息をのむような建築の妙や彫刻の数々が魅力の陳氏書院は、かつて学校として使われていましたが、現在は民族工芸博物館として好評を博しています。
石材、木材、石こう、レンガに施された彫刻が名高いだけでなく、文化財としての重要性でも広州随一です。陳氏書院 - 広東民間工芸博物館は、6 つの中庭と 9 つのホール、たくさんの別棟からなる大型複合施設です。もとは 1894 年に広州 72 県の陳姓の人々がお金を出しあって、陳氏一族の祖先を祭り、子弟に教育を授ける場所として建立し、使用していました。屋根や壁面、ドアに施された彫刻に着目しながら、いくつもの中庭や建物内を回ってみてください。彫刻のモチーフには実在の動物もあれば空想上の生物もあり、さまざまな古典や伝説が生々しく再現されているため、中国の民間伝承を目で見て学べる格好の機会です。1959 年には中国政府がこの地域の手工芸の歴史を紹介する目的で宗廟 (びょう) 内に広東民間工芸博物館を設立しているため、象牙の彫刻や彫塑、装飾品、日々の生活に溶け込んだ道具類などについて学ぶことができるほか、 紙切り細工や陶磁器、刺しゅうなどの伝統工芸については特設展示がしつらえられています。びょうぶやシタンの家具に施された精緻な木工彫刻には、驚嘆するほかありません。陳氏書院は陳氏の宿舎としても活用されていました。部屋々々で使われていた時代家具も、この複合施設で見学することができます。中庭には、中国古典の有名人物たちが今にも動き出しそうな彫像となって並んでいるので、シャッター チャンスをお見逃しなく。陳氏書院のあちこちに座れる場所が用意されているため、ゆっくりと腰を下ろし、静穏な寺院の中で悠久の時の流れを実感してください。陳氏書院は広州の中心部にあり、地下鉄陳家祠駅から近いほか、バスの便もあって便利です。毎日開館しているので、1 時間以上はゆっくりと過ごしていってください。