トラヤヌスのフォルムは、保存状態のよい複合遺跡。かつて記念碑や建造物、市場などを擁していました。現存する柱をじっくり見たり、かつて市場が開かれていた古い集会所や広場を歩いてみたり。トラヤヌスの記念柱に施された見事な彫刻も見逃せません。
この広大なフォルムは、トラヤヌス帝の命により 2 世紀初頭に完成。トラヤヌス帝に気に入られたダマスカスの建築家、アポロドロスの設計です。主な建造物の多くははるか昔に失われてしまいましたが、見ごたえのある遺跡がまだ数多く残っています。
敷地内を歩いて、2 つの中心的な建物の土台を探してみましょう。1 つは、アーチ状の屋根と太い柱に囲まれた神殿でした。ここを通り過ぎると複数の柱があります。この柱はバシリカ ウルピアの一部。バシリカ ウルピアは当時の技術の粋を極めた、縦 117 m、横 50 m の建造物でした。
主なフォルムに現存する建造物の中で、最も目を引くのがそびえ立つようなトラヤヌスの記念柱。高さ 38 m のこの建造物は遠くからも見えますが、息を飲むような装飾は近くでしか見られません。フリーズ装飾が施されたカララ大理石製のこの柱は、トラヤヌス帝のダキア征服を祝して建てられたもの。精巧な彫刻が、柱の下から上までをらせん状に覆いつくしています。柱の上には、かつてはトラヤヌス帝の彫像が堂々と立っていましたが、16 世紀に聖ペトロの像が代わりに設置されました。
バシリカのあった場所の裏手にあるトラヤヌスの市場もフォルムの見どころの 1 つ。クイリナーレの丘の斜面に建てられた半月型の建物が市場の跡。当時は、店舗や事務所、倉庫などが並び、古代の商業施設となっていました。赤レンガでできた建物の広間を歩きながら、高い天井の部屋をのぞき、昔の商人たちが生き生きと働いていた様子を想像してみましょう。
トラヤヌスのフォルムは、ローマの中心部のすぐそば。最寄りの地下鉄駅はコロッセウム駅です。駅からは歩いて 5 分の距離です。