静岡県焼津市焼津4-9-19
TEL:054-627-0234
営業時間:ランチ 11:00~14:00 ディナー 17:00~21:00 水曜休
公式サイト:https://sasayaomuraisu.amebaownd.com/

2日間のサメ旅はこれで終了。学んで、触れて、味わって、ぜひ静岡でシャーキビリティを高めてみてほしい。よろシャーク!

文:沼口麻子……1980年東京生まれ、静岡在住。東海大学海洋学部卒業、同大学大学院海洋学研究科水産学専攻修士課程修了。サメの魅力を伝えるシャークジャーナリストとして全国を訪れ、世の中のシャーキビリティを高めるために活動中。著書に『ほぼ命がけサメ図鑑』(講談社)。

編集:はてな編集部

※記事内に記載の情報は全て2020年3月時点のものです。ご了承ください
※記事中の価格は全て2020年3月時点の税込価格です

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