グラーツではあらゆる街路がハウプトプラッツと呼ばれるこの中央広場に通じています。中央広場は、中世初期に中央市場が立つ場所となって以来、今日に至るまで文字通りグラーツの中心地としての役割を果たしてきました。市街中枢部を走るヘレンガッセ、シュミードガッセ、ザックシュトラッセ、シュポルガッセ、ムルガッセなどの主要道路は、すべてこの中央広場を起点としています。ヤコミニプラッツを除けば、ハウプトプラッツはあらゆる路面電車の路線が発着するグラーツ市街唯一の広場で、そのような理由もあって、街の各地から集まる人々の格好の待ち合わせ場所になっています。
食べ物の屋台が軒を連ね、市場がある北側は、この中央広場がもともと市場だったことをまざまざと思い出させます。
この広場で目を引く建物、市庁舎 (ラートハウス) は、19 世紀の建築で、1890 年代のファサードが当時とほとんど変わることのない姿をとどめています。中央広場を囲んで並ぶ建物は、ほとんどがこの市庁舎よりもずっと古く、色とりどりのファサード、精緻な化粧しっくい、彫像で飾られています。中でも有名なのは、15 世紀に建てられ、アーケードを備えた通路とバロック風の化粧しっくいが特徴のルーク ハウスです。16 世紀の建築になるアドラー アポテークは、創業 1535 年のグラーツ最古の薬局です。
中央広場の中心を飾るヨハン大公の噴水は、19 世紀の作品です。いくつもの改革を通じてグラーツとスティリア州に豊かな恩恵をもたらした、このハプスブルク家の大公を記念した像は実物よりも大きく、見応えがあります。
歴史的建造物から目を移せば、バラエティ豊かなお店や、テラス付きカフェ、レストランが目に入ります。コーヒーを片手にグラーツ旧市街の真ん中で、この街の過去と未来に思いを馳せてみてはいかがでしょう。夏の中央広場は、次々と開催される色々なフェスティバルやイベントの活気に彩られ、冬はクリスマスのマーケットやツリーでにぎわいます。